新潟の映画野郎らりほうさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

新潟の映画野郎らりほう

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星の子(2020年製作の映画)

4.3

【スターチャイルド】


護岸堤の連絡通路を渡り海岸に下りてゆく ちひろ(芦田愛菜)。その姿が内陸側から捉えられる。
通路開口部に依って 周囲を“フレーミング”されていた彼女は、遮る物何一つ無き溟海の
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.4

【Reverse(Re:Birth)】


パースペクティブで捉えられる操作場。その軌道上を往来する順行列車と逆行列車。始点は逆行にとって終点であり、終点はまた順行の始点である。
その円環構造を顕す様
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ルビー・スパークス(2012年製作の映画)

4.1

【ボナペティ~(^q^)♪】


例えば一人の女性がいて、私の眼に映るその女性と あなたが見る女性の姿は、同じ女性であっても 私達には全く別の女性として映っている筈だ。
私とあなたが持つ(女性はこうあ
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ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)

4.1

【落陽】


陽が西に傾いた校舎屋上で高校生活を振り返る千早(広瀬すず)と奏(上白石萌音)。
秀撰歌を口遊む奏を 愛おしげに振り返り見る千早の頬を、夏風が切なく切ってゆく―。
卒業迄の日の削られ方/時
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狂武蔵(2020年製作の映画)

3.1

【独斬心(Doc Kill Mentally)】


陽光が傾き 足許に丈長の影が伸びる。落日の迫る ほぼ真横からの入射光が 事態の逼迫性を伝えると共に、武蔵(坂口拓)に 煌めきとして降り注ぎ、彼の
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赤い闇 スターリンの冷たい大地で(2019年製作の映画)

4.0

【死と、生存欲求だけが―】


茶を淹れる ― その行為が父と息子で反復される。それだけで、息子の父に対する敬意と、父の志しが継承されている事を簡潔に示す。

赤を謳った邦題に対し、作品には徹底して“
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思い、思われ、ふり、ふられ(2020年製作の映画)

1.8

【語り語られ ふりふられ】


主要四人のモノローグで幕開く冒頭を見た段階で、今後 四人分の心象説明が緩慢に退屈に続くであろう事を早々に察知し、もう退出したくなる。

人が言葉無く人を見つめる、見つめ
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映画ドラえもん のび太の新恐竜(2020年製作の映画)

4.0

【巣立ち】


恐竜のキューに幾度も〃も優しく手を差し伸べるのび太。都度その手を頼るキュー。
“優しさ”は時に「最も残酷」だ。手取り足取り介添えでは、子の成長の妨げになるばかりか 親も決して成長出来ま
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ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019年製作の映画)

3.2

【不可侵領域】


作劇上の極端事例として誇張されてはいるが、描かれるのは 多様性に対する寛容不全である。

世間上/他人事として 多様性には賛同しつつも、いざ関係者となれば諸手挙げる事躊躇う。その事
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宇宙戦争(2005年製作の映画)

4.3

【即時的現世界戦争】


突如爆心零地点と化す平穏な市街地と その累及ぶ多くの民間人。墜落した旅客航空機の残骸。全身真白き埃に塗れるトムクルーズの姿も911の記憶である。
そしてクルーズのキャスティン
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四月は君の嘘(2016年製作の映画)

1.8

【映画は全部嘘】


海や街並みを見下ろす高台。校舎或いは病院の屋上。そして川面高距上に懸架する橋梁―。
物語は それら高所上で展開する。故に作品は『下界/人界から遊離した 現実味伴わぬメルヘン或いは
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マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

4.3

【USA PATRIOT Act】


アメリカ合衆国がアメリカ合衆国であり続ける為に―。

911を受け、テロに関与 或いは何らかの情報を保持すると疑わしきは、事を起す以前に 強制連行ないし逮捕に踏
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チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話(2017年製作の映画)

3.0

【ほやのう(^o^)】


舞台袖から舞台袖に移り 肝心の演技そのものは省く大胆さ。夜、孤独に踊る 唯(山崎紘菜)の後ろで、無言でユニゾンする ひかり(広瀬すず)と彩乃(中条あやみ)。ひかりの自宅で
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先生! 、、、好きになってもいいですか?(2017年製作の映画)

2.8

【いいとも(^o^)♪】


響(広瀬すず)の髪をそよがせる風。教室外の喧騒や 筆記時の擦過音。そして陽光―。
彼女の惑いと 揺れ動く恋心を顕現する ― 三木孝浩の刻印である。

非映画的ツール:ケー
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機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編(1982年製作の映画)

4.1

【戦争の魅惑】


濃緑の二足兵器上に立つドズル。その背後に立ち上る“何か”と、それをガンダム上から見遣り戦慄するアムロとのカットバック。アムロは言う『何だ?』と。

…彼が“其を”解らない筈はないの
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.2

【トゥダーイ】


〈東大〉

壇上向かって“右”側に三島由紀夫。“左”側に全共闘連衆。
当時の討論会主催者に その意図があったかは定かではないが、映画の作り手にとっては構図的意図を込めなければならな
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

4.8

【傷舐(きずな)】


接見弁護人が 求める“理由/動機/背景”。
狭量な固定観念/常識に事を当て嵌め 自身が“理解可能な物語”にしようとしており滑稽だ。

其の求めは無論、唾棄 或いは当たり障り無き
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

2.5

【完璧主義】


演出が見え過ぎ。

焔越しに映る女性の陽炎(かげろう)。自室、或いは車内ルームミラーに映る鏡像が訴える客観視の必要性。試合直前の極度興奮状態や、飲酒/薬物摂取に依る酩酊等、“無軌道”
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ポゼッション(1981年製作の映画)

4.9

【生き別れの双子】


北朝鮮と韓国で、事ある毎 ―主としてオリンピック等の国際大会時― に謳われるスローガン「祖国統一」。
その一方、70年に渡り分断され続けた文化的乖離や 巨大な経済格差を鑑み、そ
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ソニック・ザ・ムービー(2020年製作の映画)

4.0

【セーガー(^o^)】


面白く 軽快、知的でありながら御間抜け。洗練された悪:Dr.ロボトニクを演じるジムキャリーがとにかく素晴らしい。
そのキャリーの 全力の演技が、美術/特殊効果/撮影等 優れ
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.7

【Staying in the rain】


NY市街の喧騒を激しい雨が掻き消してゆく―。

相乗したタクシーから雨宿りに屋内に入った二人は、雨滴伝う遮蔽窓に依って 一層外界と分け隔てられ“二人だけ
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水曜日が消えた(2020年製作の映画)

1.3

【ドラえもんだらけ】


目覚めで幕開いた後、屋内の家事/雑事を経て朝食に至る迄 延々と続く“独り言”に先ず辟易する。

大量の付箋と乱雑な屋内状況、其に対する中村倫也のリアクションに依って表出すべき
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好きっていいなよ。(2014年製作の映画)

2.4

【愛していると言ってくれ】


校内階段上層にいる橘めい(川口春奈)の廻し蹴りに依って 階下に突き落とされる事となる黒沢大和(福士蒼汰)。
無論それは、彼がガツンと“打たれ”恋に“落ちた”事の表象であ
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ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

4.0

【渦】


2020年04月26日

自治会の役員をしている故、自治会費の集金に各家庭を訪問した。
私は マスクとN95の二枚重ねをした上に 目元にはゴーグルとゆうスタイルだが、訪問した15件中 マス
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

4.5

【パラダイムシフト】


序盤に コンピューターゲームに興じていたマクレディ(ラッセル)は、自身の敗北を認めずに 破壊行為に及ぶ ~ 自分の考え/世界こそが唯一絶対であり 自分以外の世界/考えを認めよ
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.8

【輪廻の果て待つ菩提の樹】


水面揺蕩う無数の花弁。廃墟と化した市街地噴水広場立ち上る灼熱の業火。仮初めの母に想起する愛おしき母の幻/陽炎(かげろう)。殺し合う二人の影法師に浮かぶ 自身と敵の命の等
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転がるビー玉(2019年製作の映画)

4.0

【儚く散華す硝子玉】


“瞳”に熱い想いを宿した少女達が、然し〈ドライ〉で〈現実的〉 そして〈ブラックホール〉の如し街“渋谷”で、次第に その瞳を曇らせ ひび割れ 熱と輝きを奪われてゆく―。

「華
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AI崩壊(2020年製作の映画)

1.2

【AIは地球を巣食う 愛は地球を救う】


季節は冬、厳冬下の海の凍え、冷却され続けるサーバールーム、色彩設計は寒色だ。
無論それは、AIの無機質/冷涼を表徴する故であるが、それだけじゃない。
思いや
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映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!(2019年製作の映画)

3.6

【言葉の謝絶… ウポポー!】


ウパーウポ

都度意味合いを変え画面に登場する“ピザ”、そして“ヘルメット”。
言葉を用いず趣意を伝えるそれら映画的話法が心地好い。

それは『言葉の伝わらない者と解
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.0

【零の世界】


車輌前照灯が僅かに照射されるものの、著しく視認困難な夜の闇が眼前を高速で流れてゆく。
冒頭、シェルビー(デイモン)に依る夜間レース場面である。

思わずジャンルノワール「十字路の夜」
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

5.0

【其は本当にお前の感想か】


最も恐ろしいイーストウッドかもしれない。
本作の所感を述べるには相当な覚悟を要するだろう。
生半可な気持ちでは、全否定されかねぬのだから―「自分自身」を―。


膳立て
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ラストレター(2020年製作の映画)

5.0

【廃校舎現れし初恋の亡霊】


薄手のワンピースを身に纏った鮎美(広瀬すず)と颯香(森七菜)に、夏の陽光が照射し 彼女達の姿越しに後景を透過させる。
夏風がワンピース裾を幽玄に靡かせ、醸成される胡乱且
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

5.0

【イカロスの翼】


主人公一家の居住空間が“便器”より下方である事、殺虫散布がまるで効果を上げていない事から、彼等がある甲殻昆虫に準えられている事は早々に諒解出来る。

核戦争後の人類無き地球は あ
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ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

4.5

【あなたの映画に恋してる】


後部荷室に積載した金庫の荷重に依って、前輪が路面から浮き上がり 制御不能のウィリー走行に陥った車両が、ちょうど 上方の街路灯を“見上げる”形でフラフラと前進してゆく ―
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アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

4.5

【血の収支報告】


近隣諸国との軋轢。少数者への差別/排斥。少子高齢と財政難。原発事故と長期に及ぶ廃炉作業。人口爆発/食糧危機。そして、温室効果ガスとマイクロプラスチックが齎す気候変動/環境破壊―。
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メアリーの総て(2017年製作の映画)

3.0

【フランケンシュタイナー】


メアリーシェリー「フランケンシュタイン」が生み落とした派生用語に『フランケンシュタインコンプレックス』と『作家の悪夢』とがある。
前者は『自身が生み出した人造人間に 人
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