"これを一緒に連れて行く"


ヤクザ稼業に身を落とし
諸国を旅する
その道連れは　愛しいあの娘の簪

清水の次郎長
なんとなくは知っているけれど
きちんと観るのは初めて

実在の次郎長の伝承を元に村上元三が著した小説を映画化
マキノ雅弘監督による東宝版と東映版
数作あるうちの
今回はリメイク、東映版の一作目

リーダーの元に一人、また一人と子分が増えていく…
"ワンピース"みたいな状況は
これから冒険が始まるワクワクした気持ちで
胸躍らされる

鶴田浩二演じる次郎長
時代柄か、目張りが浮いて見えるほどの穏やかさから、ヤクザ一味の親分としては物足りない感じを受けたものの
物語が進むにつれそれは杞憂であったと気付かされる

名古屋弁が賑やかな山城新伍の鬼吉
彼に見つけられた懐の珊瑚の簪
その持ち主は

佐久間良子演ずるお蝶
あどけなさを僅かに残しながらの凛とした美しさは
一家の姐さんに相応しい

漢が旅立つ時
黙って見送るその心を
推し測るように　また
あのつぶらな瞳を想い出すよすがとなる
その演出の粋なこと


余韻に浸る間もなく
あまりのあっけらかんなラストに
監督の遊び心かな、と
次作への期待は高まる

そんな新年

1963年　監督:マキノ雅弘　
2022.10.07視聴-451
● 鶴田浩二（次郎長）
●大木実（大政）
●松方弘樹（大瀬の半五郎）
●山城新伍（桶屋の鬼吉）
●佐久間良子（お蝶）

　懐かしの東映チャンバラ映画を久しぶりに通して観た。

　監督はマキノ雅弘だか、1963年となればすでに黄金期は過ぎている。
　したがって、配役も一時代をきづいた面々は完全に卒業、当時の若手の配役で固めている。

　ところが、この若々しさが、逆に黄金期の底なしの明るさ、華やかさを彷彿させ、活力もあって清々しい。鶴田浩二がまさにかけ出しの次郎長にぴったしの演技をしている。
（もうすでにこの若さで男の色気が漂っている）

　3部作（3作目まで観て、4作あることに気付きましたすみません）の第1作。
　次郎長の子分もまだまだ揃っていない。
　小さい頃だいぶ次郎長ものの映画は観たが、どんな風に子分が揃い、どうして街道一の大親分になったかは覚えていない。それだけに新鮮で、ほんとに面白かった。というより気持ちが良かった。この感触は久しぶり。
　安っぽい人情話だけれど、あまりに安っぽいので新鮮味があってホロリとした。

　森の石松役の長門裕之が最後にちょろっと顔を出したが、両目が開いている。この後、片目を切られるのか、どうしてそういうことになったのか、その経緯も楽しみだ。

• #邦画名作を観る

にわか次郎長感想。
三国志とありますが、駿河国、遠江国、三河国（静岡、愛知あたり）の三国を指すそうです（wikiより）当然ながら、三国志演義とは関係ないです笑

前から観たかったタイトルですが、タイトルがありすぎてどれから観ればよいかよくわかりませんでした。。
東宝版は８作とリメイクの東映版４作とあり、監督はすべてマキノ雅弘監督なので、よけいにわからないです笑（後年にもマキノ雅彦監督が製作されています）
今回はリメイクの東映の方です。

侠客　清水次郎長とその一家の活躍を描くシリーズということで、、
その第一作目は、次郎長の侠気にうたれて様々男たちが杯を交わし次郎長一家が形成されていくまでの流れです。

１作目の見所は色々なアウトローたちがどのように仲間になるのか、
そして立ちはだかる難問をどう一家が切り抜けるのかというところですが、、

お調子者っぽい桶屋の息子の鬼吉（山城新伍 ）
元々喧嘩相手の一家にいた綱五郎（松方弘樹）
妻と別れて侠客となった大政（大木実）
もともと坊主のくせに喧嘩をしたがる大五郎（田中春男）他
癖がつよい様々な男が仲間になります。

「侠客」「仁義」など単語の存在が個人的には縁遠いものなので、、、

基本的にはユニークな仲間と往くロードムービーという捉え方で観ました。

方言により語尾の「ずら」「だぎゃ」などの言い回しで展開される会話が独特のドライブ感があります。
徐々に仲間が増えてきて一カ所にあつまると部活帰りの学生のようになってきます笑
わいわいしているなか、まとめる次郎長親分の男気はさすがの存在感というところですね。

男が男に惚れる侠気もありますが、子分になった者たち同士の他愛のない会話の妙。それぞれを慮る関係性の中でいつの間にか自分もその輪に参加しているような感覚があります。

特に無邪気な鬼吉と網五郎のバディ感あるやりとりはある種の「萌え」感もあり笑
そういう考えると一周まわってキャラの立った現代的な映画のような気もします。

そして子分の不始末に対して、やっぱり親分そうするよな！
という納得の心意気、そして始末の付け方にも色々不思議な多幸感に包まれます。