ボクサーの作品情報・感想・評価・動画配信

「ボクサー」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

ポスト・トラブルズ(北アイルランド紛争)映画で最も最初期の作品の1つ(1995年に結ばれた北アイルランドの包括的和平、「聖金曜日の合意」後の1997年に公開)。監督ジム・シェリダンと主演ダニエル・デイ=ルイスのタッグは、『マイ・レフト・フット』、『父の祈りを』に次いで三作目。

立ち位置としては『父の祈りを』に近く、強硬派であるIRAに依らない北アイルランドのカトリック住民の立場を代表しようとする映画になっている。IRAのために殺人を犯した主人公が出所し、かつてのトレーナーとともにカトリック、プロテスタント両方の会員を受け入れるボクシングジムを再設立する。北アイルランドの和平後をボクサーとして必死に生きようとするが、そうした主人公の行動は和平合意をよく思わないカトリックのIRA保守派から反感を買う。また、入獄前の恋人で現在は服役中の活動家の妻でもある女性と再び接近してしまい、それもコミュニティーのタブーに触れてしまうことになる。そうした経緯から、カトリック側の子供たちがボクシングジムに放火してしまい、カトリックとプロテスタントの和解を演出したジムが灰に帰してしまう。

IRA保守派の排外主義は至るところで際立っており、イギリスに渡ってボクシングを継続する主人公を擁護したことでトレーナーが無残に殺されてしまう場面では、最もそれが顕著だ。対して、ボクシングジムのポスト・トラブルズ的な姿勢が未来志向として描かれており、ジムへ通っていた子供を紛争で亡くしたプロテスタントの家族が試合会場でアナウンスされるシーンは、カトリック視点の映画として唯一他者の側に近づく箇所でもある。

カトリック住民側の利害を複雑かつ丁寧に描写した点では現在も評価に値するものの、『レクイエム』のようにカトリック視点からプロテスタントのアルスター義勇軍の一人に入り込む稀有な映画を経たあとでは、やや他者理解が弱い印象も与えてしまう。そういった意味で、カトリック側の映画として、どこまでもカトリック内部のいざこざばかりに終始しており、新しい次元には到達しきれていないという不満も残ってしまった。

刑務所帰りの元ボクサーと、彼の元恋人の人妻をめぐるラヴ・ロマンス。

元テロリストのダニーが14年の刑を終えて出所した。彼はかつての恋人マギーと再会するが、彼女は既に別の男と結婚していた。かつてボクサーとして有望視されていたダニーは、再びボクシングの道に戻ろうとする。同時にマギーとの恋が再燃し…。

辛口ラブ・ストーリー。
ミサホ

ミサホの感想・評価

4.0
 『ディアハンター』でアメリカの名優たちを堪能したあとは、イギリスが誇る名優2人が共演した『ボクサー』です。

 先日『父の祈りを』を観て、急にこっちも観たくなり、引っ張り出して観ちゃった。

 主人公のダニーを演じるダニエルデイルイスは今回は短髪ですが、長髪とはまた違う魅力で、相変わらずのカッコよさ。本作でボクサー役をやるにあたって敢行した足掛け3年の役作りがすごい。

 世界にはあちこちで紛争があるけれど、この北アイルランド紛争もかなり厄介ですね。この紛争は民族ではなく宗教。新旧という違いでこんなにも凄惨な争いになるとは…。

 ダニーのボクサーとしての素質は、融和の道具に使われるように見えるけれど、平和になるのであれば、それもひとつの選択肢。でもそれを断じて許さない人もいて、それはそれは恐ろしい事態に発展する。

 タイトルは、スポーツドラマを想起させるけど、かなり濃い、心を揺さぶられる骨太の社会派ドラマです。

このレビューはネタバレを含みます

タイトルから、ボクシングに主眼を置いた作品かと思いきや、IRAと言う武装組織をからめた、社会的背景の中で起こる人間模様を映し出したドラマでした。終始、重苦しい空気で、静かに幕を閉じた感じです。
のんchan

のんchanの感想・評価

3.8
『マイ・レフトフット』『父の祈りを』に続き、ジム・シェリダン監督🇮🇪とタッグを組んだダニエル・デイ=ルイス。
題名の通りにボクサー役だけど、いや〜非常に重いお話。

北アイルランドの首都ベルファストが舞台。キリスト教カトリックとプロテスタントで住民の深刻な対立が続いてる。その中でも穏健派と過激派に分かれて対立していて、お互い血で血を洗う🩸殺戮を繰り返していたころの物語です。


かつてボクサーとして有望視されていたものの、IRAの元テロリストとして投獄されていたダニー(ダニエル)。14年の刑期を終えて出所するところから始まる。
出所する日の朝もシャドーボクシング🥊をしている。
《この役の為、プロボクサーと週3回のスパーリングを3年続けたというダニエル。この作品もやはり本物感が漲っています》

ダニーは32歳になっていた。出所後に元のIRA仲間と付き合わず、真っ当に生きるため手造りのボクシングジムを始め、プロボクサーとして再起を掛ける。しかし、過激派の元仲間が放っておくはずはなく...

10代で愛し合っていたマギー(エミリー・ワトソン)を思い続けていたが、自分を待たないよう一切連絡を経っていた。その為、マギーはダニーの親友と結婚し1人息子がいる。
激しい抱擁等がほぼないものの、返って心底愛し合っている2人の思いが痛いほどに伝わってくる💞

終始暗く気持ちが沈みそうになるものの、途中、本格的なボクシング🥊試合が映し出され、集中する見どころはあります。

ダニーの台詞で「人を殺したくはないが、この街は人を殺したい気分にさせる」はズシリと重かった。復讐は復讐を生む。いつの時代でも変わらない。

監督は憎しみの感情で良い事は起こらない。抗争のない未来へ繋げたいというメッセージを込めているように感じた。
憲

憲の感想・評価

3.7
『マイ・レフトフット』(1989年)、『父の祈りを』(1993年)に続く、ジム・シェリダン監督とダニエル・デイ=ルイスがタッグを組んだ三作目。

とても重たくて、何か胸が痛いというか苦しい気持ちになった。こんなのはあまり経験した事なかった。あまり見てられない気持ちになった。
ダニエル・デイ=ルイスの落ち着き払った態度や抑えた演技が物語の重厚さと痛みを描いていると思うし、14年という月日の経た人間の骨太さを感じた。
キャスティングもヒロイン役がエミリー・ワトソンという女優さんでとても誠実で真っ直ぐで、好感が持てるキャスティングだと思った。

19歳の時に身を焦すほどに1人の女性を愛し、その女性が自分が服役中に自分の親友と結婚して子供を産んでいても服役中の14年間変わらずに愛し続けていた一途な心。僕は素敵だと思う。

『父の祈りを』に続きIRAの問題を描写している。僕は全然知識なくて知らなかったから少しだけ調べた中で言うと、「北アイルランド紛争」を背景にIRAの穏健派と過激派の争いというミクロな視点のストーリーであり、そして宗教の闇、さらに思想争いに終わりは無いのだろう。
結構難しい。
実際にこういう事が起きているのだと思うととても哀しいというか辛い。
やはり重い。

ダニエル・デイ=ルイスはダニーを演じるためにプロボクサーと週3回のスパーリングを3年続けたとの逸話があるらしい。
yuta

yutaの感想・評価

4.0
『マイ・レフトフット』(1989年)、『父の祈りを』(1993年)に続く、ジム・シェリダン監督とダニエル・デイ=ルイスさんがタッグを組んだ三作目の作品です。

映画の舞台は北アイルランドのベルファストです。撮影も実際にアイルランドで行われており、北アイルランド問題(1960年代後半から始まった北アイルランドの領有を巡るイギリスとアイルランドの紛争)については、詳しくわからないですが、その辺の社会事情も描かれています。

ボクサーとして将来を有望視されていたダニー(ダニエル・デイ=ルイスさん)は、19歳の時にIRAとして爆弾テロを起こしたとして逮捕され、14年の刑期を模範囚として終え出所しました。
当時恋人だったマギー(エミリー・ワトソンさん)は、既にダニーの親友と結婚したが、夫は現在服役中で一人息子を育てていました。

ダニーは、かつてトレーナーだったアイク(ケン・ストットさん)と再びボクシングを始め、マギーとはそっけない対応だったが、心の内に押さえつけていた愛情を次第に押さえられなくなり、組織の目を気にしつつも禁断の愛を貫くことを決意するが・・・。

撮影に入るまで2年間、ダニエルさんは元チャンピオンのボクサーに指導を受けたとのことで、ボクシングのシーンは迫力満点でした。
歴史背景をあまり知らないが、題材も暗く、忍耐強く観る必要がある
eigajikou

eigajikouの感想・評価

4.0
ダニデイがエミリーに言う愛のセリフは彼にしか許されないものと思ったな。他の人だったらシラケてお話しにならない。
(要北アイルランドの歴史ですよ)
公開時に浜松から名古屋へ遠征して見た。
tych

tychの感想・評価

3.8
The Boxer 1997年 114分。イギリスから分離し、アイルランドとの統一を求めるカトリック系とイギリス残留を求めるプロテスタント系の争いが絶えない街ベルファスト。14年の刑期を終えた元IRAの闘士ダニー・フリンは、この街でボクサーとして再起を目指す。合わせて、宗教にもとらわれない平和をアピールしようとするが、過去を引きずる勢力は容易に妥協しようとはしない。難しい状況下、自分を貫くヒーロー像。デイ=ルイス、ボクシングシーンもそれらしくこなしている。
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