戦後ほどない長崎を舞台にした日仏合作映画。
フランス人の目に映る(当時の)長崎の街はいかなるものだったのか。日本人の目から見ても異国情緒が感じられる描き方。慕情というより旅情を感ぜずにはいられない。>>続きを読む
文明から隔絶された環境下の研究所。堅固なセキュリティに守られたその中で起こる出来事。ある存在が「人」を翻弄し「願い」が叶うところも含め、森博嗣の『すべてがFになる』が想起される。
数少ない登場人物。>>続きを読む
スポーツ親善使節としてハワイに派遣された水泳選手と、偶然現地で出会った日系二世の美しい娘が織りなすはかないラブストーリー。当時としては貴重だったであろうハワイロケが見もの。
時代情勢や身分が恋する2人>>続きを読む
岡田茉莉子は不幸な表情が似合う。しかしここでの彼女は不幸というより不憫という表現が似合う。それでいて必要以上に「ジメジメ」や「メソメソ」を感じさせないのが彼女のいいところではなかろうか。
生まれの環>>続きを読む
独自の厭世観を抱えとっつきにくい大学教授。彼は“死”に憑りつかれてしまい、無気力な暗闇を生きている。
そんな彼の「他とは違う」ところを魅力と捉え、惹かれていく利発な美人学生。
彼は彼女と出会うことで変>>続きを読む
サスペンスや推理モノのイメージが強い野村芳太郎だが、実はコメディでもその才覚を発揮していた!・・いや単に自分が知らなかっただけか。
今の時代、女性だけでなく男性もお洒落をしなくてはならない、着飾って>>続きを読む
サスペンスや推理モノのイメージが強い野村芳太郎だが、実はコメディでもその才覚を発揮していた!・・いや単に自分が知らなかっただけか。
恋人との結婚資金工面に悩む男が、偶然ある男の不倫現場を盗撮しそれを>>続きを読む
にわかには信じがたい本当の話。
カトリック教会の神父による幼児虐待事件も、それを組織ぐるみで巧妙に隠していたことやその手段も信じがたいが、何よりキリスト教圏全体を揺るがしかねないこのスキャンダルが、>>続きを読む
亡き兄が勤めていた会社の社長と、彼に就職を世話してもらった若い娘。最初はそれだけの関係だった2人がいつしか恋に落ちる。社長は病身の妻がいるのでこれは道ならぬ不倫の恋。共にこのままではいけないと判ってい>>続きを読む
映画輸入会社の社長(佐田啓二)と、仕事に入れ込み自分に冷たい夫に不信感のようなものを抱くその妻(岡田茉莉子)。
倦怠期といってもいい2人の前に登場する、戦災孤児、翻訳担当の女性、プレイボーイのピアノ教>>続きを読む
地元青年団「朝がゆ会」のメンバー達の資産家令嬢美也子への想いに端を発した、町内の若い男女間の反目そして和解。そしてその美也子と東京帰りの若い医師田村との恋の行方。この2つの筋を中心に描かれる、明快で爽>>続きを読む
けだし、アトラクションである。
シンプルな物語の設定や人物の背景、宇宙空間の広くかつ狭い使い方、クッキリとメリハリをつけた音楽、そして実時間とほぼ同じで進む上映時間。
“体験であるところの映画”を、>>続きを読む
もう戻らない、純粋だったあの季節。
今まさに通り過ぎんとしている、光り輝く季節。
母と娘それぞれの「初恋」を、1982年と2013年という2つの時代を交差させながら瑞々しく描く。
このテの作品は、た>>続きを読む
第一次インドシナ戦争時の1954年。
フランス外人部隊の破壊工作班が、共産圏から支給された大量の武器弾薬があるというベトミンの武器集積場(これがある場所が通称「中国門(チャイナ・ゲイト)」)を目指す。>>続きを読む
殴る。殴る。
女が男をとにかく殴る。怒りに任せて。
ウィッグが取れて坊主頭が露わになってもかまわず殴る。
ひとしきり事が済んだのち鏡でウィッグと化粧を直し、そこにかぶさる「THE NAKED KISS>>続きを読む
もともとはドイツの長寿TVドラマの一篇として制作されたものだが、一個の独立した話として楽しめる(らしい)。今回は従来のものより25分ほど長い「ディレクターズカット」として公開。
ドイツにあるベートー>>続きを読む
怪しげな新興宗教の裏を暴く正義の一面。
暴いてそこから金を巻き上げる悪の一面。
佐田啓二演じる主人公の両面性が魅力的なピカレスクロマン。
新興宗教相手以外にも色々とあくどい主人公だが、佐田の甘いマス>>続きを読む
ブンミおじさんはタイ東北部で農場を営む。腎臓の病に侵されている彼は自らの死期を悟り、亡妻の妹とその息子を呼び寄せる。
夜、3人で食卓を囲んでいると、突然そこに19年前に亡くなったブンミおじさんの亡き妻>>続きを読む
アナーキーな肌合いのもの、問題提起的なもの、エログロに寄ったもの、エンタメに振ったもの、そしてここ1、2年の間に相次いで公開された原作モノ・・。
様々な作品をハイペースで発表している“売れっ子”園子温>>続きを読む
♪血を吐けー 唾を吐けー
吉田喜重の監督第2作。
同時上映だった大島渚の『日本の夜と霧』の上映打ち切りの煽りを食った、ちょっと不遇な作品。
会社の首切り(今でいうリストラ)にピストル自殺という手段>>続きを読む
往年のTVドラマの劇場版。全3作公開されたうちの第2作。
TV版も全く知らず、それも劇場第2作からで大丈夫か?と思ったがその心配はまったくの杞憂に終わった。単独でも純粋に楽しめる作品。
川岸で見つか>>続きを読む
井上靖の同名小説の映画化。
主人公・梶鮎太の小中高それぞれの頃を描く3部構成(3部のみなぜかツルゲーネフの『初恋』が下敷)。
彼が巡り合い影響を受ける3人の女性がそれぞれに特徴的で、作品内でもきちん>>続きを読む
こねこが迷子になり、やがて家族の元に戻るまでの物語。
ストーリーはただそれだけ。加えるならチグラーシャ(「トラ猫」の意)と名付けられたこねこの迷子生活に、猫好きの男フェージンと彼の家に集まる他の猫たち>>続きを読む
かつては「TVに出ない(大物)ミュージシャン」というポジションがある程度の差異、ステイタス、かつプロモーション的効果を持ち得ていた時もあった。
現在でもいくらかはその効果があるものの、「全く出ない(大>>続きを読む
飼い猫のディノは夜になると家を抜け出し闇に消える。その行先は、そしてディノが持つ「夜の顔」とは・・?
ハードボイルドというよりフィルム・ノワールタッチな作品。
アニメーションである特性を活かしつつ適>>続きを読む
四十を過ぎて画家からデパートの臨時販売員になった森繁演じる主人公。
イマイチ冴えないがコツコツ真面目に働く彼の前に現れる、タイプも境遇も異なる3人の女性。
中北千枝子演じる下宿先の未亡人。
香川京子演>>続きを読む
SF映画が好きだ。
50年代の白黒のアメリカ産SFが好きだ。それ以前の古色蒼然とした怪奇譚も然り。SW以降の大味なスペース・オペラも嫌いではない。
そして本数は多くないものの、60年代後半~70年代前>>続きを読む
原作のあの内容を2時間強によくまとめたな、というのがまず率直な感想。
とはいえ既刊20巻の半分にも達していないし、細かな主要人物の描写やZQNの習性、その他各種エピソードなどはやはり(しかし上手に)省>>続きを読む
タイトルから「奥さまは魔女」「若奥さまは腕まくり!」のようなコメディを期待すると肩透かしを食う。決して喜劇的な面がないわけではないのだが、昭和30年当時の社会事情や人々の慎ましやかな生活ぶりが窺えるよ>>続きを読む
H・G・ウェルズの『透明人間』から着想や基本設定を得ているものの、独自のストーリーが展開される。
善良な科学者。自らの金もうけに利用しようとして薬を奪わんとする悪人。弱みにつけこまれる人。初めから実>>続きを読む
50年代のハリウッド。テレビに押されながらもまだまだ沢山の「夢」を創り出していた場所。そんなハリウッドで新作映画の撮影中に主演スターが誘拐された。誘拐の目的は?スターの行方は?“スタジオの何でも屋”こ>>続きを読む
木下順二の戯曲の映画化。
タイトルの赤い陣羽織とは、舞台となっている地(時代・場所共に特に設定なし。これは原作者がわざとそうしたらしく、今作をより「寓話・昔話」たらしめる要因にもなっている)を治める代>>続きを読む
♪ああー青ぶくのバナナー
ニコリともせずギターをかき鳴らし歌う岡田茉莉子と、何より全編にわたる彼女のコメディエンヌぶりが堪能できる作品。冷たい顔立ちとぶっきらぼう(に見えて実は暖かか)なセリフ回しや、>>続きを読む
山で命を落とした1人の男。
その死を悲しみそして怪しむ彼の姉。
一緒に登った初心者が助かり、弟だけが死んだのは何故・・経験者のサポートがありながら・・。
松本清張原作のいわゆる「山岳ミステリ」。
現>>続きを読む
ある程度抑制された緊張に引き込まれる。観終えた後に残るは重めの疲労感。
題材はこれまでも何度も採り上げられている「メキシコ麻薬戦争」。
もちろんアメリカ側からの視点で描かれるが、そこにベニチオ・デル>>続きを読む
ハル・アシュビーが送るアメリカン・ニュー・シネマ。
コメディチックな部分は多いものの、全体に「哀」がきっちりと含まれている。
ロードムービー仕立てだが今ではこういう空気感は出せないだろうし、「無理な起>>続きを読む