とにかく映像が美しく、世界観が素敵。古い時代の中国って、もっと薄暗いイメージだったけど、まるで烏龍茶のCMみたいに爽やかで、染め物屋の色鮮やかな布はアートの様。けど、内容は全然爽やかじゃなく、ドロドロ。はい、好きでした！お気に入りは、主人公が生んだ1人息子。展開も面白かったです。

1920年代、染物屋·楊金山と言う50代の男の嫁として金で買われた菊豆。男には前妻が2人いたが、男にこき使われ、DVの末、亡くなっていた。菊豆も同じ様に激しい暴力に耐える毎日だった。そんな中、家に同居している楊の甥·天青は菊豆の入浴を覗き見し、好意を持ち、それを知った菊豆は天青を誘惑し、2人は関係を持つのでした。




ネタバレ↓




やがて、2人の間に子供が出来、その子は天白と名付けられ、楊の子として育てられます。ある日、楊が脳卒中で、倒れ寝たきりとなります。菊豆は、今までの復讐とばかりに、楊に天白はあなたの子ではないと告白。不自由な身体で、赤ん坊を襲おうとしたりするので、桶に車輪をつけた物に常に入れて放置します。食事や下の処理はしていた様子。
2人は楊の身体が不自由なのをこれ幸いと天白そっちのけで、情欲にふけります。楊は天白の相手をし、可愛がる様になり、天白も楊をパパと呼びますが、楊は天白と遊んでいる最中、織物の池に誤って落ちて絶命します。天白は、それを観て笑います。
楊の死後、2人は一緒に暮らせなくなり、天青は通いでやって来ますが、2人の関係は続き、天白は大きくなりました。天白は狂暴で、2人とろくに口をききません。ある日、2人の逢瀬を目撃した者が噂話をしていると天白はその男を包丁を持って追い回します。
2人は地下の倉庫で、酸欠になりながら愛し合い、瀕死状態になっている所を天白が発見し、母を助け、天青を染め物の池に落とし殺害した。それに怒った菊豆は家を燃やし、その中に立ち尽くすのでした。

天青も菊豆も楊による支配や虐待の被害者で、悪いのは楊なのに、楊が動けなくなった事で、自分達の欲に走ったのが悪かった。天白を放置し、サイコパスに仕上げてしまった。愛情はあった筈なのに残念な2人。普通に息子を可愛がり謙虚に暮らしたら幸せだったかも知れないのに。天白が2人のイチャ付きをずっと冷ややかな目で見ていたり、楊が死ぬのを笑って見ていたり、包丁を持って人を追い掛けたり、彼がサイコパスに仕上がって行く展開が面白かったです。因果応報みたいな結末は、お見事でした。ただのメロドラマではないのが良かったです。

＊leylaさん、ありがとう♡

• #C@DV

あんな恐ろしいガキになっちまった
とメモには書いてある。

これが因果応報か…？という切ないお話。
染め物がはためくシーンがなんとも美しい。


VHSレンタル

• #tulpen+1994

天井高くから吊るされた染めたばかりの長い布が太陽の陽に透けている はためく音が耳元まで届く
勢いよく流れるような動きは官能的
中国そのものと日本の息吹も感じられた
1 / f ゆらぎのような感覚
これはヨーロッパ地域では持っていない感性だと思う

夫に犬のような扱いをされ痛みと屈辱に耐えるチュイトウ*菊豆*
立場が強くなってからのコン・リーの演技に野蛮性が力がありました

毎日嫉妬に晒されて育ってゆく嫉妬の炎
あちこちに飛び火して消えることがない
恨みは怖いですよ

どろどろな救いのないストーリーに反して
表情豊かな染め布が窮屈な世界にあらゆる色彩の流れを彩っていて美しい