「わたしはダニエル・ブレイク」で、秩序のない現代にドロップキックをかましてくれたケン・ローチの、ずっしりな重さが良かったので、次は「ケス」を観ようと思っていたけど、U-NEXTの配信が終わると聞いて、配信終了まで3時間でこちらを鑑賞開始。

労働者階級や移民達の目線で描かれる、現代社会の歪み。本作もしっかり重たい。

人材派遣会社で働くシングルマザーのアンジー。上司からセクハラを受けてブチギレ。不当に解雇された彼女は同居人と2人で人材派遣業で独立を目指す。借金をしてまでイギリスに仕事を求めてやってきた移民の労働者らをバンに詰め込み、派遣先へと送り出していく毎日。アンジーが越えてはならない一線を超えた時、彼女の日常が狂い始める。

同業で働いている者として、これはなかなかヘビー。
モノじゃなくてヒトを扱うって本当に大変。
ヒトには感情があるからね。

バイクを乗り回し、仕事を求めて屯（たむろ）する移民労働者達を相手に切り盛りするアンジー。

社会貢献として、仕事がない移民達を救う為。
今は親に預けている一人息子との生活の基盤を築く為。
アンジーが最初に掲げていた大義は間違っていなかった筈。

しかし、軌道に乗るかに見えたビジネスにも綻びが生じてくる。

金銭トラブルで、未払い給与が膨らんでいく。
移民労働者の不平不満も膨らんでいく。

この「自由な世界」で、何をやっても文字通り自由なんだけど。

「人として」という価値基準が、いつしか
「金の為」という価値基準にすり替わってしまうと、自由は時として罪になる。

移民を救う筈が、食い物にしてしまっている現実が辛い。

痛い目にあっても尚、逞しく生きていくアンジーも、大きな括りで言えば移民達と変わらない「弱者」なのだ。

ケン・ローチ監督。
今回もドロップキックが炸裂です。
「ケス」も「家族を想うとき」も観てみようっと！

• #2020akirunaway

🎬名匠ケン・ローチ監督作品なので身構えて📦フタを開けると爽やかな『🇬🇧女性の起業✊🏻サクセスストーリー…じゃなかった!!!!(｡Дﾟ; 三 ;ﾟДﾟ)💦✨👵🏻橋田寿賀子なら「🐶飼い犬に手を噛まれたンゴ!!!!」て言う(古✨当時のEU情勢なので現在は多少改善していますが(国による)移民問題と向き合う社会派ドラマ🎞✨🚺やや女子向き

【🇮🇹ベネチア国際映画祭(📝最優秀脚本賞)受賞🏆✨同ベネチア国際映画祭(🦁金獅子賞・女優賞・男優賞・審査員特別賞)含む各賞10部門ノミネート】

🎼劇伴担当のジョージ・フェントンはケン・ローチ作品も多く手がけていて🎹アカデミー賞(作曲賞)４回・(主題歌賞)１度ノミネート。エミー賞２度受賞🏆していま✋🏻✨現代社会の風刺と、クラシカルな音楽のマリアージュ🍽🍷をお楽しみ下ちい笑🎶

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• #シングルマザー
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• #失業
• #風刺
• #イギリス

イギリスの労働者、移民問題を背景に、シングルマザーの主人公が始めるビジネス：職業紹介所の成功、その浮き沈みを描く。

　『この自由な世界で』と、この皮肉なタイトルは、貧しかった主人公が大金を手にし、口走った「この世界は自由よ」というセリフから来ている。自由なことができるのは、金や権力を持っている強い人のみのようで、そんな奴らが「この自由な世界」とはよく言ったものだ。
　実際に、自由に働けない人たち、国と国の境が人の幸せな生活を邪魔し、何をするにも「○○許可証」という紙がないといけない。今作に見せられるのは、そんな「不自由すぎる世界」もしくは、国イギリスの様子であった。
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　女性が子供を守るために自立し、自身の努力とチカラで成り上がっていく。主人公はとてもクール、スマートで、ライダースーツが似合う強い女性。そんな女性の成功を、例えば『グッド・フェローズ』みたいに描けばいいのに、そうはいかないケン・ローチ監督。
　過去作『SWEET SIXTEEN』では、薬物中毒の母親を救うために金を稼ごうとする主人公青年が、麻薬の売買に手を染め、結果的に自分の母親のような麻薬中毒患者を増やしてしまっているという自己矛盾に満ちた成功とその凄惨な結果を描いていた。
　今作『この自由な世界で』での主人公の成功も、主人公が貧しい生活を抜け出そうとすると、それが同時に搾取構造を作り、貧しい家族を増やしていくことに繋がるという、『SWEET SIXTEEN』同様の矛盾に満ちたプロセスだった。

　全編、どこかコメディ的であると同時に、突き刺さる。これは2007年の映画だが、その後のイギリスのEU離脱や全世界的に右傾化する様子を見るに、今作が言及している内容は冗談では無くなってきてしまっている。
　元々は、移民に職を与え、彼らの生活を救っていたはずなのに……
　欲望のために一線を越えた主人公が、もう一度、戦う「理由」を思い出したかのように立ち上がる、彼女の後ろ姿を監督は優しく、そっと押している。