Frengersさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

大音量のトラップの低音を尻の振動だけで楽しむシーン以外では60~70年代の曲がひたすら使われることが象徴するように、2010年代的なイシュー、映像的語彙はほぼ皆無。無理矢理ポップミュージックで例えるな>>続きを読む

未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

アクション映画。イザベルユペール演じる女性教師が歩く様が多角的に切り取られながらも、ひたすら行っては戻ってくるだけ。前半はとにかく思うようにいかない事を描き続けるが、他者が作った花を自分で生け直す中盤>>続きを読む

ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート(2022年製作の映画)

-

とにかく切なかった。後半は終らないで…と願いながら画面を見ていた。

ギター、ベース、ドラム+キーボードというベーシックな編成と呼吸の合った演奏、リラックスした場面におけるユーモアからは変わらないビー
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

@IMAXレーザー
境界線と光についての映画。壁や扉、柵により引かれた線を乗り越えて人が集っていく。祝福の象徴だったはずの七色の光のもとに、人種、愛憎、生死、性別すらも1つになっていく。赤いバラやパト
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

監督の集大成的でもありつつ、さらに新しいキャストと共にその先を目指したかのような作品だった。一番近いのは「グランドブタペストホテル」かも。相変わらず情報の坩堝。今まで通り2時間以内におさめながら1.5>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

今更鑑賞、だが素晴らしかった。
ワーニャ伯父さんと映画の関係性がさらに音が紡ぐ物語と男女関係ともパラレルに。さらに最後のベッドシーンにおける両者の顔を正面から捉えたショットは「なにかが起こった」屋外の
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

亡霊の如く人に権力が移り変わり、家に人が取り憑く話。興味深いことにファッションにおける創造や流行はほぼ出てない。片側ががら空きな結婚式に象徴される半分欠けることが徐々に破滅へ向かっていくのがスリリング>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「一度終わった事をやり直す」というプロットの主軸がとにかく染みる。それは作中で反復される家族や仕事のシーンや足下のショットだけではなく、80年代に棚上げされた企画を2021年に作り上げたこと、そしてイ>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

@IMAXレーザー

興奮した。エンドゲーム以降では特に。アクションシーンやCGは最早定型通りで食傷気味なものの、冒頭の長回しから、度々言及される「3」(デ・ラ・ソウル!!!)、赤と緑の配置等々見るも
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國民の創生(1915年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

葛藤映画。固定された画面の反復により人が居なくなるor溢れかえる様が現象として記録され、北と南、白と黒、社会と個人が結ばれるダイナミズムは確かにある。ダンスパーティーのゆっくり後ろに下がるカメラも対比>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

撮られる側から撮る方へ、求められる側から求める方へ、すれ違いから追いかける側へ反転する三つの短編。長回しとガラス、扉の妙も良いが、人や車の往来が写るたび二者間の関係に変化があるところも含めロメール系譜>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

相変わらずの映画愛と音楽愛。タランティーノとゼメキスとリンチを通過した堂々としたエドガーライト節といった印象。古典的な鏡の配置、下り=夢、上り=悪夢な階段などオーセンティックな演出力を感じた。キンクス>>続きを読む

ウィンダミア夫人の扇(1925年製作の映画)

3.8

素晴らしかった。作り込まれた背の高いセットが映えるロングショット、手と扉の演出、特に鍵穴や双眼鏡による「見ること」を示すショットは、夫人が浮気現場と勘違いする際の目撃の後の横に立ち去るかっこよすぎるロ>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.6

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@映画館

主人公をドキュメントする動き揺れるカメラと画がきまりまくる固定のロングショットが絶妙。騒音と静寂の狭間を揺れ動く物語と見事に重なる。右にいくバンと左に歩く主人公の対比も泣ける。会話場面の切
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エターナルズ(2021年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

クロエ・ジャオ:マーベルが8:2な感じ。特に逆光を中心とする光の位置や歩きながらの会話のシーン、アニミズム的な自然をいかしたショットには作家性を感じさせるものの、それ以外はスタジオマナー。環境問題、種>>続きを読む

冬の光(1962年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

シンメトリー的な画と死体発見現場での吹雪による声の消失。そして窓の外から射す光の変化。「仮面/ペルソナ」を予期させる顔のアップと映し方、円環構造からくる信仰の揺らぎと確信。舞台のような最小限のロケーシ>>続きを読む

田舎司祭の日記 4Kデジタル・リマスター版(1951年製作の映画)

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司祭の信仰における期待が悉く裏切られ続けるものの、神からの答えはない。窓越し/扉越しのショット、二人乗りにおける流麗なカメラ回し、美しすぎるロングショットやキマリまくった画による司祭の行き交いに目が離>>続きを読む

マダムと女房(1931年製作の映画)

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ヨーロッパからアメリカへ世界の中心が移っていく時代の、日本からの回答の一つ…というのは大げさかも知れないが、現代まで続く世界における日本の立ち位置を形にしたものの一つ。英語字幕。

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「ウッドストック」や「アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン」とも並び立つようなドキュメンタリーだった。コンサートに没入するというよりは、当時の出演者や観客へのインタビューにより時代背景を202>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

@IMAXレーザー

カット毎の空間設計が隅々まで行き届いているのでそれを追いかけているだけでお腹一杯。手の表情、ピン送りも面白い。「メッセージ」「ブレードランナー2049」的な時系列の前後するカット
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くちびるに歌を(2015年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 新垣結衣の映画における傑作といえばいまのところ本作。長崎の景観を利用した美しいショットと高所からのロングショットを含みながら丁寧に繋ぐオールドスクールな編集、適宜挟まれる長回し(少し黒沢清っぽい?)>>続きを読む

モード家の一夜(1968年製作の映画)

4.0

アントニオーニの「夜」やビフォア三部作が見たくなった。雪の存在と車の内部からのガラス越しショットにやられる。欲望or虚像としての透明な画面。

クレールの膝(1970年製作の映画)

4.1

ショット全てが良い。「君の名前で僕を呼んで」をもう一度見たくなった。

バグダッドの盗賊(1924年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

柳下美恵(ピアニスト)、鳥飼りょう(楽士)による伴奏付上映

序盤は実写でありながらアニメーションの教科書のようなアクションの連続。中盤は豪華なドラマ/コメディ、終盤は特撮やジャンコクトーの元ネタと
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 @ドルビーアトモス
 冒頭の雪原の俯瞰ショットからホラーっぽいなぁと思い異色な007だなぁと思っていると、グラスの落下や零れる様を撮らず階段の上る様を省略した時点で本作に対する期待は大分薄らいでしま
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アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

 アクション映画とすら言える主人公を捉えるカメラの素晴らしさと画面の流動性をもたらす演出力をカットが的確に切り取ってくれるので、身を任せられた。家族のシーンにおける長回しと視線の交錯による合意/一方通>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

2.4

このレビューはネタバレを含みます

「音楽」ではなく「歌」と終始いい続けているのは象徴的だった。音の連なりや演奏、録音ではなく歌うことや歌い手の人間が重視されることはそのまま本作の脚本・演出の方向性とシンクロする。冒頭のベルの歌唱シ>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

3.4

 いい感じ。次の世代へのバトンを渡すことを基調としながら、アメリカの正義による犠牲と保護を丹念に描きつつ、個人の判断の是非を権力or大衆が裁くことにも触れるプロットが秀逸。「ロッキー」「パットン大戦車>>続きを読む

影の車(1970年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

 劇場にて

 妻から逃れるように別の家に通う夫によって居場所を無くした子供こそもっとも夫婦が求めていた存在という皮肉。その子供によって今度は妻が追い出されるというシンプルなプロットが極上。さらに前半
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ライトハウス(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

上には灯台の光とベテラン灯台守がいて、下には人魚、過去の灯台守、死がある。ペンキ塗りの場面での落下+海鳥は象徴的。無意識/意識とも対応しているだろう上下関係は同時に一つの極でもあるはずで、最後の階段落>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

3.2

自宅鑑賞。

丁寧な画作りとフレーミング、車内の狭い中での流麗なカメラワークと俯瞰のロングショットの対比が素晴らしい。スローモーションの使い方、頻出するガラス/ガラス越しのショットの連関の悪さは気にな
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ストップ・メイキング・センス(1984年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 劇場鑑賞

 最高のグルーヴを浴びっぱなしの90分弱。シンメトリーな舞台とミニマルな照明、冒頭の足元ショット、長回しとディゾルブの妙、「Once in a Lifetime」のバーンのワンショットと
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 伝統的ともいえる視線の交錯が好意ではなく憎悪になる、という演出から「ヒートみたいだなぁ」と思っていたら、むしろ「ゲット・アウト」を通過した社会派ホラーだった。扉の扱いもまさにホラー。揺れる画面を一切>>続きを読む