「murder(殺人)なんて嫌だ」
「違う。kill(殺す)だ」
「同じです」
「同じじゃない。kill(殺す)は動物に使う」

1918年、第一次世界大戦下のフランス。
終戦を知らずに敵兵を殺した、一人の兵士がいた。
1942年、第二次世界大戦中。彼は軍曹として、再び激戦地へと赴く。
そこで彼は、若い兵士達へ、戦うことと生き残ることを諭していく……。

南フランス、北アフリカ、シチリアのシシリー島、ノルマンディー上陸作戦、第一次大戦で終戦後に敵を殺した因縁の平野、ベルギー、ドイツ。
そして、チェコスロバキアのファルカナルへ……。

転戦を重ね、補充兵がバタバタと死んでいく中、生き延び続ける軍曹と4人の兵士。
狙撃が得意なグリフ。
痔持ちのジョンスン。
音楽好きのビンチ。
ヘミングウェイかぶれのザブ。
軍曹率いるこの4人、いつしか『軍曹と彼を守る4騎士』と言われるように。
彼らの成長、友情、戦場慣れ、楽観的鈍感、ちょっとした幸せ。
絆を深める5人、命の重みとその軽さを突き付けられる5人、優しさと冷酷さを持ち合わせる5人。
戦争の悲惨さと猛烈さを、5人を通して感じます。

始まりと終わり、戦場で赤ちゃん、グリフのbefore after、色んな対比がありました。
海から進軍するときは、銃口にコンドームをつけるんですね。勉強になりました(そんな場面に遭遇しないことを切に願います)。

多くの戦争映画があります。基本的に、戦争映画はどれも好きです。
その中でも、かなり自分好みの一本でした。

• #戦争

DVDのパッケージに貼ってあるシールには113分と書いてあるのに、実際は163分もありビックリ。

リコンストラクション版だそう。公開時は監督の意図に反してカットされたものを、監督が亡くなってから再製作されたようです。
私が最初に観たのはオリジナル版でした。50分も長いとは！

北アフリカ、イタリア、フランス、ベルギー、ドイツと常に最前線で戦う一小隊の姿を、飾りを排しリアルに追うサミュエル・フラーの戦争ロードムービー？にして、戦争映画の真の傑作！

行く先々で色んな状況に遭遇し、戦闘の合間にはそこに住む人々との様々なエピソードも挟まれ、戦争の残酷さや理不尽さが浮き彫りになります。そのあたりの描き方はちょっと寓話的でもあります。

彼らの小隊は最前線なので沢山死ぬのですが、補充される新兵から先に死んでいくというあたり辛いです。でも生き延びても次の戦場が待っているだけ。生きるも地獄。それが戦場。だから仲間が周りで死んでいっても淡々としています。

リアルだったり淡々としていたり、寓話的であったりと、ちょっと風変わりな戦争映画で、好みは分かれると思いますが、個人的にはとても面白かったです。時間が長くなり、よりパワーアップしたと感じました。

小隊を率いる軍曹を演じるリー・マービンがいい味出してます。彼は二度の大戦を経験するのですが、冒頭の第一次世界大戦時と最後の第二次世界大戦時の両シーンで同じ過ちをしてしまいます。その対処が違い対比的に描かれます。このあたりも意味深です。

また、「スターウォーズ」以外の若いマーク・ハミルが観られます。

• #もしも名画座の支配人だったら

B級映画の巨匠サミュエル・フラーの戦争体験をもとに製作された戦争ドラマ。

アメリカ軍のとある分隊を率いる軍曹と彼の部下である4人の若い兵士が戦争の中で様々な体験をする半ロードムービーのような構成。軍の最前線での戦いなので銃撃戦の描写は激しいが個人的にはある地を訪れての数々のエピソードが見どころ。

戦火を逃れた村人を助けたり、一緒にパーティーをしたりするシーンは戦時下ながらわずかな希望を垣間見ることができ、反戦映画というよりかはそういった側面が見える。主人公である軍曹は若い兵士に鬼のように恐れられているが父のようにも慕われており時として慈愛のある眼差しを見せる。そんな彼と共に戦争の中で成長していく若い兵士たち。若者が成長していくためには軍曹のような経験ある先輩の生き様を感じることが重要なのだろう。若い兵士たちの中にスターウォーズでブレイクしたマーク・ハミルが出演している。スターウォーズより顔がスマートでよりカッコよかった気がする。

本物の戦場を経験してるからこそ戦争を冷徹な視線で見て淡々と描いているがその中で「生き残る」ことこそが正義と謳うフラー監督の力作。