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少年と砂漠のカフェ
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目次

『少年と砂漠のカフェ』に投稿された感想・評価

RIO
3.6
「それでも僕は歩いてゆく」から3年後 アボルファズル・ジャリリ監督は子供を追い続ける
イラン人のファルハードは身分証明書がなくて見ていて気の毒なくらいの苦労をしていた
アフガニスタンからの難民がいっぱいい押し寄せて何百万人もの身分証明書の手続きも取り締まりも大変なこと

アフガニスタンから車に乗りたった1人でイランへ密入国したキャイン

何もない砂漠に立つ小さなカフェにたどり着く
アフガン人の14歳の少年キャインは警察に名前の由来を聞かれる 何でって 知らないうちにキャインだった
助けた筈の警察にまた理不尽な扱いを受けている 戦争で親を失くしたその子供がどんなつらい生涯を送るかを監督は今回も追っている
詩的な表現なので些細なことを逃すと置いてかれる 特に人が命を落とす時の間接表現が女性的

誰も止まらない砂漠のカフェにパンクした車を足止めにするための釘を撒いていた
このラストの音が鎮魂歌のようで切ない
3.0
「少年と砂漠のカフェ」

冒頭、アフガニスタンとの国境に近いイランの小さな町、デルバラン。14歳の少年キャンイン、有刺鉄線と雷雲。トラック、老夫婦、カフェ、戦渦、住み込みで働く、息子、警官、不法入国者、逮捕。今、アフガン難民である少年の物語が始まる…本作はアボルファズル・ジャリリが監督した2001年のイランと日本合作の作品で、様々な映画祭で賞を受賞した中、確かイタリアの女優がこの作品がグランプリを受賞するべきだと言って欠席したと言う騒動もあったような記憶がある。

本作は冒頭から不安に満ちている。雷鳴の音とともに鉄条網の描写が写し出され、銃声音が聞こえてくる。そしてこの作品はほとんど音楽がなく、静寂を貫く。続いて、砂漠を走る1台のトラックの荷台に眠っている少年の画。タイヤがパンクし、少年が地面に埋まった岩を必死に持ち上げる。続いて少年はその岩を大人2人が車を持ち上げている際に、指定場所に設置する。そしてスペアタイヤをはめる男性、また二台に乗り車が動き出す。続いて荒涼とした砂漠地帯にたたずむ1軒のカフェテリアへとたどり着く。

そしてガソリンスタンドで金銭問題に巻き込まれる少年とトラックの男性…。さて、物語はアフガニスタンとの国境に近いイランの小さな街デルバラン。14歳のアフガン人少年キャインは戦渦の故郷を後に、国境越えてやってくる。小さなカフェを営む年老いた夫婦のもとに彼は到着して、息子のように扱われて、少年も彼らに応えるべく手伝いをし始める。そうした過程の中から彼は味わったこともなかった愛情と言うものを肌で感じ始める。ところが、その細やかな幸せは突如、警察官がカフェに現れた事により、絶望へと変わる。不法入国者として逮捕されるのであった…と簡単に説明するとこんな感じで、相変わらずドキュ・ドラマの手法で撮る監督だなと。

この作品はいわゆる孤独な少年と難民生活の苦難さを捉えているのだが、この手の作品は必ずと言ってもいいほど、家族が戦火の中で死んでいると言う設定が多いが、この作品は母以外の家族は生きている設定になっている(両親は映画には出てこないか)。なので、家族から離れて見知らぬ土地で働くと言う不安な年頃の少年の日常を綴っていると思われる。まず日本では見知らぬ土地で子供が重労働されたり、家族と引き離されて黙々と働くと言うような事はほぼないと思う。だから普通の子供には決して訪れない辛い経験が、この作品を通して世界の恵まれた子供たちに分かって欲しいと言う趣旨が見えてくる。

だから、この作品では子供が大人と対等にぶつかり合ったり、意見を堂々と述べているシーンがいくつかある。こういった貧困に喘ぐ子供たちは、生き抜く為の知恵や知識を自然と身に付けていくが、非情な現実には勝てない…。勝てないからこそ少年のたくましい姿がより一層輝いて見えるのかもしれない。その舞台となるカフェで、初めて閉ざしていた心を開いていく少年の姿や、人の心に触れた感覚を少年が理解していく様子は胸にくる。

老夫婦との間に生まれた親子のような絆が、少年の依拠する場所を確定することになる。それが家族的な関係を築いてゆく為の必要な事柄をこの作品は我々に教えてくれている。この映画の画期的なところは、それまで無力な存在であった大人たちが少年の人生に入り込んでくるところだ。全く無関係の少年を救う為に、警官に物申す老夫婦の姿を見ているとつくづくそう思ってしまう。要するに主導権を持っているのが大人だったが、その時だけは子供に移り変わる。大人が絶対弱者である子供を守らなくてはならない義務がここで発生する。それは少年がイニシアチブを一瞬手に取ったワンシーンである。この場面では大人たちはただ積極的に少年の人生に関わっていくしかなかったのである。それが人の心であり、人生最大の目的の1つだと思ったに違いない…。



それにしてもこの映画フォルーグ・ファッロフザードの詩を取り入れていて、監督が多分好きなんだろうけど、映像となかなか合っていた。この作品の舞台がイラン東部ホラサン地方の北部アフガニスタンとの国境に近い所にあるデルバランを舞台に少年の孤独を映しているのだが、このデルバランの意味合いが"恋人たち"というのが中々面白い。ラブストーリーなんて微塵もないのに…。

多分だが、恋人と駆け落ちをする際に、この土地に来た恋人たちが、よくその佇むカフェに居座ったと言う事から恋人達と言う名前がついたと思われる。監督自体今までアフガン人を主人公にした作品は作っていなかったのに、今回は初めてアフガン人を起用している。それに職業俳優じゃない事は確実で、砂漠を旅している間に、また路上やどっかで探して見つけてきたと思われる少年は非常に良い表情をして芝居をしていた。イラン映画には欠かせないリアリティが、この作品にも反映されている。



この映画のラストは、すごく印象深かった。アフガニスタンにいる姉にコツコツ貯めたお金を渡すために、国境沿いにいた羊飼いの青年に金を託すもそこで悲劇が起きたり、結婚式に警官が乱入してきたり、カフェの老夫婦の1人が悲劇に見舞われたり、そして最後の釘をばらまくシーンは何とも言えない気持ちになる。それに劇中でイラン紙幣とアフガン紙幣の交換が、あらゆるところでシンボリックに写し出されているのも印象を受ける。

それから「バクダット・カフェ」もそうだったが、砂漠にあるカフェに集う人々が交わす暖かい情景は見てるこっち側はすごくほっとしてしまう。この映画、淡々と物語が進むが登場人物が結構多くいる。まず主人公の難民の少年とカフェを営む老夫婦、カフェにやってくる医師と教師の夫婦や元活動家、麻薬密売人、警官、違法労働者などだ。

またこういった子供が主人公の作品は何かとお涙頂戴的な設定が多く含まれているが、この手の主人公はどこかしら知的で生意気である。見ているこっちはそこまで感情移入しにくく、同情を誘うような素振りはほとんどしてこない。なんて生意気な"くそがき"なんだと最初は思っていたが、彼が砂漠の向こう側に消えた時に絶望や悲しみが一気に観客を襲う…。

余談だが、この映画にまつわるエピソードをいろいろ調べた結果いくつかの事柄を発見した。まず監督はロケハンのため車で砂漠を走っていたところ1人の羊飼いの少年と出くわす。そこで彼を主人公にセッティングするのだが、当初演じる民族は違っていたそうだ。だが、彼がアフガン難民の少年とわかった途端に主人公はアフガン人にしたとのこと。そしてこの作品が2001年公開と言うことで、この年の9月11日には米国への同時多発テロが行われる。少年はアフガニスタンの故郷に残っている家族に会いに行く為に、アフガニスタンへと戻ったが、それ以降彼の消息をつかめていないと言う監督の言葉があった。果たして今も会えていないのだろうか。その他の情報は残念ながらSNSでは見つけることができなかった。



だから、エンドロールの最後に"世界中の戦火孤児に捧げる"と言う文字が出てきたのだなぁと納得した。


長々とレビューしたが、このジャリリ監督はハタミ政権が成立した後に、一気に世界に彼の作品が出品され、名前は世界的に有名になったが、それまでほとんど国内でも国外でも上映禁止をくらっていた為に遅咲きの監督になってしまったの非常に悔やまれる。

まだ2件の方はいちど見て言わいかがだろうか
Lemon
4.0
戦災孤児に捧げた映画。走る走る

主人公を演じた少年は現実でも難民だったらしい。難民少年に容赦ない大人たちがいるなか、心優しいひともいる。でも非情な現実が多すぎる。バイク4人乗りには驚愕。メイキング映像でのジャリリは優しい眼差しで少年を撮影していた

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