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美しきセルジュ
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『美しきセルジュ』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.7
 もうすぐ本格的な冬を迎える11月、フランス中央に位置するクルーズ県サルダン、屋根にカバンを積み込み、旅人を乗せたバスは辺鄙な村へとやって来る。結核を患ったフランソワ・バイヨン(ジャン=クロード・ブリアリ)は病気の療養のため、住み慣れたスイスから生まれ故郷へと12年ぶりにやって来る。後にシャブロルの代名詞となるアヴァン・タイトルの車窓からの風景、男は過去を懐かしみながら、あっという間に家路に着く。だがこの街には親兄弟は既にいない。彼にとって幼馴染のセルジュ(ジェラール・ブラン)だけが家族と言えるような親密な間柄だった。同じく旧友であるミシェルの懐かしい歓待に胸を弾ませたフランソワはセルジュの近況を尋ねるが、ミシェルの表情は曇る。田舎町を出て、パリジャンになったフランソワ同様に、セルジュも建築士になるという大きな夢を抱いていたはずだが、恋人のイヴォンヌ(ミシェル・メリッツ)とはたった2回のSEXで愛の結晶を授かり、自らの夢を封印し故郷に残ることを決めた。だが皮肉にも最初の子供は死産となり、自分の運命を呪ったセルジュは酒浸りの日々を送っていた。妻イヴォンヌの父親グロモーと赤ワインを開ける男は既に酩酊し、前後不覚に陥っているが、そこにかつての親友フランソワが突如現れる。「セルジュ」という呼びかけに顔を上げた男は、義理の妹マリー(ベルナデット・ラフォン)の前で人目も憚らずフランソワの懐に潜り込み涙する。

 ヌーヴェルヴァーグ右岸派クロード・シャブロルの恐るべきデビュー作。当時「カイエ・デュ・シネマ」の編集長だったエリック・ロメールと共著で「ヒッチコック」を出版した後、お金持ちだった妻の叔母の遺産をそのまま相続したシャブロルは映画会社を設立。カイエの同僚だったジャック・リヴェットの短編『王手飛車取り』に全面的に出資する。そして16mmはおろか、8mmさえも撮ったことのなかったシャブロルは今作と次作『いとこ同志』の脚本をほぼ同時に書き上げ、まったくの監督未経験でありながらいきなり今作を長編処女作として世に問う。堕落した男を親友が今の環境から献身的に救い出そうとする物語的主題は、続く『いとこ同志』とも対になる(シャルルとポールの関係がここでは見事に反転している)。都会と田舎、ブルジョワジーと貧困、女ったらしと生真面目、天使と悪魔。およそ2人の間には容易に理解し得ない溝が生まれ、2人は葛藤の中でもがき苦しむ。「友情」の主題は初期作の若さゆえの蒼さに違いないが、シャブロルの遺作になった『刑事ベラミー』の敏腕刑事ポール・ベラミー(ジェラール・ドパルデュー)と彼の腹違いの堕落した弟ジャック・ルバ(クロヴィス・コルニアック)の対比にほとんど同じような構図を見るのは偶然ではあるまい。ヒッチコックの善と悪の描写がここではフランソワとセルジュに憑依し、シャブロルらしいファム・ファタールなマリーを引き裂く過程で更なる病巣に出くわす。ジャック・リヴェットとトリュフの名前で端役出演したフィリップ・ド・ブロカとシャブロル自身の二重三重に張り巡らされた皮肉を込めた未来への署名、今作はシャブロルの可愛い弟分だったトリュフォーの短編『あこがれ』と共にフランス全土で上映される。今作はヌーヴェルヴァーグ前夜を伝える決定的なフィルムとなった。
菩薩

菩薩の感想・評価

4.0
なんで助監督経験も無いズブの素人同然の青年がこれを撮れるのか理解に苦しむ、天才の二文字で片づけられても困る。先日観た『血の婚礼』でも「何故この土地を離れなかったのか?」との問いかけがあったが、デビュー作から同じことやってんだなと思った。閉ざされた土地、血の呪縛、にしても実の娘じゃないことが判明した途端犯しに行く義父は1秒でも早く去勢した方がいい。絶望にしがみ付いて尚生きていく人間に対しての「美しき」、金持ちの癖に本当に金持ち嫌いなんだなシャブロルは、なんかの罪悪感か?ヌーヴェルヴァーグの発火点としては出来過ぎているラスト。
benno

bennoの感想・評価

4.0
アンリ・ドカエ撮影監督作品…。


閉鎖的な小さな町でのよそ者(都会人) vs 田舎者の構図…都会の青年が故郷の田舎に戻り、落ちぶれてしまった親友を救おうとするお話…。


病気療養の為にパリから故郷サルダンという田舎町へ帰省したフランソワ(ジャン・クロード=ブリアリ)…彼は十数年ぶりにかつての親友セルジュ(ジェラール・ブラン)と再会します…。

建築家志望で優等生だったセルジュは酒浸りで自堕落な生活を送り、見る影もない姿に…フランソワは愕然…。

聞けばセルジュは大学進学を志していたものの、恋人イヴォンヌを妊娠させた為に結婚…夢を諦め働いたのですが、生まれてきた子供が死産…希望を失ない荒んだ日々を送っていました…。

そして妻イヴォンヌは2番目の子供を妊娠…なんとかセルジュを立ち直らせたいと願うフランソワ…。

しかしセルジュの義理の妹マリー(ベルナデット・ラフォン)がふたりの関係を稚児しくさせるのです…。

そんな彼らの拗れた関係を知っていて見て見ぬふりをする町の人たち…牧師までもが見放し、信仰が何の救いにもならないほど閉塞した町…とても息苦しい…。

そしてフランソワの帰省によってその町の均衡も崩れてしまいます…。牧師の「出ていくべきだ」という忠告を無視しフランソワはそこに留まります…ここでの映像も素敵…打ち拉がれるフランソワと外の雪の映像が重なります…。

その他にも今作はドカエのカメラが抜群にいい…町の重苦しい空気とは真逆のカメラワーク…丘の上から捉えた俯瞰ショットやホテルの窓から覗く街並みの開放感…。

クライマックス…イヴォンヌが産気付き、フランソワが雪の降り頻る夜の闇の中をセルジュを探すシーン…陰影美も見事…。

赤ちゃんは無事産まれるのか…?? そしてセルジュは立ち会えるのか…??

ラストは観る側の捉え方…
      bad or happy ending…??


✎︎ YouTube (仏語音声、英語字幕)ですෆ*

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