リメイク元『小犬をつれた貴婦人』に、長々とコメディを追加した意図が不明。
もっと格調高いのを期待してたのに…。
ロングバージョンは長すぎて苦痛だった。
が、ラスト。そういうことか。
自業自得？人間万事塞翁が馬？
最後のシーンが通常バージョンから変更されてるらしいが、配信も円盤もなくて腹が立つ。

ええねえ💓、
もうたまらん
マルチェロ・マストロヤンニ✨

彼の切なさと愛に満ちた瞳、そこには隠し切れへんスケベそうな鼻の下の長さよ。無類の女好きの浮気性。ウソやろ、口から出任せ…、だけどどっか憎まれへん。焼きもち妬いて妬いて腹立って拗ねてても、おもろいことしたり言うたりして笑かしてくれる(marucoお得意の妄想癖)

だけど、彼はやっぱりちがうねん。
ジワリと不思議な品位が漂う。こう言う人のことを多分『艶福家✨』と言うんやろか。そんな彼をまだ生きてると思いこんでた。知らんかった。たった、たったの72歳で帰らぬ人となってた。悲しいよ、
鼻の下の長い人は昔から長生きの印やと言われてたのに…、

名優マルチェロ・マストロヤンニ✨
いつの日かきっとマタアイマショウ

最後に、黒い瞳アンナの儚げな美しさと強かさ、そしてサバーチカの従順さと賢さは愛おしくて血が騒ぐ。
抱かせてもらって柔らかな毛の中にギュッと顔を突っ込み嗅ぎたい💓
二人の鶏舎でのシーンは好きやった
それを外で見守るサバーチカの愛おしさよ✨

たった一度だけロマーノは号泣する
多分これだけは嘘ではなかったと思う。ロマーノの長話をずっとずっと聴いてやり寄り添ってた人。
こんなええ人おらんって❢
きっと誰よりもええ人やった❣️

◎オペラブッファ仕立てのマカロニ・チェーホフ

2016年 4K修復ロングバージョン（2K上映）
カラー スタンダード

白いスーツに身を包んだマストロヤンニ、貴婦人が風で飛ばされた帽子を取りに、そのままの服装で泥湯のなかに入って行き、帽子と泥湯に浮かべられた香り高い黄色い花を手にして、泥だらけになったスーツをモノともせずに貴婦人に手渡す。

まさに「伊達男のキザ」を絵に描いたようなこのシーンだけは良く覚えているので、やはり再見なのだろうか、それとも何かの名シーン集でこのシーンを観ただけで本作自体は初見なのだろうか。
結局わからず仕舞いだ。

だが、そう言えば、ラテン系の俳優でいちばんのお気に入りはマストロヤンニだったこと、これがゲルマン系だとジャック・レモンで、だから二人が共演した『マカロニ』（1985年/日本公開88年 エットーレ・スコラ監督）は最高のお気に入りの一つだったことを思い出したりした。

いやぁ、ジャック・レモンこそ登場しないけれど、作中、豪勢なイタリアの湯治場のステージでソプラノ歌手によってヨハン・シュトラウスの喜歌劇『こうもり』やロッシーニの『セヴィリアの理髪師』等々のアリアを歌ったりする本作は、思っていた以上にオペラ・ブッファ（喜劇オペラ）を意識した作りで、軽みを身上とするマストロヤンニはまさに切って嵌めたように本領を発揮している。

冒頭から大富豪の娘にして相続人で妻のエリザを、ヴィスコンティはじめイタリア映画には欠かせないシルヴァーナ・マンガーノが演じているのも贅沢の極みだが、その彼女が冷たい視線を投げかけるなか、夫のロマーノ（マストロヤンニ）が鶏を真似た歩き方で豪邸から庭で行われているパーティ会場まで出て行くさまを観るだけで得した気分になる。

あれほど気に入っていた『マカロニ』もストーリーを話せと言われても少しも思い出せないが、マストロヤンニとジャック・レモンが良かったことだけは間違いなく覚えている。

だから本作でもストーリーがどうのとか、構成がどうの、とかは、ほとんどどうでも良くて、ただマストロヤンニが機嫌よく彼の本領を発揮している様を観れるだけで「永遠の名作」なのだ。

いやいや、中盤過ぎて、舞台が湯治場で出会った美人な人妻アンナ（エレナ・サファーノヴァ）を探し求めて、ロシア各地を強化ガラスの見本を掲げながら転々とする珍道中編になるころまで、てっきり本作は正真正銘のイタリア映画だと思い込んでいた。

ところが、どうやら本当にサント・ペテルブルクでしっかりロケしているらしいことに気が付いて、そう言えば、監督は（ニキータ・）ミハイルコフ。
ひょっとしてイタリア人ぢゃなくて、ロシア人？
‥‥と思って終映後、確認すると間違いなく1945年、モスクワ生まれのソ連（当時）人。

ヘェ〜っ、ロシア人で、これだけイタリア映画らしく、マストロヤンニのとぼけた味わいやシルヴァーナ・マンガーノの威厳ある姿を自然に撮れるなんて凄い！

チェーホフの幾つかの短編を自由に翻案したらしいが、ややこしい家族劇の作家という印象が強い彼の原作から、これほどに軽みに溢れた風俗コメディを編み出せた手腕もまた凄い！

いつかまた観たい、やはり永遠の名作の一つだ。