秘本 乱れ雲の作品情報・感想・評価

秘本 乱れ雲1974年製作の映画)

製作国:

上映時間:82分

3.3

「秘本 乱れ雲」に投稿された感想・評価

巨匠 西村昭五郎の絶頂期の一本「秘本乱れ雲」

滋賀県の老人ホームでずーっと暮らしていたと思っていた西村監督ですが最晩年は青森県八戸にいらしたんですね。
あのお齢で東北とは寒かろうに。
どんな事情があったのか?それとも西村監督を引かせる何が青森にあったのか?今では知る術もありません。
東京帝国大学の秀才(鶴岡修)が学業を気にも留めずに、寄宿先の姉妹と故郷の幼馴染を次々と口説き落としていく。大正末期に地下出版された同名猥褻本を映像化しているロマンポルノ。この原作は好色三大奇書のうちのひとつであり、残りのふたつは「四畳半襖の下張り」「袖と袖」。前者は神代辰巳監督で映像化されている。

セックスのことしか頭にない好色男の性生活を淡々と描写している作品。アッチに行っては女とヤって、コッチに行っては女とヤってを繰り返す。性的表現のタブーに挑戦している猥褻本をベースにしているため、映画的なドラマ性は反故にされている。寄せては返す心の機微など存在していない。

主人公の相手をする女性陣は、碧川じゅん(女学生)、山科ゆり(処女の娘)、宮下順子(年上の幼馴染)という面々。男にとって都合の良い女性が、都合の良いシチュエーションで、都合よくセックスさせてくれる。現在の「ハーレムもの」の原典と解釈することも可能。

中盤部まではドラマの停滞感を多分に受けるけれども、ラスト近くになってからようやく登場する高橋明により、主人公が「魔性の女の恐ろしさ」を諭されるまでの展開は、なかなかどうして見応えあり。