個人的には、この住宅での日常生活そのものが芸術的なパフォーマンスであるという芸術的な見せ方は嫌いではないが、それ以上に感動したかと問われると首を横に振らざるを得ない。でも、妻の D を演じる(スリッツというパンク・ロック・バンドの元ギタリストである)音楽家のヴィヴ・アルバーティン、夫の H を演じるコンセプチュアル・アーティストのリアム・ギリックともに演技の経験はないという点は、本映画のドキュメンタリー感に一役も二役も買っている。特に、ヴィヴ・アルバーティンの性的に過激な演技(自慰シーンとか凄い)は見どころかもしれない。モノを使った自慰的な行動が多く出てくるが、ジョアンナ・ホッグ監督自身の対物性愛への興味が反映されているそうである。