ninjiroさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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ザ・チャイルド(1976年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

特集 パンチの効いた子ども達 8


パンチの効いた子ども達を取り上げた映画は数あれど(?)、また、その子ども達が如何にパンチが効いていようとも、ひとたび本作が腰を上げれば、これまでの喧騒は前座のわん
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エイプリルの七面鳥(2003年製作の映画)

4.6

クスクス笑って、ハラハラ。
おまけに最後にホロリ、ってやつかな、と思いきや…。


玉葱の皮も満足に剥けずに包丁でそぎ落とすような、料理が苦手というレベルにすら達していないエイプリルは、恋人ボビーと二
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ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖(1973年製作の映画)

3.6

ハーシェル・ゴードン・ルイスの2000人の狂人とも張り合える程の、スケール感・数勘定の合わなさ。
終始緊張感のない洋ピンのような安いBGMの数々。
全体がthat's低予算で塗された、輝けるB級ホラー
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アナとオットー(1998年製作の映画)

3.5

「出会いは数知れずある
僕にも大切な出会いがあった
人生で たった一度きりの
彼女の名を心に刻んだ
今、一人になった僕はさまよい続けている」

生命は循環する。
愛も同じさ。
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ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007年製作の映画)

4.3

あー微笑ましい!

サイモン・ペッグがニック・フロストに嫌々連れて行かれた先はやっぱりパブで、ヌルいビールを飲みながら徐々に心を許して、え?その日のうちに泊まりでお気に入りのビデオ観ちゃう?

半端な
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マイケル・ジャクソン THIS IS IT(2009年製作の映画)

4.0

追悼 Michael Jackson

Σ(゚д゚lll)今更?


彼が亡くなったと聞いた時、特別ファンという訳ではなかった私でさえ、絶望的な喪失感に見舞われた。
巨大な才能、圧倒的なカリスマ、全世
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シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

4.0

子どもが大人になっていくということ。

特集 パンチの効いた子ども達 7


ガキがガキであるということが何も意味を成さない世界がある。

前置きが必要となるが、私自身ガキというものに対し、大した怨み
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トマトケチャップ皇帝(1971年製作の映画)

3.0

特集 パンチの効いた子ども達 6

現在では倫理的に絶対再現不能なものが見られるという映像体験は単純に刺激的。

しかし概ねが記録映像のような駄々らなカメラが捉えた、異常な設定の数々をただただ即物的に
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闇のバイブル 聖少女の詩(1969年製作の映画)

2.8

このガーリィ感は一体?

特集 パンチの効いた子ども達 5


ソフィア・コッポラの監督デビュー作にも共通して感じられるこのガーリィ感は、きっと女の子を可愛く撮ろう、女の子の生活・風俗を詩的に時にキッ
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小さな悪の華(1970年製作の映画)

3.1

特集 パンチの効いた子ども達 4

勝手にシリーズ化してます。
しかもたまたま子どもの生態がテーマとなった作品のレビューが続いただけの、完全後付けですが。

アンヌとロール、カトリック系寄宿学校に通う
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火垂るの墓(1988年製作の映画)

3.4

追悼 野坂昭如

遅まきながら。


この作品を語るとき、誰もが伏し目がちに、ふざけてはいけない、茶化してはいけない、と、何か神聖な物を目の前にしたかのような姿勢となる。

誰の手に寄るものか、いつの
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書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)

3.1

おい、そこのあんた。何してんだよ。
映画館の暗闇の中でそうして腰掛けて待ってたって、何も始まらないよ…。


1960年代後半から1970年代前半、世界的に革命という言葉が叫ばれた時期である。
寺山修
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妖精たちの森(1971年製作の映画)

3.0

「回転」を観てから本作を観ると、色々とキャスティングだったり美術だったり、設定が符合しない部分が多くて気になってしまうが、そもそも「回転」を観ていない人にとっては、この作品の存在意義すらも怪しい。
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回転(1961年製作の映画)

4.1

げに恐ろしきは女の好奇心。

舞台となる旧い邸宅に、大金持ちの遺児となった幼い兄妹の家庭教師として、主人公であるオールドミスが到着するやいなや、静かに漂い出す不穏な空気。
きっと何かが起こる。否、自分
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SPACE ADVENTURE コブラ(1982年製作の映画)

3.0

何を置いても松崎しげる問題。

前置きが必要となるが、以下は個人的嗜好と客観性についての葛藤である。

一般に誤解されがちだが、実はTV版に先駆けてこの劇場版の方が先に製作・公開されているのだが、この
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ポゼッション(1981年製作の映画)

4.0

肉体の中の悪魔が、当に露見する。

これまで市井の人に潜む悪魔や狂気を、執拗にかつ観念的に描いてきたズラウスキー、今回は思い切って分かり易くやってみましたの回。

とはいえ、(昔の)販売ソフトのパッケ
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シルバー・グローブ/銀の惑星(1987年製作の映画)

4.5

ホドロフスキーが撮るはずであったDUNEは、長く謎の映画であった。どこまで実際に進んでいたものなのか、全く知る術はなかったし、ただ企画があり、頓挫したということだけが知られていた。
今では突如公開され
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悪魔(1972年製作の映画)

4.5

冒頭から、ずーっと地獄絵図。

ズラウスキーのどの作品(知る限り)にも言えることだが、この異常なテンションは何だろう?
作画的なことで言えば、手持ちカメラによるテンション作りは深作欣二始めその類がある
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

4.7

まだ産み出されて数年しか経っていないにも拘らず、最早クラッシックの風格と、時事性と、普遍のメッセージを全て併せ持つ、稀有な傑作である。

言わずもがな、アメリカは既に疲弊している。

かつての栄光を象
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ニーチェの馬(2011年製作の映画)

4.3

日常とは、世の常のようでありながら、この世の変質に完全に左右されるものではない。

日常と世の常がシンクロする状態が所謂世の中と繋がった状態であり、我々はその繋がりを絶やさない努力を、意識・無意識の別
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砂と霧の家(2003年製作の映画)

3.9

一軒の家を巡って罪なき人々が陥る途方もない絶望。

ささやかな幸せを守るために人は、思いがけず、赤の他人が必死で守るささやかな幸せに手を掛け、奪ってしまうこともある。

我が身にとって掛け替えの無いも
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変身(2002年製作の映画)

3.0

確かに凄いことは凄い。
高名な原作に対して真摯な姿勢で臨んでいることは確かで、原作の、物語上伝えんとすることは全て忠実にカバーされている。
逆に言えば、原作を読めば済むことでもある。
あとは肝心の「変
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リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

4.3

当時、リリィ・シュシュだのイェンタウンバンドだの、ちょっとしたオシャレ・メディア・ミックス感に、おいおい相変わらず小賢しいな岩井俊二サンよ!と観てもいないクセに勝手に独りでイライラしていたものである。>>続きを読む

デビッド・クローネンバーグのシーバース(1975年製作の映画)

3.5

クローネンバーグの初期作品にして、個人的ベスト。
舞台となる孤島の巨大居住生活空間は宇宙コロニー内のような設定。全てはここで始まりここで終わることもあり、作品全体に異常な閉塞感を創り出し、悪夢的なシチ
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青春の殺人者(1976年製作の映画)

4.0

恐るべき絶望感。
なんの準備もない唐突な親殺し。
庇護のない世の中に丸裸で放り出される若者たち。
若さ故の過ちでは済まされない厳然たる罪には、弁解の余地もない。
そんな彼らをカメラも我々も突き放すよう
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ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ〜血まみれの天使〜(1974年製作の映画)

2.5

発情アニマル(悪魔のえじき)、リップスティックなどの、性の搾取とこれに対する血みどろの復讐を描いた映画が、恐らく女性人権などという崇高な目的を笠に着た、エクスプロイテーション映画の変化球として米国で一>>続きを読む

憂国(1966年製作の映画)

2.8

全ての事柄は、美を形作る為に必要なモノ。
226、安保、国体への思想的アプローチですら、一連の美学を形作るファクターであって、三島の人物そのものではなかったのではないだろうか。
三島の生きた時代は、今
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スカーフェイス(1983年製作の映画)

4.4

コテコテでギラギラなパチーノが、ファックファックな3時間弱。
情緒や機微なんてあったもんじゃない、愛すべき小物狼、トニー・モンタナ。
作中big shotである筈のトニーとその帝国の、余りの安っぽさ、
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年製作の映画)

5.0

セルジオ・レオーネ。
大巨匠の最後に遺した作品は、嫌がらせの様に謎々を携えていた。
ラスト云々があるので、難解な作品と捉えられがちだが、それを除けばいつも以上にワクワクする娯楽の巨匠レオーネそのもの。
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さすらいのカウボーイ(1971年製作の映画)

4.8

冷静に考えると色々と凄い事が行われている映画。
ウェスタン物ということで、異時代性を特色としているという訳ではなく、明らかに舞台を過去に借りた現代劇という仕立てだからこそ。
ブルース・ラングホーンの素
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デュエット(2000年製作の映画)

3.8

ヒューイ・ルイスの意外な芝居上手に、出番の度に逆にくすぶり続ける違和感。
元々いかにも性格俳優っぽいイイ顔面をお持ちだなと思ってはいたけど。
作品はカラオケの腕自慢達が織りなす群像劇だが、全体的にどの
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狂い咲きサンダーロード(1980年製作の映画)

4.2

80年代、日本の一部音楽シーンはなにやらオドロオドロシイ化け物が跋扈しているような、不穏な空気が流れていた。
主にライブパフォーマンスでの狂騒が連日のように週刊誌上で報じられ、やれ江戸アケミが鶏の首を
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地下幻燈劇画 少女椿(1992年製作の映画)

3.0

可憐な少女の見た空蝉の無間地獄。
果たしてどこまでが少女が見た夢か、妄想か。
少女の想いは最後まで、家に帰りたい、遠足行きたかったな、の一念。
不憫にも苛烈な運命に翻弄され、最果ての白い世界に立つ少女
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人情紙風船(1937年製作の映画)

4.2

楽しいシーンもどこか不穏で、通して見た後には重い厭世観に包まれる。
天才山中貞雄は当時の世情を間接的に映しただけでなく、自らの運命をも予見していたのか。
映像の儚い美しさは勿論のこと、劇伴を一切つけな
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レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

4.5

人生は欲との戦いだ。
欲とは時に快楽の追求であり、虚栄心であり、コントロール不能の愛である。
人は欲と対峙する時に、何を思うのか。
形ある欲の向こうに人は、愛する人に、家族に、友人に、形を持たない掛け
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