派手さはなく、淡々とした序盤ではあるものの、じわじわと犯人の気持ち悪さと事件の異常さが分かってくる作品で、観賞後も嫌な感じがまとわりついて離れなかった。若い頃のジョン・ハートの表情を含めた演技もよかった。

"僕は…どうすればいいの？…"

ロンドンの古いアパートの管理人クリスティは、一見物静かで温厚そうに見えるが…その正体は医師と偽って女性に声をかけ、部屋に連れ込んでは殺害して凌辱するシリアルキラー…

最近引っ越して来た若いティム夫婦が妊娠をめぐって争っていることを知ったクリスティは、二人に中絶を持ちかける…

"新宿ハードコア傑作選"と題したシネマート新宿の特集第一弾…いやぁ、流石シネマート、チョイスがとんがり過ぎです…

イギリスで死刑制度廃止のきっかけとなった"エヴァンス冤罪事件"を基にした実録犯罪作品。

実際の事件の現場で撮影したり、台詞も当事者の証言に基づいていたりと、徹底的な拘りで魅せたリチャード・フライシャー監督。

私的には、リチャード・フライシャー監督は作品の出来不出来の振り幅が大きいとの印象がありますが、たまにトンデモない大傑作を作っちゃう職人さんで、本作は元々は日本未公開作ではありますが、すんげぇ不気味で怖い傑作です。

“ジュラシック・パーク"での好々爺のイメージが強いリチャード・アッテンボローが、レクター博士も真っ青になりそうなイかれたサイコパスを無表情で演じきっておりまして、流石に古い作品なので、直接的な残酷描写はないのですが、ないにも関わらず“怖い"…コレはリチャード・アッテンボローの演技の賜物かと…

一方、ややお頭が弱く、嘘つきでカッとなりやすいティムを演じたのが、"チェストバスター"で一躍有名となったジョン・ハート。

本作は、シリアルキラーであるクリスティがメインではありますが、ティムの存在が作品の肝であり、最初から誰がシリアルキラーか分かっている構成で、いかに冤罪が作られていくかその過程を見せていく作品なので、しっかりした演技を見せるジョン・ハートも重要なピースの一つと言えるのでしょう。

9月4日まで続くこの傑作選…ラインナップに上がる作品はどれも知る人ぞ知ると言ったカルト的
作品ばかりで、シネマートはおやぢ度1000%な感じになるんじゃなかろうかと…

“盲山"の後に梯子で本作観ちゃったんで、私、"ぐったり"で"げんなり"…

発掘良品第六弾。
なかなか奇妙で面白い作品でした！最初に実話のテロップが流れます。『ファーゴ』視聴以来、これほんとに実話か？とチェックをしてるのですがどうやらこれは実話のようです。

と、同時にあまりにも恐ろしい事件を映画化するなあと感じました(°_°)
これは実際に1940年代頃にあった
「エヴァンス事件」というもので、10番街のアパートに住んでる人物が、殺人鬼であり、次々と人を殺していくというものです。

BGMはほぼなし。その中で静かに繰り広げられる殺人は正直恐ろしいです。
事件の名前になっているエヴァンスとは、そのアパートにうつってきた若い夫婦の夫の名前です。
今作はこの悲劇にあう夫婦とこの殺人鬼クリスティーを軸に描かれています。

殺人鬼ならば恐ろしい形相の人かと思えば、クリスティーは優しそうな丸顔のおじさん、、そういうところからも人はすんなりとその人を信用してしまうんですね恐らく(°_°)

それにしても1940年代のアパートてもちろん汚いのですが、死体の放置の仕方も削れば出る程度のもので、非常に雑。でもその雑さがやけに怖いです。現代でこそそのような死体放置は減少してるかと思われますが、やはり得体の知れない古家にいけば、もしかしたら、、という不安は拭いきれないですね。
この当時はこのようなことが結構あったのですかね(°_°)
終盤の、家に移り住んできた黒人さんの驚きを隠せない顔、、見つけてはいけないものを見つけてしまったといわんばかりです。

と、今作は見てからいろいろ調べればかなり面白いです。鑑賞後効果というやつですね。調べることにより、あのシーンはそういうことだったのかと想起させられます。

また本作の興味深かったのは、冤罪をテーマにしてるということ。
当時の技術を考えると、指紋・DNA鑑定などは難しかったのでしょう。なので証言や人柄で判断せざる得ない時代だったのでしょう。
今でも冤罪はありますが、昔の方が多いのはそういうことでしょう。

人の死というものはもっとじっくり描くものかと思いましたが、判決されてから絞首刑になるまでが端的すぎる。。
非常にショッキングでした(°_°)

ということでやはり発掘良品はその名の如くハズレなしの良品揃い。
古典的サスペンス映画として、サスペンス好きには愛される奇作かと思います( ^ω^ )

※まだ準新作なのでご注意を！

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