第4回インド大映画祭 ①
邦題「ただ空高く舞え」
元空軍士官がインド初の格安航空会社（LCC）設立に尽力する、実話に基づくドラマ。
主人公ネドゥマーランの、離れて暮らし仲違いしていた父親の死に目に会えなかったという後悔から
「空は富裕層のためにあるのではなく、万人のためにあるはずだ！」
と、当時“金持ちの移動手段”とされていた飛行機に僅か1ルピーで乗ることの出来る航空会社を立ち上げようとする、その志が尊い。その想いの裏には、インド社会に厳然と存在し、縛られてしまっている身分制度、カーストへの抗議の念が見え隠れする。だが、既得権者が幅を効かすような許認可事業、ましてや人命を預かる航空旅客事業に新規参入しようとする際の立ちはだかる壁は途轍もなく高い。当然ながら、あらゆるカタチで大手航空会社からの妨害工作が行われる。そこらへんの苦難の描写が、お約束のドラマツルギーとしてストーリーを盛り上げる。また、ネドゥマーランは元空軍の退役軍人なので、士官学校同期生や元上官達との絆といった面でもアツくさせてくれる。
肝心なフライトシーン✈️そのものは、VFX丸出しなのが直ぐわかっちゃうので、ちょっとアレだが(苦笑)逆にを言えば「これくらいクオリティのVFXだったらチャチャっとやれちゃうよ！」ってことでもあり、インド映画界の層の厚さを感じる。
クライマックスに掛かるところでの“フリ”が「えっ！これだけハード面を頑張ってきたのに、ソフト側のそんな理由でコケるのかよ⁈」って、コチラもズッコケそうになってしまうのだが、その直後にバッチリと泣かせにくるところが流石。
先程も述べたけど、今作はビジネスの成功譚というよりも、カースト制度や機会平等といった視点で観るべき作品。
本日11月26日は、愛知県が誕生して150周年ということで、愛知県内上空において航空自衛隊のブルーインパルスによる展示飛行が実施された日。多くの愛知県民が空を見上げただろう日にこんな作品を鑑賞したのも何かの縁だなぁ…と思いました。

• #2022劇場とらキチ
• #インド魂

第4回インド大映画祭IDE2023で鑑賞。
邦題『ただ空高く舞え』。
既得権益を打破して格安航空会社をつくる話で、池井戸潤のビジネス小説をマサラ風味にした感じ。ダンスあり。
インドの場合、カーストまで打破しなければならないので妨害が強烈。どこまで実話なんだろう。

【空王】

インド初の格安航空会社エア・デカンの創設者G・R・ゴーピナート大尉の自伝的著作をベースに、航空会社創業に邁進する姿を描きます。
当然、大手航空会社や政府関係者からの妨害、茶々入れが入ります。
絶望的なピンチの連続。
上映時間150分で、すでに140分過ぎた時点でも、もうデカン、いや、こりゃアカン状態になっていて、どぎまぎします。

もうこれは「陸王」などの池井戸潤的世界。
空軍時代の同期生3人の友情や、奥さんからの叱咤激励、もう使われていない空港跡地の整備などの努力に心打たれ、僕たちも主人公を応援しちゃいます。

この気の強い奥さんを「響け!情熱のムリダンガム」などのアパルナー・バーラムラリが演じてます。
そして、タミル語映画のスター、スーリヤが主演だけでなく製作も務めて、気合い充分です。

空はみんなのもの。
という熱き想いを貫き通し、インドで格安航空会社を立ち上げた、主人公の奮闘に心が熱くなります。。
陸王がランナーにとって最高のシューズとなったように、エア・デカンは庶民にとって最高の空飛ぶシューズになってくれるのでしょう。