若かりしころのジェット・リーのアクションはたしかにすごいですが、話は長いし、展開もイマイチな感じでした。ジャッキー・チェンや最近ではイップマンの方が断然面白いと思います。

久しぶりに観たがリー・リンチェイの功夫は印象に残っていた通りの素晴らしさだった。ブルース・リー、ジャッキー・チェンといった数ある功夫アクションスターの中でも流麗な美しさは一番ではないか。流石に中国全国武術大会五連覇の実力者だ。その武術の実力にツイ・ハークのワイヤーを使ったアクション演出が加わって主人公・黄飛鴻の人間離れした強さを上手く表現している。高潔な精神を持った知的な人物というキャラクター付けは伝統的な英雄譚というこの作品の性格を表している。一方で記憶と違ったのはストーリーの掴みづらさだ。黄飛鴻の物語が中国人にとって馴染み深いものであり、説明が無いと言う事も理由の一つだ。もう一つの理由は物語の背景の複雑さの影響だ。欧米列強、それに従う清国政府、アメリカの悪徳商人という19世紀後半の中国が置かれていた政治的状況を表す敵役。それに加えて沙河のならず者、気功武術鉄胴の達人など国内の混乱を象徴する敵役と黄飛鴻が闘うべき存在は数多い。エンタメに徹した作品でも歴史が自然と浮かび上がるのは興味深い。とはいえ難しい事を考えずに英雄・黄飛鴻の活躍に心躍らせるのがが正しい楽しみ方だろう。

• #ジェット・リー
• #ツイ・ハーク
• #ユン・ピョウ
• #ウォン・フェイ・フォン
• #カンフー
• #少林寺

⚪概要とあらすじ
中国の英雄・黄飛鴻をツイ・ハーク＝リー・リンチェイのコンビが、まったく新たに映像化した作品。

英米列強が幅を利かせ、動乱の時代を迎えていた中国大陸。祖国の将来を憂いている黄飛鴻をよそに、武道家たちは自分の名を上げようと挑んでくる。そんな中、治外法権をカサに着る英軍は中国人を奴隷として海外へ連れ去ろうとしていたが、洋行帰りの叔母がその騒ぎに巻き込まれるに至って黄飛鴻の怒りは頂点に達した。だが、英軍の陰謀を叩こうとする彼の前に、最強最大の武道家イムが立ちはだかった...。

⚪セリフ
｢我が血は－太陽より熱く燃える｣

⚪感想
テンションが上がる最高に面白いカンフーアクション作品。

フィルマは100分になっているけど多分134分の間違いでは。
展開が早くテンポも良くて1時間くらいの映画を鑑賞した感覚だった。

アクションのクオリティの高さに加え笑い所が上手く盛り込まれている。挨拶のキルミーとか鳥の丸焦げからぶっ飛んでいるけどそのセンスが好き。
他にも弟子との絆や恋愛的なものも描かれていて壮大。

アクションは棒や槍、肉、屋根、板、梯子、襖、看板と色々なものが使われていてどのアクションも常に楽しめる。
基本的にCGはなくワイヤーでの演出だと思うと凄すぎる。
銃もリアル。

映像は全体からの撮り方が多くアクションを思う存分楽しめるし、雨や火といった演出が良い。

それにしてもウォン・フェイホン役のリー・リンチェイもといジェット・リーが尊い。華麗で優美で踊っているのかと錯覚するようなアクション。
カンフー特有の独特の構えのポーズが本当にかっこいいし、棒を蹴り飛ばしながら戦ったり、棒を持って何十人もの敵を蹴散らすのが良い。梯子での身のこなしも最高だった。
アクション以外のシーンでは色んな表情が観れてほっこり。
結構全部好き。
ジェット・リーのアクションが早すぎてカメラが追いつけなかったという逸話は本当なんだろうなって思う。
今じゃありえない髪型なのにあんなかっこいいのはなぜ。

イー叔母を演じている方の目の大きさにびっくり。しかもめちゃくちゃ綺麗だし美白。
ウォンといい感じになるシーンが全部可愛い。影で頭を撫でるの良いなぁ。

ウォン・フェイホンとしてはとにかく誠実で真っ直ぐなところが好感。あとちょっとお茶目なところ。
こういうキャラクターが大好きだから堪らない。

ウォンの弟子たちも個性豊かでそれぞれがいい感じに活躍するのでほっこり。ポンコツ度も程よく。
肉屋のウェンはウォンを心から信頼しているし、ソーはあんまり中国語を喋れないけど頑張っているし、他の弟子たちも素敵。

フーはなんだかんだめんどくさいやつだったけど嫌いにはならなかった。

全体を通して不快になったりイライラするシーンが少なめで気楽に観れた。

中国。アメリカ。イギリス。

冒頭とラストの砂浜でのカンフーシーンとそこに流れる主題歌が良い。
主題歌なんか聞き馴染みがある。

いつか吹き替え版で池田秀一さんの声のジェット・リーも観たい。



⚪以下ネタバレ



銃によって命が奪われるのを悲しそうに見ていたウォンが切ない。
イム師匠は敵だったのに勝負が終わり銃で殺られた時は助けてあげるのがまさに礼に始まり礼に終わる心。

銃弾をデコピンしてほぼ銃で打った時と同じようになるにはどれぐらいの力が必要なのか。
まぁジェット・リーなら出来そう。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。

• #GYAO!2020