【第67回ヴェネツィア映画祭　UNICEF賞他全2冠】
『潜水服は蝶の夢を見る』ジュリアン・シュナーベル監督作品。ヴェネツィア映画祭コンペに出品、UNICEF賞とUNESCO賞を受賞した。

傑作。シュナーベル監督作品の中ではあまり知られていないが、彼の叙情的な演出と物語が見事にマッチした作品。

イスラエル＝パレスチナ間のオスロ合意に至るまでをパレスチナの少女の視点から描く群像劇。イスラエルが暴挙を繰り返している今こそ観るべき作品だと思う。

パレスチナ孤児を助ける活動をする夫人、性的虐待から逃げてきた女、そして夫人のもとで育った少女と視点が移り変わっていく。激動の時代を克明に記録した作品であり、今も終わらない紛争をまざまざと提示した作品。

とにかくミラルに幸あれと願わずにはいられなかった。最後に出るテロップで頭を抱えた。まさに現在進行形の悲劇を記した作品として非常に重要だ。

自分の国を持てない、それはつまりアイデンティティーの不確定でもある。自分は一体何者なのか、それが分からない人生は悲惨だ。

イスラエル軍の凶行、パレスチナ解放戦線の弾圧…ミラルはまさに当事者として関わっていく。

この世界に平和など訪れるのか、非常に重い気持ちになる。骨太なストーリーと叙情的な演出、役者たちの熱演と言うことなしの傑作。今こそ観るべき重要作。

• #第67回ヴェネツィア国際映画祭

モスク

1948年、イスラエルがパレスチナに侵攻しエルサレムには戦災孤児が溢れる
そうした孤児たちのために生涯を捧げることになるヒンドゥ・ホセイニは、孤児たちのための学校を設立
ヒンドゥから愛と教育を受けて育った少女ミラルは、紛争の中でも自らの生い立ちと激動する世界を見つめながら成長していく……

1973年イスラエル生まれで、本作の脚本を手がけたルーラ・ジブリールの自伝的物語

２つのスゴい人生

難しい問題
父、人種、、

恐ろしいです

アクション
雰囲気良かった

実際の映像もあります

イスラエル・パレスチナ問題を４人の女性の目線で描いた群像劇風映画。
物語は４人の女性の名前である、ヒンドゥ、ナディア、ファーティマ、ミラルの４話から成る。
この問題を扱った映画でイスラエル資本が入っている映画は、パレスチナの情景を綺麗に映し過ぎている感がある作品が多く、今作においても、第１話のヒンドゥにその傾向が見受けられ、ウィレム・デフォーまで登場する始末で興醒め気味でしたが、第２話のナディアから、突然作風が変わったかのような雰囲気があり、そこから引き込まれました。
歴史的な背景としては1948年5月14日のユダヤ人民評議会によるイスラエルの独立宣言（シオニズム）から始まり、同年の第一次中東戦争（イスラエル側での呼称は独立戦争）、1967年の第三次中東戦争（イスラエル側での呼称は六日戦争）、1987第１次インティファーダ（民衆蜂起）、1993年のオスロ合意まで広範囲に渡って描かれる。
主な言語は英語ではあるものの、主としてパレスチナ目線で物語が進んでいくところが良いと思いました。