時代に翻弄されたある姉妹の話。
🇮🇪の宗教や領土問題も含めてとても興味深い内容でした。

「恋に落ちるのと一緒ね。最初はワクワクするけどしばらくすると冷静になる。最後はたくさんの間違いに気がつく。」

インタビューのこの言葉に全てが詰まっているように感じました。

あまり見られていないようだけど、多くの人に観てもらう価値のある作品です。

IRAのドロース・プライスを中心に、IRAの活動や正義のためと信じて行ってきたことを振り返るミニドラマシリーズ。当事者たちへの告白インタビューを行ったベルファストプロジェクトを元に作られていることもあり、真偽はわからないけど、かなり告発的な内容。
もっと見る人が増えても良さそうなのに、Disney＋でのタイトル画像とあらすじ説明が残念。（安い殺人事件ものかと思ってた）


ドロースはイキってるだけの女性で、ほんとは妹マリアンの方がテロリスト向きという皮肉なところが、話の主人公として最適。アイルランドの独立から、単なる派手な暴力行使へ、そして最後はジェリーへの妬みへと、目的が変わってしまってるところが、IRAという組織の未熟さを際立たせる印象になっている。かなり恣意的ではあるがゆえに、エンタメ的にもなっていてなかなか興味深く見れた。

『デリーガールズ』と並行してみると、
アイルランドの歴史への解像度が上がる。
『ベルファスト』の理解もきっと深まる。
アイルランドの歴史はかなり根が深く複雑だ。

カトリックとプロテスタントの対立は、
このドラマの頃には体勢側(プロテスタント→イギリス軍)と反抗側(カトリック→IRA)になっている。
『ピーキーブラインターズ』で妹の夫がIRAで追われていたように、私もどこかでIRAについて理解しないまま、アイルランドのテロ組織のように思っていた部分があったと思う。

何年も戦争をし、何人も死傷者を出したIRAを、このドラマを観たからと言って、肯定出来るかと言ったらそうではないけれど、20歳前後の女の子たちが、自らの意思で踏み込んだこの戦いは、感情移入してしまった。

特に、6話、ハンストのシーンは辛いけど傑作。ドロアスとマリアンの姉妹の絆、その姉妹を作った母の姿。
少女たちの命懸けの戦いと、彼らも彼らで自らの職務を全うしようとする医療従事者たち。
涙なしには観られない。

ここから話の段階は次へと向かう。振り返りの段階。
このドラマが出した彼女たちの行いの結果はどうだったか。ここまで観続けて、考えないといけない。
今もなお続く、宗教を巡った対立。
早速2025年ベスト候補。