岩嵜修平さんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

岩嵜修平

岩嵜修平

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逆光(2021年製作の映画)

3.6

大好きな『ワンダーウォール』組が再集結ということで、ずっと楽しみだった作品。渡辺あや脚本の新境地(『カーネーション』が近いかも)であり、堂々たる須藤蓮初監督作。尾道を舞台に交わされる若者たちの秘めた熱>>続きを読む

春原さんのうた(2021年製作の映画)

3.8

一首の短歌から、どれだけの物語を紡ぐのだ杉田監督は。なるほど、主演の荒木知佳さんが製作のきっかけと聴いて、細部にわたるエピソードの充実と、人物描写の変なリアリティに納得感があったし、そこに生きる(生き>>続きを読む

無聲 The Silent Forest(2020年製作の映画)

3.9

"聴者"の僕達には想像すら出来ない世界の話。必見。かなりキツい性暴力や子どもへの暴力シーンがあるので、注意は必要だし、かなり暗澹たる気持ちになるが、決して目を逸らしてはいけない、社会を変えるきっかけと>>続きを読む

ユンヒへ(2019年製作の映画)

3.7

意図的にクィアや国境を隔てた話を描こうとするというよりは、純然たるラブストーリーを描こうとする中の、一人一人の人生における障壁を描いているようで好ましかったし、なかなか成功作が多いとは言い難い韓日共同>>続きを読む

フタリノセカイ(2021年製作の映画)

3.7

どれだけ想像しても、当事者の気持ちは理解出来ないけれど、国内外問わず今までに観たトランスジェンダーを描いた作品の中で一番、その人の見ている世界を観られた気がした。その分、社会の残酷さを実感出来たし、変>>続きを読む

フォトコピー(2021年製作の映画)

3.8

インドネシア映画の知識がないまま観たけど、凄かった。ド真正面からmetooを描いている。ミステリー色が強く、先の読めない展開の連続で、とある決定的なシーンからの、タイトルの『Photocopier』の>>続きを読む

こんにちは、私のお母さん(2021年製作の映画)

3.6

女性監督では世界最高興行収入の映画ながら、1時間半くらい、前時代的なイケてないベッタベタな人情コメディ(しかも笑えない)を見せられて頭を抱え続けてたんだけど、ラスト30分で見事に泣かされた。

BTT
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わたしたち(2016年製作の映画)

3.8

『はちどり』のキム・ボラ監督、『82年生まれ、キム・ジヨン』のキム・ドヨン監督、『夏時間』のユン・ダンビ監督に比べて日本でまだ注目されてない気がするけど、同じく、韓国の新鋭監督ユン・ガウン監督による『>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.1

過去にも、恐らく未来にも無い、歪な糸を辿ったからこそ生まれた唯一無二の傑作。原作コミック、サム・ライミ版、マーク・ウェブ版、そして、スパイダーバースやゲーム版Marvel's Spider-Manなど>>続きを読む

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

3.5

鬼滅しかり、優れた漫画原作が有るにも関わらず、それを、わざわざアニメ化し、宮崎駿や庵野秀明や新海誠の優れたオリジナルアニメより動員される状況は、理解できつつも、拒否感を抱いてしまう。花澤香菜の声には泣>>続きを読む

ビーチ・バム まじめに不真面目(2019年製作の映画)

3.4

元々ハーモニー・コリン作品が苦手というのも有るが、年間ベストに挙がる識者が少なくないのに首を傾げる。詩人としての才能がありながら、裕福な妻のヒモ同然で生きてきた男が、とあるきっかけでホームレスとなった>>続きを読む

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

3.7

裕福な家庭で夫からも義親からも蔑ろにされる中で、妊娠後、氷から始まり、次々に異物を飲み込み排出することに快感を覚える主人公。エスカレートし、体内までも傷つけ、家族に止められる中でも止めない姿勢に境遇は>>続きを読む

ロン 僕のポンコツ・ボット(2021年製作の映画)

3.7

ディズニーの新ブランドの隠れた傑作アニメ。『ミッチェル家とマシンの反乱』ほど映像表現が新しい訳ではないが、SNSのAIを介した発展が行き着く先のディストピアをアニメならではの表現で描く。キャラも類型化>>続きを読む

まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

3.9

高田亮の脚本がとにかく素晴らしい。成田凌と清原果耶(新境地!)のズレた会話に終始、笑いつつ、社会が強いる規範的な生き方に反発し続ける2人に共感したり置いてかれたり。2人を恋愛関係にするのは疑問がありつ>>続きを読む

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

3.7

男性では計り知れない、女性の働きながら(研究しながら)の大変な育児のリアル。母性を持てなかった主人公の研究との両立の葛藤。既に崩壊した家庭を思い出しながら、崩壊寸前の若き家族の今を眺める辛さ。ギリシャ>>続きを読む

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)

3.8

北マケドニアという未知の地における日本と共通する課題。伝統的な祭における男性中心主義と、女性が年齢に応じて職を失う社会。自らの領域を侵したと嘯く男どもからの暴力にまで晒される中での知力と忍耐を活かした>>続きを読む

アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン(2018年製作の映画)

3.5

映画『リスペクト』が良かったのでこちらも。正直、聴き慣れているのとマスタリング技術の向上からか、ジェニファー・ハドソンの歌唱の方が魅力的に感じてしまうのだけれど、リアルなアレサ・フランクリンと父親の会>>続きを読む

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

3.6

凄まじいドラマで感動したシーンも有ったが、元高級官僚の高齢者による事故に遭った被害者遺族のその後という、誰しもが実在の事故を想起する設定を扱って、実力派俳優たちの演技合戦を見せるという構図に上手く入れ>>続きを読む

猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

3.6

脚本・演出・キャストの演技共に、日本のこの手の映画で抜きん出てるのは前提として、こういう物語を、どう受容すれば良いか悩ましい。確かに観る前には想像もしなかった展開。しかし、ああいう人は確実に今の東京に>>続きを読む

マクベス(2021年製作の映画)

3.7

極めて演劇的な語り口ながらも、真正面から奥行きを生かしたシーンを多用し、背景に入るものを計算し、人間の微細な表情や動きの変化を捉えるカメラワークは、映画でしか、なし得ぬもので、死のリアリティにも驚いた>>続きを読む

香川1区(2021年製作の映画)

3.8

作品として、めっちゃ面白かった。前作『なぜ君』で存分に小川淳也氏の魅力は伝わってきたが、本作では、衆院選の対抗馬・平井卓也氏、町川順子氏の陣営も映すことで、より政治家として人間としてのあるべき姿が明確>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.4

アクションめっちゃ凄くて、メインキャストのキャラが素晴らしいのだけど、絶賛するほどでは無くないか…。同じ女性主体アクションでも、『悪女/AKUJO』とか『The Witch/魔女』とかと、比較してしま>>続きを読む

ある用務員(2020年製作の映画)

3.2

自主制作と思って観たら「アクションすげぇ!」ってなるのかもだけど、初見がTOHOシネマズのTCXだと韓国映画はおろか、『ファブル』みたいな邦画と比較しても見劣りするし、話は既視感あるしで今一つかな…。>>続きを読む

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

3.7

巨大悪徳企業デュポンと戦い続ける一人の弁護士。創作なら、もっと分かりやすく解決して終わるところ、いつまでも決着が付かないのが現実。弁護士の家庭内の問題とか、告発した側の人々のデュポン城下町での居心地悪>>続きを読む

キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

3.5

思いの外、戦争映画なので、覚悟して行った方が良いかも。全体的にセカイ系からの陰謀論からのスパイ映画みたいな感じで(公開が遅れたとは言え)2021年の映画としてこれで良いのか感。アクションは面白かったけ>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.9

笑えて面白くて心をグッと掴まれて。エンタメ作品に必要な要素を抑えつつ、しっかり想像の余白を残し、観客に、恋や友など人生において普遍的な「愛」の在り方を、深いところまで考えさせる。偶然が、想像もしない展>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.9

流石のアダム・マッケイ監督作。まさしく「世界沈没」。某 #日本沈没 も、こういう政治風刺コメディにすれば、まだ面白かったかも。学問の軽視やニュース番組の劣化など日本独自の問題と思ってた多くの問題がアメ>>続きを読む

ひらいて(2021年製作の映画)

3.8

タイミング逃して観れなかったのを、ようやく。圧巻の山田杏奈と芋生悠。この山田杏奈を観てしまったら、好演していた #彼女がすきなものは も見劣りしたかもしれないので、この順番で良かった。綿矢りさ原作も濃>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.2

映画のクオリティは素晴らしく、メインキャストが魅力的なのは前提として、こんな「有害な男性性ゾンビ」映画を純粋に楽しめる男は、どうかしてるだろう。描くべき必要悪とも思わない。逃れ難い魅力がありつつも、エ>>続きを読む

スワン・ソング(2021年製作の映画)

3.7

マハーシャラ・アリ出演作にハズレなし。ナオミ・ハリス、グレン・クローズ、オークワフィナ共演。近未来を舞台に有り得るかもしれない、代理としてのクローンとの人生交換。人間とは。ベンジャミン・クリアリー監督>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

3.7

映画『フリー・ガイ』が画期的だったのは「ゲームのモブキャラを主役にしたこと」に尽きるのではないか。ディズニー映画『シュガー・ラッシュ』は「ゲームの敵役を主役にしたこと」が画期的だった。奇しくも同じくデ>>続きを読む

ダ・ヴィンチは誰に微笑む(2021年製作の映画)

3.4

ダ・ヴィンチ最後の傑作とされる『サルバトール・ムンディ(救世主)』 を巡る商業アート界の魑魅魍魎たちが映されてて、ラスボスたる残虐王子に怯むことなく美術界の権威としての筋を通しつつ、裏では色々やってる>>続きを読む

ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

3.3

ミュージカル映画の2021年ベストが #TickTickBoomMovie ならワーストはこれ。そもそもミュージカルにする意味を感じなかった(序盤は言葉として外に出せないことを歌ってたけど後半は?)し>>続きを読む

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)

4.1

最初から最後まで素晴らしかった!後半は失速しがちなここ数年のディズニー関連作でベストでは。キャラの表情や動き、魔法のスペクタクル、色彩など、アニメ表現としても最先端な上にドラマが見事。『ズートピア』チ>>続きを読む

The Hand of God(2021年製作の映画)

3.5

『Hand of God -神の手が触れた日-』変な映画。監督自身や親戚の記憶をツギハギした印象で、展開は読めず、主人公の青年の人生も大きく揺れ動く。イタリアの風景は美しく、人間関係も面白く、印象に残>>続きを読む

ある女流作家の罪と罰(2018年製作の映画)

3.6

有名人の手紙を偽造していた女性作家リー・イスラエルによる自伝小説の実写化。 #最後の決闘裁判 の共同脚本も手がけたニコール・ホロフセナーの脚本、『幸せへのまわり道』マリエル・ヘラーの演出は、犯罪に手を>>続きを読む