かなり悪いオヤジさんの映画レビュー・感想・評価

かなり悪いオヤジ

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ギフト(2000年製作の映画)

3.6

こういう映画を掘り出し物というのだろう。アメリカ南部の田舎町を舞台にしているスピリチュアル・ホラー作品に、なぜか大物スターたちが大集結しているからてある。ケイト・ブランシェット、キアヌ・リーブス、ヒラ>>続きを読む

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

3.3

本作で唄って踊れることまで示してみせたティモシー・シャラメ。ナイーブなクィアから影のあるカニバリストまで、そのゲイ達者?ぶりは折り紙つきだ。筋肉なら俺の方が勝っていると思っているあなた、それは少々甘す>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.0

アンドリュー・スコットとポール・メスカルのクレジットをご覧になって、やっぱりそうなのかなぁと思ったあなた、あたりです。この映画は紛れもないゲイ・ムービーなのです。スコットとメスカルの濃厚な絡みシーンも>>続きを読む

地球は優しいウソでまわってる(2023年製作の映画)

3.5

この映画の主人公家族は間違ってもトランプには投票しないリベラル家族である。定職にもつかず大麻ショップ?!でアルバイトする一人息子を優しい目で見守るママはライターで、パパはセラピスト。ウサギのように野菜>>続きを読む

逃げきれた夢(2023年製作の映画)

3.5

二ノ宮隆太郎の映画に登場する主人公は、前作『お嬢ちゃん』の萩原みのり(主人公の名前もみのり)と同じように、それを演じる俳優そのものにかなり近いキャラ設定がなされているようだ。今回光石研演じる定時制高校>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.0

もしも経験値のある映画監督だったら、ラストあんな不粋なエンディングには持ち込まなかったことでしょう。ウディ・アレンの『マンハッタン』のように雨に濡れるNYを舞台に、24年ぶりに再会した幼なじみの韓国人>>続きを読む

お料理帖~息子に遺す記憶のレシピ~(2017年製作の映画)

3.5

東洋と西洋では、親の認知症に対する子供の心情に微妙な差があるのではないだろうか。自宅でお惣菜屋を営む料理上手のオモニが突如認知症を発症する本作は、オモニの記憶の中から自分が消え去っていく喪失感に苛まれ>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

3.4

「殺人事件で凶器として使われた包丁を作った人間を裁けるのか」違法ダウンロードによる著作権侵害を助長した罪に問われた伝説のプログラマー金子勇(東出昌大)を主人公にした法廷ドラマである。この金子勇が開発し>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.8

実は本作の原作になっている『アメリカン・プロメテウス』を、映画鑑賞前の予習用として、数ヶ月前に図書館から借りてこっそり読んでいた私。どうせノーランのことだから、原形をとどめないほどに(複雑に)脚色して>>続きを読む

ストロンボリ/神の土地(1949年製作の映画)

3.6

『無防備都市』を観たイングリッド・バーグマンは、ロッセリーニに対して熱烈なラブコールを手紙にして送った。「あなたと一緒に映画を作りたい♥️」気をよくしたロッセリーニはかねてからあたためていた映画の構想>>続きを読む

白鯨(1956年製作の映画)

3.8

広く知られていることだが、スターバックス・コーヒーの社名の由来は、この原作小説に登場する一等航海士の名前にあるらしい。その原作小説には、“モヴィー・ディック”こと白鯨を“男性器”のメタファーとして描い>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.5

2023年、脚本家組合に合流する形で俳優組合がストライキを起こした。ネット配信やAI の影響によるエキストラクラス俳優の待遇悪化が理由だという。本作に出演しているビッグネーム・スター軍団にとっても一大>>続きを読む

マンハッタン(1979年製作の映画)

4.0

「マンハッタンを美しく撮りたかった」そんなウディ・アレンのNY愛が導きだした結論が多分、本作のモノクロ映像だったのだろう。映画冒頭とラストには、霧に煙るマンハッタンの摩天楼群が小津の空舞台演出のように>>続きを読む

オペラハット(1936年製作の映画)

4.5

邦題タイトルを不思議に思った方も多かったのではないでしょうか。原作小説の中核をなしていた、オペラにおける高尚な芸術文化的要素(ハットの山を高くした状態)と大衆文化的要素(ハットを折り畳んだ状態)を融合>>続きを読む

或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.2

『ローマの休日』の元ネタだとか、元祖スクリューボール・コメディ&ロードムービーだとか、アカデミー賞を5部門で獲得した傑作だとかいわれている本作ですが、シチリア出身のイタリア系アメリカ人フランク・キャプ>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.0

義憤に駆られて行動するのだが、その行動があまりにも突飛すぎて周囲が引いてしまう主人公。三島由紀夫しかり、『タクシー・ドライバー』のトラヴィスしかり、『魂のゆくえ』のトラー神父しかり....長年マーティ>>続きを読む

野のユリ(1963年製作の映画)

4.0

本作の出演によって、黒人俳優として初めてアカデミー賞主演男優賞に輝いたシドニー・ポワチエ。ともすると同胞の黒人俳優たちからは「白人にとって理想的な黒人」と揶揄されがちなポワチエであるが、東ドイツからは>>続きを読む

冬の旅(1985年製作の映画)

3.8

世捨人度数を5点満点で評価するとすれば、本作の主人公18歳のモナ(サンドリーヌ・ボネール)は“3”といったところだろうか。いきあたりばったりの成り行き旅、時たまバイトの真似事のようなことをして小銭を稼>>続きを読む

10番街の殺人(1971年製作の映画)

3.7

現在イギリスには死刑制度がないそうだ。その廃止の原因となった“エヴァンス事件”を、公判資料をほぼそのまま流用して映画化した“true story”らしい。連続殺人事件が題材となっているだけに、さぞ重々>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

3.4

元有名歌手のおばあちゃんタレントがコメディアン俳優の運転するタクシーに乗って、パリを東から西へと横断するある1日の物語。その昔パリをナチスから解放してくれたアメリカ人兵士と恋に落ちたばあちゃんは子供を>>続きを読む

聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)

3.0

爆死である。アマプラでの配信がやけに早いなあと思っていたら、興業収入は製作費のなんと1割ちょっと。本作の続編も真剣佑のハリウッド進出も、ほぼ絶望的といっても過言ではないだろう。何がダメだったのだろう。>>続きを読む

8月の家族たち(2013年製作の映画)

3.7

大ヒット戯曲の映画化作品。注目すべきは、キャスティングされた役者の顔ぶれである。メリル・ストリープ、サム・シェパード、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー、ジュリエット・ルイス、クリス・クーパー、ベ>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.7

黒人と聴いてあなたは何を連想しますか?ドラッグ、暴力、犯罪....そんでもって最後は警官に撃たれて即死。これらは、白人の皆さんの黒人に対する贖罪意識をくすぐる上でなくてはならないキーワードだそうなので>>続きを読む

テオレマ(1968年製作の映画)

3.5

イタリア映画界の異端児パゾリーニが、同性愛者かつ共産主義者であったことはよく知られている。つまり、巨匠ルキノ・ヴィスコンティと属性はおんなじ、ということになる。最近観たフランス映画『セントメール』の中>>続きを読む

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

3.8

この映画のタイトルはなぜ“サントメール”というフランス北部カレーにある地方都市の名前がつけられているのだろう。子殺しで起訴されたセネガル人女性を裁く裁判所がある場所だから、というのはいくらなんでも短絡>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

タイトルはオットー・プレミンジャー監督『ANATOMY OF A MURDER(邦題;或る殺人)』からの引用だろう。ジェームス・スチュアート扮する弁護士が、女房を寝とった酒場の主人を殺した軍人の無罪を>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.8

こんなお節介な殺し屋はいやだ。自分のタクシーに乗ったこいつはいい奴で、いい奴から金を盗んだから悪い奴と単純に決めつけるのはいかがなものだろうか。前回までは世捨て人同然のタクシードライバーだった男が、な>>続きを読む

天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.5

パレスチナ人の映画監督(スレイマン本人)が自作映画を売り込むために、故郷を離れパリとNYを訪れるという設定になっているが、本作に描かれているのは間違いなく(ガザ侵攻前の)イスラエル国内におけるパレスチ>>続きを読む

星の旅人たち(2010年製作の映画)

3.6

監督のエミリオ・エステヴェスと主役のマーティン・シーンは映画をご覧になっておわかりのとおり実の親子である。弟のチャーリー以上にこの二人風貌がびっくりするほど似ている。実の親子が映画の中でも親子を演じて>>続きを読む

ブルーベルベット(1986年製作の映画)

3.7

そう、問題は“耳”なのだ。前作『デューン/砂の惑星』の尺を配給元に大幅カットされ、批評&興行共に散々な目に遭ったリンチが、“カルトの帝王”と呼ばれるまでの復活をはたすきっかけになった低予算作品。見た目>>続きを読む

馬上の二人(1961年製作の映画)

3.5

数あるジョン・フォード作品の中でも異色中の異色作である。なにせ、派手な撃ち合いも、コマ落としで馬の走るスピードを速くみせるチェイスシーンも、みんなハッピーのハリウッド・エンディングも全て排除しているの>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.5

ビクトル・エリセも今年で84歳、おそらく本作が遺作となることだろう。本人もその点は十分承知の助で、この『瞳を閉じて』を通して映画人生の集大成をやろうとしている。が、困った点が一つだけ。なにせ半世紀以上>>続きを読む

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

3.4

このミア・ハンセン=ラブという女流監督さん、おそらく北欧系の血筋のせいなのだろうか、女性の描き方がノーマルというかきわめて真っ当なのだ。前作『ベルイマン島にて』においても、尊敬するイングマル・ベルイマ>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

3.5

韓国人のソウル・フードがキムチならば、日本人は味噌汁といったところだろうか。韓国系アメリカ人のスティーブン・ユアン曰く、イ・チャンドン監督『バーニング』に出演したことで、自分が“恨(ハン)の民族”であ>>続きを読む

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

3.4

バンド・デシネ(フランスの漫画)が原作となっている青春ロマンスホラーである。夏休みの間一家で訪れた友人宅の一人娘クロエ16歳とバカンス家族の長男バスティアン14歳の恋物語なのだが、トーンはいたって暗い>>続きを読む

オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

3.5

スタビスキー事件と同様に、フランスにおける反ユダヤ主義を根っこもつ、実際に起こった冤罪事件を題材にした映画。それをなぜこの時期にポランスキーが映画化しようと思ったのか、映画の中身よりもむしろ監督の映画>>続きを読む

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