競馬場の売上強盗を計画してから実行に移し、その後の結末までの魅せかたがキューブリック監督のずば抜けた才能を感じさせる。計画強盗などというものはすんなりいくはずがなく、想定外の事態が起こったり、時系列を入れ替わることによって、強盗仲間の様々な視点を楽しめたり、随所に後の映画に影響を与えたであろうアイディアが散りばめられていて素晴らしい。

「現金に体を張れ」
原題「The Killin」
1957/12/10公開 アメリカ作品 2017-178
TSUTAYA CINEMA Handbook 2016
1960年代以前ランキング31位 再鑑賞

フィルム・ノワールとされる映画は、影やコントラストを多用した色調やセットで撮影され、行き場のない閉塞感が作品全体を覆っているそうで、50年代から60年代の犯罪映画に多く見られるそうです。
当時27歳のキューブリックが撮ったハリウッドデビュー作。ナレーションとくせ者揃いの役者のアンサンブル、時間軸をずらした斬新な展開と様々な視点から同じ場面を描くというのはタランティーノのそれよりも遥かに早くキューブリックが本作品で実現してたようです。これらの斬新な手法を取り入れて、86分を一気呵成に進んでいくストーリー展開はなかなか見応えがありますね。
そしてラストの風に舞う現金とThe Endのクレジットタイミングは印象に残りますね！

スタンリー・キューブリック監督のハリウッド映画第1作となった作品。一滴の血も流すことなく、大金獲得のための犯罪計画を立案した主人公が破綻に至るさまを描いたフィルム・ノワールの1作である。

2020 7/13 1度目の鑑賞

なかなかに趣味の合う友人からの紹介ということで鑑賞。いや、よかったです。スタンリー・キューブリック監督の出世作となったこの作品。時系列の組み換えという技法を1956年という60年以上も前から使っていたなんて衝撃です。自分の大好きな「パルプフィクション」(クエンティン・タランティーノ監督)もこの映画の影響を受けたとか。時系列を組み換える映画はやっぱり面白いですね。断片的なシーンが一つのストーリーとなるところ、ラストへの焦らし方。期待がどんどん膨らんでいく。ラストへの焦らし方もただダラダラと話が進んでいくだけでなく、時間が遡るなかで、他視点からの新しい情報が入ってくる。ストーリーの理解もより深くなるし、自然と期待も増えていく。そういうところが本作もそうですし、その他の時系列を組み替える映画の見どころだと思います。映像もモノクロということで味がありました。また一つ好きな映画ができました。古い映画ですが今観ても色褪せない作品ですので、気になった方はぜひ‼︎


追記:余談です。
投稿した後にフォロワーさんのレビューを読んでいたところとても自分とレビューが似ている方がいました笑　その方のほうがもっと丁寧に、詳しくレビュー書かれているのでぜひ探して参考にしてみてください。