Junさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

3.8

異様な雰囲気に満ちた鮮やかな色彩と、異常を装いながらも正常であり続けた男の衝撃的な結末。引用されたランボーの詩が脳裏から離れない。捉えどころのないヒロインの心理を探るのも楽しいが、解にたどり着くことは>>続きを読む

理由なき反抗(1955年製作の映画)

3.8

ジェームズ・ディーンの高い演技力と存在感が際立ち、映画封切り直前に亡くなったことからも代表作と化した青春映画。若者の不安定な心の機微が巧みに描かれている。

"理由なき反抗"(原題:Rebel Wit
>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.5

巨匠・小津安二郎の遺作であるが、氏の作品群の中で個人的に最も記憶に刻まれた作品が『秋刀魚の味』だ。それぞれの登場人物を通して垣間見える様々な家族の姿から、人との結び付きが如何に生きていく上で大切な要素>>続きを読む

カサブランカ(1942年製作の映画)

4.2

時代背景からプロパガンダ的要素が多分に含まれてはいるが、長い年月を経て尚現代の視聴者が正確に全てを読み取ることは困難だ。「ロレーヌ十字」のついた指輪を映したシーンなんかも、そのイコンについて考えが及ば>>続きを読む

ある会社員(2012年製作の映画)

3.6

裏稼業の主人公が自身の仕事に疑問を持ち…な展開は繰り返し観た設定で特に感じ入る要素もないが、殺しを請け負う会社(表向きは金属製造会社)とそこに務める会社員という設定から、スーツを身に纏った男性や女性事>>続きを読む

ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦(2020年製作の映画)

1.2

紛うことなきZ級映画。Twitterのタイムラインに流れてるミスティックシールドの下り40秒程眺めておくだけで十分だよ。ストーリー? 場当たり的な展開が意味不明だよ。

ゴジラVSデストロイア(1995年製作の映画)

3.6

平成VSシリーズは作品ごとの完成度のバラつきが見て取れ、決して手放しで褒められはしないんだけれど、今作を観ると不思議といいシリーズだったなと感じられる。1954年版の第1作『ゴジラ』へのオマージュ色が>>続きを読む

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒(1999年製作の映画)

4.5

シリーズ完結作にして最も異色な存在感を放つ第3作。実際に賛否の分かれた意見をよく耳にするのも今作ではないだろうか。ガメラのヒロイックな活躍から離れたダーティな側面や、大勢の住民の犠牲者が出てしまう渋谷>>続きを読む

ARIA The AVVENIRE(2015年製作の映画)

4.5

先輩世代の想い出を描いたcapitolo1、ケット・シーとの再会とお別れを紡ぐcapitolo2、過去を振り返りつつ未来を見据えたcapitolo3。物語の中心が後輩世代に移り変わろうと、主題歌の歌い>>続きを読む

スパイダーVSマン(2013年製作の映画)

3.2

一体何番煎じだといった内容だが、序盤から出し惜しみせずに蜘蛛を登場させ軽快に物語が運ばれるので、ストレスレスに楽しめる。B級映画はやはりこうでなくっちゃ! 巨大グモ(女王)が姿を現してからは怪獣映画の>>続きを読む

99.9-刑事専門弁護士‐ THE MOVIE(2021年製作の映画)

3.9

個人的な印象としては前日譚のスペシャル版の方が変に肩の力が入っていたのではないか? ともすればノイズと取られかねないコメディ要素がいい塩梅に感じられた。本編で完結した内容ではあったけれど、人物紹介も兼>>続きを読む

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション(2018年製作の映画)

4.1

フランス映画産"シティーハンター"。

アニメ版の最新作「新宿プライベート・アイズ」がファンに向けた堅実な作りだったのに対して、こちらはファンが創った快作と言っていいだろう。随所に挟まれた小ネタからお
>>続きを読む

サマー・シャーク・アタック(2016年製作の映画)

2.3

湖にサメを出現させた点以外に筋立てに特異点は見当たらず。真面目に見せたいのか、笑わせたいのか微妙に判断に迷うゆるいテンションがある意味特徴と言えるだろうか。稚拙なCGにやる気は感じられないが、出し惜し>>続きを読む

ポプラン(2022年製作の映画)

4.3

試写会で観賞させていただきました。

トリッキーな題材は観る前から明かされていたけれど、ロードムービーとして丁寧に作られた内容に好感が持てる。例えば死期の迫った主人公が自分を見つめ直すきっかけに縁のあ
>>続きを読む

ロンドンゾンビ紀行(2012年製作の映画)

4.1

バカな映画を真正面から全力で撮ろうという心意気が感じられてとても好感が持てるゾンビ映画。ショッピングモールに立て籠もるのがこの種のジャンル映画の定番だが、今作で登場するのは老人ホーム。この発想に辿り着>>続きを読む

ゾンビ津波(2019年製作の映画)

3.6

タイトルから感じられる地雷臭も何のその、観てみると思いのほか堅実な作りで驚かされる。それもそのはず、サメ映画の人気を牽引したと言っていい『シャークネード』シリーズの監督アンソニー・C・フェランテと主演>>続きを読む

八月のクリスマス(1998年製作の映画)

3.9

言葉少なに語りかけるように、無駄な要素を極限まで削ぎ落とした純粋なラブ・ストーリー。死を扱う多くの映像作品が意識的か無意識にせよ壮大な音楽や悲劇的な演出で観客の涙を誘うことに余念がないが、本作は物語の>>続きを読む

007/黄金銃を持つ男(1974年製作の映画)

3.5

クリストファー・リー演じるスカラマンガの存在感が際立つシリーズ第9作目。原作者イアン・フレミングとクリストファー・リーが従兄弟関係にあったと、初めて観賞した後、かなり月日が経ってから知りました。

>>続きを読む

ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ヒトの怖さを心の底から感じることのできる1作だ。情緒不安定な妊婦を演じるミア・ファローの姿からは張り詰められた空気感を覚え、夫を含め身の回りにいる人物たちに彼女が疑いの目を向ける過程は心理サスペンスと>>続きを読む

007/死ぬのは奴らだ(1973年製作の映画)

3.8

ロジャー・ムーア演じる3代目ボンドデビュー作。音楽もジョン・バリーが降板し、代わってビートルズのプロデューサーでもあるジョージ・マーティンが手掛けている。監督は『007/ダイヤモンドは永遠に』に引き続>>続きを読む

007/ダイヤモンドは永遠に(1971年製作の映画)

3.2

前作『女王陛下の007』を挟みショーン・コネリー復帰作にして最終作。コネリーが復帰のために提示した条件である破格の出演料もよく知られているが、その影響も伺える予算不足が祟ったインパクトが弱いシリーズ第>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.0

イメージを先行して提示された映像劇の全てが、最後に語られる不条理な死をフィルムに定着させる為の材料の一つ一つに過ぎないように見受けられる。フィルム・ノワールよろしく描かれた女性の裏切りと男性の死。ジー>>続きを読む

駅馬車(1986年製作の映画)

3.8

様々な過去を持ち、それぞれ異なる職種に就く登場人物たち全てが魅力的に描かれている。西部劇でありアクション映画に違いないが、彼等の人間模様を捉えたヒューマンドラマとして観ても非常に見応えがある。
しかし
>>続きを読む

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

4.3

見知らぬ乗客の持ち掛けた交換殺人の話から徐々に追い詰められていく主人公の姿が実にスリリング。当然ながら現代の科学捜査を当てにした視点は持ち得ないので、作品内では物的証拠が持つ意義が大きい。事件を巡る主>>続きを読む

キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗(1926年製作の映画)

4.0

恋人と同じくらい、またはそれ以上に蒸気機関車「GENERAL号」を愛する主人公。バスター・キートン演じる彼が北軍に奪われた「GENERAL号」をひたすらに追い、それを奪還するついでに恋人も救出するとい>>続きを読む

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

3.6

端的に言ってこれは革命の映画だ。制作された時代背景も色濃く反映されており、メッセージ性が強い。モノクロ映像からでも鮮烈な情報が読み取れ、中でも蛆虫の湧いた肉を食べるよう船員たちが強要されるシーンは強烈>>続きを読む

アイの歌声を聴かせて(2021年製作の映画)

5.0

個々のキャラクターが魅力的に描かれた上、折り重なるエピソードも物語の終着点目掛けて上手く相互に作用している。膨大なバックアップファイルと書けば無機質極まりないはずだが、AIシオンを通して描かれた過去と>>続きを読む

ブラッダ(2000年製作の映画)

3.5

みんな大好き (ごめん嘘、大嫌い) Gをフィーチャーしたバグズ・パニック。とは言っても海外のGは日本のそれとは形状が異なるので、本能的な嫌悪感はイコールではないかも。クオリティの高い映像は十分気持ち悪>>続きを読む

キラー・モスキート 吸血蚊人間(2005年製作の映画)

2.9

決して褒められた出来ではないけれど、それなりに頑張っているなと感じる1作。嫌に生々しく映るモンスターの造形が良い。病院内の攻防(と言ってもモンスターが強すぎて一方的なもの)は見応えがあったが、その後の>>続きを読む

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

4.3

三部作のうち序章に当たるのでこれ単体で評価を述べるのは難しいが、有無を言わさず時代背景と設定を提示して見せるプロローグは秀逸に感じた。ハサウェイとギギの会話劇の面白さが目を引く一方で、中盤の戦火に包ま>>続きを読む

女王陛下の007(1969年製作の映画)

3.9

ジョージ・レーゼンビー演じる2代目ボンド唯一の作品、偽装結婚といった例外は除きボンドが本気の恋の末に結婚式を挙げる等、特異点が目を引くシリーズ第6作。

初代ボンドを演じたショーン・コネリーと比べると
>>続きを読む

エイリアンVSジョーズ(2020年製作の映画)

1.2

Z級サメ映画を前に何も書くことを思い付かないのだけれど、せめてこの文章を目にした人に観るのはヤメておけ!と強く言いたい。どうしてもと言うのならせめて友達とワイワイ言いながら鑑賞に臨もう。一人とか精神が>>続きを読む

麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜(2011年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

事件を通して描かれる、各登場人物たちの一つ一つの掛け違いから生まれた悲劇。真相が明らかになるに連れ、被害者の本当の想いに気付かされる展開には胸が熱くなる。厳しい意見を言うなれば、最終的な物語の着地点に>>続きを読む

007は二度死ぬ(1967年製作の映画)

3.5

警備員が侵入者ボンドに対して銃をぶっ放す日本て国、なんて恐ろしい…。等とリアリズムの観点から粗を書き連ねたらキリがない、日本が舞台のツッコミどころ満載なシリーズ5作目。娯楽作に振り切れた感はあるが、細>>続きを読む

007/サンダーボール作戦(1965年製作の映画)

3.8

アバンタイトルのアクションが本格的に取り入れられ、シリーズを象徴する骨子が4作目にして完成されたと言えるのではないだろうか。デズモンド・ルウェリン演じるQのキャラクターも確立され、説明にまともに耳を傾>>続きを読む

007/ゴールドフィンガー(1964年製作の映画)

3.4

前作の切れ味は何処へやら、ビジュアルのインパクトを除けば語るべき点の乏しいシリーズ3作目。宿敵ゴールドフィンガーは憎めないキャラクターながら小物感が終始付き纏い、作品全体に漂うバカさ加減を助長している>>続きを読む