イタリアを代表する大女優ソフィア・ローレン様、昨日(9月20日)で83歳のお誕生日を迎えました。
おめでとうございます！

圧倒的な美貌とエレガントさを持ち合わせ、しかも肉感的なダイナマイトボディで世界中の老若男女を虜にしてきたローレン様。

本作は彼女が国際俳優ピーター・オトゥールと共演を果たしたハリウッド映画であり、
元々はブロードウェイで好評だった舞台「ラ・マンチャの男」を映画化したミュージカル作品。

スペイン最高峰の文学者セルバンテスが執筆した「ドン・キホーテ」をベースにしているものの、
オトゥール演じるセルバンテスが獄中で狂人ドン・キホーテの役を演じ、しかもキホーテの真の姿はアロンソ・キハーノという重層的構造で物語は展開していきます。

一般的に「ドン・キホーテ」というと"常軌を逸した耄碌老人の道化話"という認識が強いかも知れませんが、
ここではドン・キホーテ=セルバンテスという的確な解釈が本作の真意を明解にしてくれるのです。

セルバンテスはかつて「レパントの片手男」と呼ばれるほどの勇猛果敢な兵士であり、祖国スペインとキリスト教の大義の為に勇敢に戦った英雄。
しかし退役後すぐに捕虜となって奴隷生活を強いられ、帰国後も良い仕事にありつけず、三度の入獄も経験し、68歳で亡くなるまで逼迫した困窮生活を送り続けました。

「ドン・キホーテ」は彼が55歳の時に投獄された際、地下牢で構想されたと云われています。
忘れ去られようとしている中世の騎士道精神を堕落腐敗した近代に再び蘇らせ、世間の嘲笑を浴びようとも己の理想と正義を貫き、愚行にまみれた大冒険を繰り広げる狂老人ドン・キホーテ。

その姿は騎士道精神を実戦して英雄の名を手にいれた前半生、貧困と屈辱にまみれた後半生を振り返るセルバンテス自身の投影でもあるわけです。
人生の終点に差し迫った絶望的状況で自身の過去を清算し、小説執筆という手段で人生最後の敗者復活戦に賭けようとする彼の思い。
必敗の闘いを前にしてでも崇高な騎士道精神を貫く理想主義者ドン・キホーテは、
運命に抗い最後まで人生を全うしようとする人間の力強さを我々に教えてくれるのです。

そんな彼に気性荒く、そして次第に優しく理解を示してゆくソフィア・ローレンことドルシネア。
彼が彼女に捧げた歌「ドルシネア」の美しい旋律は、いつまでも我々の心に留まることでしょう。

去年でちょうど没後400年を迎え、来週29日で生誕470年を迎えるセルバンテス。
彼が遺した名作「ドン・キホーテ」は今も人々を魅了し続け、テリー・ギリアム監督も度々そのモチーフを作品に投影してきました。
そしてついに来年、頓挫していた「ドン・キホーテを殺した男」がアダム・ドライバー主演で公開されるということで、ギリアム念願の集大成を是非とも心待ちにしたいと思います。

作家セルバンテスは、カトリック教会に背いた罪で地下の牢獄に入れられる。
そこには宗教裁判を待つ者たちがおり、セルバンテスが彼らに語って聞かせるのが「ドン・キホーテの物語」。

クラシックバレエのドン・キホーテしか見たことなかったのですが、こういう物語だったのですね。
騎士道物語好きのボケ老人による、ちょっとコミカルなミュージカルだと思っていましたが、全然違いました。悲しく、深い物語だった。
「見果てぬ夢を追い、かなわぬ敵に挑む。
耐え得ぬ悲しみに耐え、勇者も行かぬ地へ向かう」
セルバンテスの語る騎士道とは何か。夢とは何か。敵とは、権力のことか、または弱い自分か。

ソフィア・ローレンとピーター・オトゥールの共演…✨
だけどさすがに歌は吹き替えですよねえ？（と思ったら本当だった。すみませんすみません）
あと、姪の婚約者が、ジェレミー・ブレッド主演のTV版「シャーロック・ホームズ」の「美しき自転車乗り」に出てた俳優だと思うんですけど、名前がわからない！

ドン・キホーテかと思ってたんだけど
こんなに悲しい映画だったんだね

ドン・キホーテの虚と獄内の実が連続するけど
キッチリ観安く整理されていたのはさすがアーサー・ヒラー！
実の静かな怒りも最高

ピーター・オトゥールが素晴らしい
ドン・キホーテの軽妙さは勿論
セルバンテスの熱さも見事
ラストの格好良さよ！