東京都渋谷の住宅街、男（香川照之）は気怠そうにトイレに篭りながら、紙に手をかけるがペーパーがない。カラになったトイレット・ペーパーの筒を掌に押し付けながら、円状の跡がいつ消えるのか想いを馳せる。男は10年前から引きこもりの一人暮らしで、亡くなった父親宛に誰かから送金される怪しいお金で暮らしている。TVをまったく観ず、10年間かけて読んだ本をブラウン管テレビの回りにきっちりと積み上げる潔癖ぶり。男は整理整頓を完璧にこなし、父親の部屋には絶対に入らないと決めている。金と電話さえあればOK、光に当たるのは心底嫌だが、光の動きには敏感で、いつも決まって食事は流しの前で立って食べるのは消化に良いからである。彼の唯一の楽しみは、毎週土曜日に「PIZZA'S END」に注文する宅配ピザだが、引きこもりの男は絶対に配達員の女と目を合わそうとしない。だがある日、女が付けたガーターベルトが目に入った男は、女（蒼井優）の顔を見てしまう。時が止まったかのように見つめ合う2人だったが、その瞬間大きな地震が来て、女は玄関口に気絶して倒れる。

　レオス・カラックス、ミシェル・ゴンドリー、そしてポン・ジュノが「東京」を題材に撮り下ろした短編オムニバス。中でもレオス・カラックスが自らの分身とも呼ぶべきドゥニ・ラヴァンを「下水道の怪人」とした真ん中の『メルド』が圧倒的なクオリティながら、3本目のポン・ジュノも負けていない。働き盛りの10年間を引きこもりがちで過ごして来た主人公は、少女に恋をしたことで見える景色が変わる。男が毎週土曜日に10年間食べ続けたピザの空き箱の山、それでも気付けなかった少女の美しさに気付くきっかけがガーターベルトだというのは皮肉な話だが、恋が始まる瞬間、地軸のバランスが歪められ、天変地異が起こる。早朝に撮影された無人のスクランブル交差点、潔癖症的に整理整頓された備品の塔など幾つもの東京とそこに住む人々を切り取る断片的イメージが積み上げられ、世界は皮肉にも男が外に向かい歩き始めた瞬間に反転し、真逆の位相に転じる。「ミスター過剰演技」こと香川照之と竹中直人のまさかの共演、無機質で冷めた表情をしたファム・ファタールのような蒼井優のヒロイン像、ソウル在住の韓国人のポン・ジュノから見た東京のイメージはかくも孤独で、脆く儚い。

有名監督3名の短編オムニバス！

TOKYO!

鑑賞しましたー✨

エターナルサンシャインのミシェルゴンドリー監督、
ポンヌフの恋人のレオカラックス監督、
パラサイトのポンジュノ監督

豪華な3名の短編、面白かったです！

ポンジュノ作品が好きだったかも！
どれもアートな作品。
比喩が効いてるというか、なんか納得するものがある。独特な視点の東京を見られます。

映画は言葉だけでは伝わらないことを感覚的に伝えてくれるんだ！ということを再確認しました。

東京を舞台に映画界を代表するの奇才が奇妙な物語を展開するオムニバス映画。全部好きです。特に一本目かな。

ミシェル・ゴンドリー
ストーリー勝ち。でもこの話どっかで聞いたことあるんだよなと思ったら江戸川乱歩の「人間椅子」でしたね。そこから着想を得ているのかは不明ですが中々面白いお話で刺激的でした。
色んな人がいて色んな物が行き交うTOKYOで「自分の存在意義」は見失いがち。求められるものばかりに対応してたら楽かもしれないけど自分を見失っちゃう。やりたいこと、求められること、やるべきこと、どれを選ぶのが一番なのかな。まあ自分が一番生き甲斐を感じるのがいいのかも。

レオス・カラックス
キャラ勝ち。メルド。可愛いね。ホーリー・モーターズにも出演してましたねこいつ。これが元ネタだったのか。依然キモかった。でもなんか人間より人間味があったのかも。人が人を裁く光景って身近にもあるのかも。これまたTOKYOっぽい。

ポン・ジュノ
映像勝ち。とりあえず綺麗。ストーリーは一番理解できなかったけど結構メルヘンチックなラブロマンスだったのかも。キャストも豪華。光を十分に取り入れた描写と蒼井優の透明感が合っていた。綺麗だねえ。光・闇その二つを凄く上手に使い分けてたな。

ぜひ