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『WEEKEND BLUES ウィークエンド・ブルース』に投稿された感想・評価

OSHO
3.4
私が天才脚本家だと思っている内田けんじさんの素人時代の自主制作映画。

音声→声が聞き取れない
撮影→下手
俳優→上手くない
脚本→一流
という映画です。

女からフラれた男、金曜の夜にパチプロの友達(内田けんじ)の家に行くと飲むとハイになれるらしい薬をもらう。
その薬を飲んで帰宅しようとしたところ、目覚めたときは、日曜日の午前に。
それも東京に居るはずが、千葉の路上で目覚めていた。
主人公の男の土曜日に何があったのか…を紐解いていく話し。

一粒でハイになるけど、酒を一滴でもいれたら、ハイな状態にならない薬とか(私の知識がないだけかもだけど)ストーリーにやや説得力がなかったかな。

通常のボリュームでは音声が聞き取れないという致命的に欠陥のある映画だけど、そこそこは楽しめました。
tetsu
3.8
内田けんじ監督の作品にハマっている流れで鑑賞。


[あらすじ]

婚約者と失恋して傷心中の男・山本健介。
友人・健二の自宅にやってきた彼は、その恋人・あゆみと出会い、健二に"あやしい薬"を勧められる。
薬を飲み、意識を失った健介。
彼が目を覚ますと翌々日になっており、丸1日の記憶を失っていた。
果たして、彼の身に何が起こったのか……?


[雑感]

内田けんじ監督の長編デビュー作で、2002年のPFF(ぴあフィルムフェスティバル)で3冠を達成した作品。

監督の他の作品と合わせて観ると、その"原点"であることがよく分かり、興味深い作品だった。


[初見泣かせの内容]

正直、内田監督の他作を観ていない状態で鑑賞するには、中々にハードルが高い作品だと思う。

というのも、25年前に作られた低予算の自主制作映画だけに、技術面には中々キツいものがあるから。

粗い映像に聞き取りづらい音声、無名のキャスト陣と地味なロケ地……etc

当時の自主映画に見慣れている人であれば問題はないかもしれないが、そのようなクオリティで約100分の物語が展開されるため、ある程度の覚悟は必要だと思う。

かくいう筆者も、初見時は爆睡。

しかし、内田けんじ作品にハマった流れで再鑑賞すると、のちの作品に通ずる要素が多々見受けられ、見え方が大きく変わった。


[内田けんじ監督の原点として]

本作は内田けんじ監督のデビュー作ということで、その源流が垣間見えるため、以降の作品を観ておくと、抜群に面白い。

愛する人と別れ、絶望する主人公は『運命じゃない人』や『鍵泥棒のメソッド』に引き継がれるし、お人好しな男性がヒロインを助けようとする展開は『アフタースクール』️の原型と言えるもの。

なんなら、クライマックスの推理もの的な伏線回収は、監督が脚本を手掛けた『名探偵コナン』のスペシャル版以上に、しっかりとミステリーしていたようにも思う。

愛されキャラの主人公と「愛」を題材にした人間ドラマは、監督作の全てに通底する要素でもあり、その作家性が凝縮されていたのも興味深かった。

ちなみに、本作では「有害な男らしさ」や「マッチョイズム」を感じさせるキャラクターが登場しており、これは監督作を語る上でも重要なポイントだと思う。

というのも、続く、監督の代表作『運命じゃない人』では、優しくも冴えない主人公を絶賛する声が多く挙がっていた。

今となっては目新しい題材でもないため、いまいち納得がいかなかったのだが、本作の描写を踏まえると、「男らしさ」が当たり前だった当時だからこそ、より多くの人に支持されたのかなとも思ったり。

正直、本作の『WEEKEND……』では、ややミソジニーにも捉えかねない結末にモヤモヤしたのも事実。

しかし、その辺りは『運命じゃない人』のラストで上手く改善されていたようにも思った。


[インディーズ映画としての魅力]

低予算のインディーズ映画ならではの裏話も興味深い点。

それらは、他のインディーズ出身監督たちのエピソードにも通じる部分があった。

例えば、DVD特典のインタビューによれば、本作は半年ほどかけて、週末休みの一日を使って撮影したとのこと。

これには、C・ノーランの初期作『フォロウイング』の裏話を想起した(あちらは休日2日で撮影)。

また、地味な画作りでも飽きさせないため、時系列をいじくるという手法は、今泉力哉監督の初期作(『微温』など)にも通ずるもの。

低予算映画として油断していると、思わぬ伏線回収に驚かされる構造には、『カメラを止めるな!』と同じ興奮があった。


[映画監督を目指す方は必見]

また、本作の鑑賞に先駆けて、たまたま、長久允監督による著作「あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室」を読んでいたのだが、思わぬ形で繋がる部分もあった。

というのも、この書籍はインディーズ映画制作から商業映画監督にのしあがった監督が、自主映画の作り方をこと細かにレクチャーしてくれる内容でもある。

その行程を読んでいると、本作がいかに低予算映画として工夫を凝らしていたのかが具体的に分かり、面白い。

気の知れた役者を起用する、友人宅を使う、住まいの近辺でロケを行うなどなど。

実は「優れた脚本があれば安い機材でも問題はない」という以外、書籍と本作は真逆の方法を用いている部分も多い。

しかし、両作を合わせて楽しむことで、2000年代と10年代以降の自主映画作りの比較検討が出来るのではないか。

かくいう私ですら、映画を作りたくなったので、ぜひ、今後、映画作りを行う予定の方には、この楽しみ方をオススメしたい。


というわけで、内田けんじ監督の原点としてはもちろん、インディーズ映画としての魅力も詰まっていた本作。

「たとえ、予算がなくとも良い脚本があれば、面白い映画が作れる」と証明した本作は、ぜひ、映画作りを志す若い人たちにこそ、発掘されてほしい一作だった。


参考

【内田けんじ監督】WEEKEND BLUES ウィーク エンド ブルース | 宅配DVDレンタルのTSUTAYA DISCAS
https://movie-tsutaya.tsite.jp/netdvd/dvd/goodsDetail.do?titleID=0082061302
(コメント欄にレンタル当時の感想が書き込まれており、中々に興味深い。)

鍵泥棒のメソッド:内田けんじ監督に聞く 物語作りは「石油掘り」 温存してきたアイデアが開花 - MANTANWEB(まんたんウェブ)
https://mantan-web.jp/article/20120914dog00m200052000c.html
(ちなみにDVDの特典インタビューによると、本作の着想は、バイト先の先輩がヤクザにもらった薬を飲んで気づいたら2日経っていたエピソードとのこと。)

【連載】映画監督 今泉力哉の「このシーンたぶんこういうこと」3作目:クエンティン・タランティーノ『パルプ・フィクション』 メンズノンノウェブ | MEN'S NON-NO WEB
https://www.mensnonno.jp/lifestyle/culture/173393/
(今泉力哉監督は、初期の"時系列いじり"演出をクエンティン・タランティーノからの影響と語っている。)

【Next Movie's HINT】
>>内田けんじ監督作品>>
『鍵泥棒のメソッド』や『運命じゃない人』でお馴染みの内田けんじ監督の自主制作映画。本当にずっと見たかったやつ!

この頃からエンタメ性に富んだ脚本力は抜群。まだ映像や音声に拙さはあるけど、本の面白さと、コメディセンスがズバ抜けているから、普通に最後まで面白く見れちゃいました。

内容はあんまり多くは言えないけど、とにかく"らしさ"が爆発してる。監督の作品を1度でも見たことある人は何となく分かるはず。何というか最初からあのスタイルは確立していたんだなー、と再認識。

ちなみに今作は、演者としても監督が登場する。なんか普通に演技が上手くて笑った。渋川清彦的な存在感があって、個性派俳優としても成功できていたんじゃないかしら。

あと、主役の中桐孝さんの演技が面白くて、他に何かに出てないか調べたところ、情報が一切なかった。それもそのはずで、実はこの人、監督の幼馴染のサッカー仲間らしい。要するにただの素人。それであんなに面白い演技できるの凄すぎ😮

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