1980年の「トーキング・ヘッズ」をモチーフに、オリジナルの監督亡き今、ほぼ同じ質問を過去の関係者に尋ねていく模様を納めたドキュメンタリー。2021年だけあってZoom実施！

1980年のオリジナル版では全体主義からの脱却を思う人が多かったが、30年以上が経過した今戦争の痕跡について振り返る人はごく僅か。個人主義が根を張った今、誰もが自分の生き方や将来の社会を見据えている。聞き先が偏っていて社会性が見え辛い事やキェシロフスキ監督ほどテンポ感が巧くないからか完成度は「トーキング・ヘッズ」に見劣りするものの、これはこれで面白い試みだったと思う。

言っちゃえばzoom会議なので当然眠い。平均年齢高めなのとコロナ禍なのもあって、割とみんなそれぞれの言い方で「生きたい」を表明していた。できればいつまでもこの世界にとどまっていたい、と。そう思えるように老境を迎えたいわな…

ペマツェテン、レイガダス、アスガーファルハディ、ラミンバーラミの監督陣だけでなくキェシロフスキの当時の作品俳優が「トーキンズヘッズ」の再現をオンラインで行う。デカローグ第10話で「はやく逝くなよ」と当時の自分の台詞を発するじいさんが粋でグッときた。ファルハディが「いつ自分が死ぬのか」監督にききたいと言ってたが死の恐れを監督自身の声からきけるのも貴重だったしキェシロフスキの偉大さと時代は続いている感がコロナ禍にある現代において良き試みであった。

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