どぶを配信している動画配信サービス

『どぶ』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

どぶ
動画配信は2024年4月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『どぶ』に投稿された感想・評価

ユミコ

ユミコの感想・評価

4.8
戦後間もない頃、極度にお腹を空かせ行き倒れ状態のツル(乙羽信子さま)が、通りがかった見ず知らずの男、徳さん(殿山泰司さま)に、か細い声で助けを求め、彼からパンを恵んでもらう。その後ツルは、横浜のルンペン部落に住む徳を訪ねる。徳と、同居しているピンちゃん(宇野重吉さま)は怪訝そうにツルを見るが、ツルが手持ちの千円を差し出すと、2人は手のひらを返したように、にこやかにツルを家に入れ、ご飯を食べさせた。彼女がひとたび身の上話を始めると、近所の人々が集まってきてツルの話に耳を傾けていた。ヨレヨレの身なり、10日もお風呂に入ってなく、髪もボサボサ。身振り手振りで面白おかしく話すツルに、人々はまるで見世物でも見物するかのような感覚で聞き入っていた。誰もが「この女は左巻きだ…」と感じていた。それもそのハズ。ツルは何もかもが風変わりな様子だったから。
その後ツルはそのまま住みつき、食事を作るなどしていたが、ギャンブルや酒好きな徳&ピンは、近所の男の入れ知恵もあって、ツルに体を売らせるなどしてお金を稼がせた。それでもツルは彼らを信じきっていた…。

集落の雰囲気や家屋の質感、割れたジョッキでも通常使用、掛け布団にしちゃってる鯉のぼり… こんな感じ決してほのぼのとしたものではないけれど、それでも皆、楽しそう。
ツルがパニクり状態に陥った時、これまで受けた様々な男たちからの酷い仕打ちの数々の場面が断片的にフラッシュバックし、悪夢のようにツルを追いつめていく様が恐ろしすぎた(それらの出来事は、この時世に女が1人で生きて行く過酷さを物語る体験のものばかりだった)。
最愛の乙羽さまがよだれダラ〜〜ンで人んちの釜のご飯を鷲掴みしガツガツ貪る… なんてなさってしまう超絶ガチ演技に釘付けだっただけに、ストーリー的に終盤はちょっと残念だった。畳み込むように涙を誘う方向に持っていき、無理矢理「まとめ」を食らわせられた気分。ツルがノートに書いた小説「カッパ沼」や、ピンを守るためにとった行動のエピソードのみを際立たせればよかったものを── 余分なものが多すぎたようだった。

この、新藤さまの「どぶ」は、フェリーニ様の「道」とテーマ的に似ており、時期も同じで、ピンの終盤の項垂れぶりは、まんま終盤のザンパノ。そしてツルはジェルソミーナそのものだった。クリッとしたおめめをさらに大きく見開く表情や、滑稽なところ、健気なところ、人を疑う事を知らないところ、常にソワソワ少しもじっとしていない様子、ヘンテコ丸出しの奇行のひとつひとつ、そして彼女の置かれた境遇─── 何から何まで似ている。ツル(ジェルソミーナも)があまりにも真っ白な心の女だから尚更周りの男たちの薄汚さがハッキリと見て取れてしまった。ツルがとてもいとおしかった。
終戦後あちらこちらにあったバラック。本作はカッパ沼という沼の周囲にあったバラックに生活する貧しい人々を描いている作品で終戦の九年後に作られた。

毎日生きる事に汲々としてはいるが酒を飲んだり博打をしたりして希望を無くして日々を過ごす人々。彼らの中に腹を空かせて行き倒れ寸前だった知的障害のある女(乙羽信子)が流れ着いた。

女は物事の理解は足りないが明るく陽気でバイタリティがあり、基本的に人を信用して生きているので嘘も容易に信用してしまう純真さがある。

そんな女を見事に演じた乙羽のド迫力にまず感心する。
出て来てすぐに表情筋全開の乙羽。こんなに力んで表情を作って最後まで持つのだろうか?と見守っていたがどうしてどうして最後まで全開のままで完走している。

貧困生活の中で失われてしまいがちになる彼女の持つ人間的な魅力に彼女を失って初めて気づく人達。
彼女を都合よく利用してしまおうと立ち回った彼らが、彼女の死後「すまなかった」と言って泣き崩れる姿に、貧しくても戦後日本人の良心は死んではいないと感じる。
最初このタイトルを目にした時、「どぶ」ってw 、と思ったけど、あまりにもド直球なタイトルが逆に気になって観た。

戦後10年頃の東京、河川の近くを歩いてた男が、空腹で倒れて死にそうになってるツル(音羽伸子)に声をかけられた。

男は最初は無視したが、仕方なくツルにパンを投げた。(投げたパンはツルの顔に当たった)

それから数日後、ツルはその男のあとをつけ、男が住む河川にある貧しい部落に行ったのだが、軽度の知的障害を持つツルは部落の人達に利用されてしまう…。

戦争、戦後という時代に翻弄されながらも、懸命に生きようとする人々の人間ドラマが抜群に面白かった。

「岬の兄妹」と同じやん!

それと、戦後間もない日本の景色に衝撃を受けた。
たった66年前なのに!

ただ、DVDの画質が残念すぎた。
音も気聞き取りにくい場面があった。
修復されたらまた観たいと思う。

『どぶ』に似ている作品

カビリアの夜

上映日:

1957年11月09日

製作国:

上映時間:

111分

ジャンル:

4.1

あらすじ

娼婦のカビリアは、恋人に川に突き落とされても、仲間に夢を語って明るく生きていた。そしてある晩、彼女の夢が実現する。有名な映画スターが彼女を車に乗せて、ナイトクラブから豪邸に連れて行ったのだ…

>>続きを読む

当りや大将

製作国:

上映時間:

87分
3.7

あらすじ

車に当たって傷ひとつもらわぬ大将の"身体を張った商売"は名人芸だ。ある日、いいカモの前に見事当たりを成功した大将だったが、その車は新しい警察署長の車だった...。問題の街・釜ヶ崎に住む"当…

>>続きを読む

赤ちょうちん

製作国:

上映時間:

93分

ジャンル:

配給:

  • 日活
3.3

あらすじ

ふとしたことで出会い、互いにひかれた政行と幸枝は同棲生活を始めるが、数日後、アパートに帰ると部屋に寝そべる中年男が。腹痛を理由に出ていかないその男との奇妙な共同生活を経た後、さまざまな問題…

>>続きを読む

青べか物語

製作国:

上映時間:

101分

ジャンル:

4.0

あらすじ

東京と千葉の境界を流れる江戸川の下流にある漁師の町「浦粕」にやって来た小説家。彼は見知らぬ老人からべか舟を売りつけられた。青く塗られたその舟は「青べか」と呼ばれ、街の連中に馬鹿にされるが、…

>>続きを読む