ヴィスコンティの遺作。
久しぶりの再鑑賞です。
キャストはジャンカルロジャンニーニ、ラウラアントネッリ、ジェニファーオニールなど。
愛人が好きで、
妻を妹のように思っている、
我儘を我慢してくれ、
と妻に言う男！
愛人への愛を、妻に熱く語る。
倍返しされてほしいな。
キャストと衣装が美しい。
快楽の追求もつらいよ、でした。

• #フェンシング

【1979年キネマ旬報外国映画ベストテン　第4位】
『ベニスに死す』ルキノ・ヴィスコンティ監督の遺作。ダヴィッド・デ・ドナテッロ賞では作曲賞を受賞、日本では1979年に修正版が公開されキネマ旬報ベストテンで第4位に選出された。

赤裸々な貴族たちの恋愛日誌。流石ヴィスコンティという品格を保った映像が素晴らしい。割とドロドロした話だが下世話にならず描ききっているのがいい。

ヴィスコンティの遺作ということだが、確かに彼の集大成感はある。貴族たちの恋愛の行く末、骨太に語るストーリーテリングが流石だ。

まあ正直新味はないものの、貴族社会を描くことに長けたヴィスコンティらしい映画だった。それなりに興味を持って観ることが出来た。

• #キネ旬外国ベストテン1979

豪華絢爛、何千万かけてるか分からない重厚感で描かれるのは、暇を持て余したイタリア貴族たちの決して気持ちよく終われないドロドロ不倫劇。
ヴィスコンティの大抵の作品に1人は登場するクズ男が今回は主役を張ってしまったという大胆さですが、お陰で最初から最後までゲスい台詞を思う存分堪能できる珍しい仕上がりになってました。
美しき魔性の未亡人テレザに恋してしまった主人公トゥリオですが、貞淑な若き妻ジュリアーナもテレザも両方手放したくないばっかりに、妻に「僕ちんめっちゃいい女見つけて付き合い始めて手放したくないからしばらく自由にさせてもらえる？あっ君とは絆も情もあるからもちろん離婚する気はないんだけど、どっちかっていうと君は妻というよりは妹みたいな感じなんだよねー。」(字幕はもっとキザに回りくどいですが)みたいなこと言いやがる無神経さ。
もう一周通り越して笑いました。
妻ジュリアーナといるときはテレザの悪口いい、テレザといるときはジュリアーナの悪口言い、彼が無神論者であるのは勝手だけど、無神論どころか頭のネジどっかイカれてるのかと思うほどの自分勝手さと嫉妬深さは爆走し続けるけど、それでも成立するのはもう、トゥリオ、ジュリアーナ、テレザのうっとりとする美男美女ぶりを堪能できるおかげだけでしょうね。
妻ジュリアーナを演じたラウラ・アントネッリの見事なまでの脱ぎっぷりでしたがまさかあんなところが無法地帯だとは驚き。
美しい造形物と、生々しさがエロチックである意味イノセント。

そんでもってはじめのシーンは結構なクソ女だと思ったテレザですが結局は最初から最後までブレない凛とした生き方にラストには結構好感持ってしまった。
「男は私たちを星の方まで押し上げもう片方で引き下ろす。
一緒に地上で歩けばいいのに。一緒に仲良く。どうせ男も女も同じ人間でしょ。」と毅然とした態度でトゥリオを拒否ったテレザは美しいったらありゃしなくて、姉御！ついて行きます！って言いたいくらいです。

基本的にクズ男主人公トゥリオの繰り広げる内容はとことんゲスいしラストまでまだ全然好きになれるところがないのに、この作品を芯から嫌いにははなれないのは、きっと重厚な音楽と美術調度品によって物語をゴージャスに演出しなごらも、男と女の弱い部分を、丸裸にしてとことん醜く美化なしで描いているからなんだろうな。

恐るべしヴィスコンティ。