KKMXさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

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万引き家族(2018年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

警察の尋問を受ける信代の言葉、
「棄てたんじゃない、拾ったんだよ」
これが本作のすべてを表しているように感じました。

万引き家族は、みんな棄てられた人たちなのでしょう。
治は祥太に自分の真の名前をつ
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志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017年製作の映画)

3.6

私にとって本作の魅力は『世界の終わり』につきます。

本作の舞台は90年代末期ごろと思われますが、時代考証が非常に雑なため、90年代の空気はほぼ伝わってきません。女子高生のファッションも髪型も、何もか
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レディ・バード(2017年製作の映画)

3.4

 期待していたほどはハマりませんでした。

 『ワンダー』と同じく、物語は好きですが、展開が早くて構成が好みではなかった、というのが大きいです。後半はさほど気になりませんでしたが、前半はかなり駆け足感
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ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

かなり面白いブラックコメディ映画でした。

前半は高尚な雰囲気と主人公カップル2人の息詰まる空気感から、展開が読めず緊張を強いられましたが、後半は爆笑に次ぐ爆笑でした。観終わってからは、映画全体を支配
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浮草(1959年製作の映画)

3.7

本作は小津作品にしては毛色が違うな、なんか若々しいな、と思って鑑賞したいましたが、セルフカバーでした。もともと戦前に作ったやつをリメイクしたものとのこと。

だからか、やはり異質感ありますね〜。そもそ
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東京物語(1953年製作の映画)

4.8

 私なんぞがグダグダ言う必要のない、問答無用の世界的傑作。グダグダ言いますけど。

 小津の代表作でもあるわけですが、その理由として、本作には小津が描こうとしてきたであろう頻出する2つのテーマが過不足
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早春(1956年製作の映画)

3.9

表面的には浮気の話で、根っこは子どもを失った夫婦がやり直せるかどうかの話です。
(小津ちゃん得意の喪失乗り越え話)

しかし、本作はなぜかサラリーマンを徹底的にdisっており、そのインパクトが強烈すぎ
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麦秋(1951年製作の映画)

4.9

 一見地味な物語ですが、そこには人間の心の変遷や営みが豊かに描かれている、偉大なる傑作でした。さすが現在でも語り継がれる巨匠・小津安二郎。

 本作は結婚の話ではありますが、次男の喪失を家族が乗り越え
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ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

3.6

完全ノーマークの映画でしたが、フィルマでの超高評価を受けて鑑賞。

確かに感動ポルノなどではなく、オギーとその周辺の人たちの葛藤を誠実に描いた映画でした。

が、個人的にはピンとこず。
序盤、オギーの
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

3.8

映画評論家・町山智浩氏と同じ感想になってしまいましたが、本当に『全員死刑』とそっくりでした。ジャンルを作るならば、実録底辺コメディとでも言えそうです。

まぁ、とにかく登場人物がコーチ除き全員クズ。ク
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ラジオ・コバニ(2016年製作の映画)

4.0

なんとも力強いドキュメンタリーでした。

一番印象に残ったのは、主人公ディバロンが普通の女の子っぽかったことです。友だちと女子トークで盛り上がったり、フェイスブックで出会いを探したり(?)して、東京の
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ガチ星(2018年製作の映画)

4.8

ダメ中年の再挑戦と再生をとても誠実に描いた秀作。ものすごく良かったです。胸を打たれました。

元プロ野球選手で10年以上前に戦力外通告を受けてから完全に転落した主人公・濱島は、パチ屋と酒に逃げる・実家
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Vision(2017年製作の映画)

1.0

退屈極まりない上に、自己愛臭が強く胸糞悪い駄作でした。テレンス・マリックと同じ、映像が美しいだけの独りよがりムービー。

 一番気になったのは素数。この自然崇拝げな作品の中で、素数というキーワードは垂
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.3

面白かったけど、視覚情報が多すぎてメチャメチャ疲れました。アンダーソン酔いです。

基本、細かいギャグが面白い映画だと思います。個人的にはあのヘンテコな言語センスが大好きで、ウニ県メガ崎市とか字面だけ
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ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

4.7

 『エル・トポ』はかなり痛々しい作品でしたが、本作はホドロフスキー師匠独特のイカれたセンスが爆発しており、かなり振り切れたバカ映画でした。

 もちろん、その背後には人間が持っている欺瞞へのシニカルな
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エル・トポ(1970年製作の映画)

4.0

 公開当初はトンでもない元祖カルト映画としと受容されていたと思います。

 しかし、『エンドレス・ポエトリー』を経た21世紀を生きる未来人が本作を鑑賞すると、若き日のホドロフスキー師匠の精神的ドキュメ
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恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

3.8

贔屓の小松菜奈目当てで鑑賞しました。予想以上に小松菜奈の魅力が爆発していた映画でした。

小松菜奈演じる橘さんはクールでツンとしたキャラクターなのですが、これが彼女の持つ少し浮世離れした雰囲気にぴった
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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

3.9

たいへん観応えのある、骨太な映画でした。

恥ずかしながら、光州事件のことは名前くらいしか知りませんでした。こういう軍隊が一方的に市民を弾圧した事件は語り継がれるべきだなぁと感じます。
そういう意味で
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孤狼の血(2018年製作の映画)

3.0

バイオレンス映画・ヤクザ映画は苦手ですが、本作は大変評価が高いため、もしや楽しめるかもしれない、とダメ元で観に行きました。

結果、案の定ダメ。とにかく、血がビュンビュン出るのでゲンナリしました。
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赤色彗星倶楽部(2017年製作の映画)

2.0

まったく好みではない作品だったため、面白いとは感じられませんでした。

しかし、芸術についていろいろと考えることができたため、観た甲斐はあったかもしれないな、なんて思っています。

本作を観て感じたこ
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四月の永い夢(2017年製作の映画)

4.3

とても上品で温もりのある、静かなる良作でした。

時間が止まっていた主人公が、その原因となった喪失体験と向かい合いうといったタイプの作品で、少しだけマンチェスター・バイ・ザ・シーっぽいなぁとの印象を受
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晩春(1949年製作の映画)

3.4

小津安二郎初体験。果たして世界に冠たる小津映画はどんなものかとワクワクして本作を鑑賞しました。

感想は、イマイチでハマらず。でも、もしかすると過剰なファザコンを描いた本作が小津映画の中でも異質で、東
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リズと青い鳥(2018年製作の映画)

4.8

 驚異的な完成度を誇る映画でした。屈指の名作だと思います。

 本作の演出は圧倒的に高度で、凄みすら感じました。主人公である希美・みぞれという2人の吹奏楽部に所属する女子高生の心境を、セリフに頼らずに
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ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

4.5

今年の頭に何本かの難民映画を観ており、その影響からか本作も観ないとなぁ、とは思っていました。そして鑑賞。90分間固唾を飲んで凝視しておりました。

市民の虐殺が行われるラッカの惨状や、そんなラッカから
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心と体と(2017年製作の映画)

4.0

夢占いとか洒落たことはできませんが、本作で描かれた2頭の鹿が雪に覆われた森の中で優しく触れ合う夢は、主人公の2人に対して「恐れないで恋をしようよ」と伝えているように感じました。上質なラブストーリーだな>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

4.3

2-3回観た映画ですが、映画館では初鑑賞。しかも10年以上ぶりに観たので、新鮮な気分で観れました。
とはいえ、伝わってくるメッセージは変わらず。「マジ人生無意味、虚しい。もう死ぬしかない」。

死ぬこ
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ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(2017年製作の映画)

3.9

WWEのスーパースター・ロック様のファンなので鑑賞。映画館でロック様を観るのは初めてでした。

もともとロック様は面白さでのし上がってきたスーパースターなので、やはり単純なアクションではロック様の妙技
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ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)

4.3

本作はLGBT映画というよりも、愛と別離、再生、そして「自分として自分を生きる」映画だと感じました。

マリーナにとって、唯一わかってくれる人がオルランドだったと思います。マリーナが強く生きることがで
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リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

3.6

さすがピクサー!一部の隙もない、エンタメ映画としては完璧に近い作品なのではないでしょうか。最初から最後まで退屈なシーンは皆無で、ストーリーもいい感じのどんでん返しもあり、キャラも魅力的。特に犬のダンテ>>続きを読む

坂道のアポロン(2017年製作の映画)

3.4

青春音楽映画に目がないため鑑賞しました。正直さほど期待していませんでしたが、期待していた程度は楽しめました。

音楽を通じての薫と千太郎の友情は見事に描かれていたと思います。授業中に机を叩く薫の空ピア
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バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)

4.0

 『屈強な男たちが自らカタパルトの弾丸となり、発射されて敵の城に飛び込んでいき、どエラくカッコいいポーズで着地し戦い始める』というGIF画像を結構前に見て度肝を抜かれたことがありました。そしてそれが本>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

個人的にはハマらなかった作品でした。しかし、鑑賞後はいろいろ考えさせられたため、ジワジワと本作の魅力を味わっているところです。

鑑賞中は恋愛描写が美しいな、との印象を抱きました。
イライザはいきなり
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ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)

4.6

 短い時間の中に濃い内容をギュッと凝縮し、無駄なく丁寧に作られた映画でした。ダラダラと冗長な映画よりもずっといいです。

 子どもたちの心情描写もさることながら、とても印象に残っているのは、養護施設の
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恋する惑星(1994年製作の映画)

4.1

ため息が出るほど可愛い映画でした。本当にキュートな映画。

まず、主演のフェイ・ウォンがめちゃくちゃ可愛い。キョロキョロした表情が可愛いし、「わ!」とかビックリする声も可愛い。セシルカットで女性として
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あなたの旅立ち、綴ります(2016年製作の映画)

3.7

心にガチガチと鎧を着込み強迫的に生きてきたが故に成功したものの充実しなかったクソババアが、自分に自信のない記者アンと交流しながら、人生の最終幕で自分を見つめ直すという、ちょっと良い話でした。
逃げたり
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しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2016年製作の映画)

3.7

穏やかで落ち着いた映画を観たくなり、同じサリー・ホーキンス主演ながらもアカデミー賞を受賞したシェイプ・オブ・ウォーターをスルーして本作を鑑賞。予想以上に静かな映画でした。

家族に恵まれず、居場所を作
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