ナレーションでロバの感情を教えてくれるの嬉しすぎ！

寓話としての見栄や嘘のなさ。各登場人物や動物たちの、細かい所作のたくさんたくさんかわいいこと。景色の美しいこと。

城砦的な空間のワクワク感（ぼくにとってはテレビゲーム経由のワクワク）と、高さを使ったアクションの撮り方もいい。ぐだぐだしてるところをヒキでしっかり眺めてくれるのも好き。

ただ、動物や子供たちにとって危険であろう撮影を思うと、その点は見ていて苦しくなる。

はあ…最高すぎる。たった55分！
こういう映画をずっと見ていたい。
海辺を走るロバと子どもたちから始まる。
台詞はほぼなく俯瞰的なナレーションが
状況を時折説明してくれる形式で
これが絵本のような感じで良い。
ロバはこう思ったとかロバの心理まで
説明してくれるのが可愛い。
主人公からロバのビムが奪われることで
追う者／追われる者の構図が出現し
そのまま転がり続けるシンプル設計で
だからこそ子どももロバも動き走る必要が出てくる。
前半の上下縦構図の侵入劇と
後半の横へ横へ広がりを見せる追跡劇で抜かりがない。
さらにそこから海へ舞台を映すのも凄くて
ここで前半の水への落下アクションを変奏させる。
この時に待っているロバたちを
インサートするのもめちゃ良い。
目の周りと鼻と口の周りが白くて
足がシュッと細長いロバがとにかく可愛く
そんなロバのステッカーが入場特典で貰えて嬉しい。

今から74年前、アルベール・ラモリスにとって初の劇映画にして僅か55分の幻の名作。
時折ナレーションは流れるが台詞は殆どなく、詩情豊かな絵本のような映像世界に魅了された。
ロバ映画といえばブレッソン『バルタザールどこへ行く』スコリモフスキ『EO イーオー』等が有名だが、本作はその原点とも言える。
ロケ地となったジェルバ島(チュニジア)の美しさに加え、仔ロバの名演と愛おしさはこの教訓的寓話に確かな真実味を齎した。
アクションシーンに於ける立体的な動きやカメラワークも大変見応えあり。

• #パンフレット所有