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MOTHER マザー
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『MOTHER マザー』に投稿された感想・評価

傑作『マーターズ』で強烈なトラウマと衝撃を刻みつけた鬼才パスカル・ロジェ。その彼が長編デビュー作として放った本作は、後の作家性をはっきりと予感させながらも、より静謐で、よりゴシックな美学に満ちた「雰囲気系ホラー」の怪作だと感じました。

邦題は『MOTHER』という非常にシンプルなものですが、原題の『Saint Ange』、あるいは英題の『House of Voices』の方が、本作の本質をより正確に射抜いているように思います。ここにあるのは、分かりやすいお化け屋敷的な恐怖ではありません。湿った壁、きしむ床、誰もいない廊下から聞こえる囁き声。そうした“気配”と“音”だけで、観る者の神経をじわじわとすり減らしていくタイプの作品です。

特に際立っているのが、その圧倒的な映像美でしょう。フランス・アルプスの山奥に佇む孤児院は、廃墟寸前の寂れ方をしていながら、差し込む光と影のコントラストが絵画のように美しく、どこか耽美的ですらあります。しかし、その美しい画面の内側で描かれるのは、望まぬ妊娠を抱えたアンナと、心を病んだ元孤児ジュディスという、社会からこぼれ落ちた二人の女性が、ゆっくりと精神的に追い詰められていく過程です。

物語のテンポは意図的に緩やかで、派手な展開を期待すると肩透かしを食らうかもしれません。けれど、その退屈すれすれの静けさこそが、後半に訪れる“現実と幻想の境界崩壊”への強烈な助走になっています。観終わったあとに残るのは、恐怖というよりも、深い悲しみと、美しい悪夢から覚めきれないような心地よい疲労感でした。

後の『マーターズ』にも連なっていく、パスカル・ロジェ監督特有の「女性の苦難と超越」「地下空間への下降」といったモチーフがすでに濃厚に息づいており、フィルモグラフィ的に見ても非常に興味深い一本です。



※以下、ネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。



























物語の終盤、アンナは鏡の裏に隠された通路から地下へと降りていき、そこでそれまでとは明らかに質の異なる空間に辿り着きます。冷たく未来的な白い壁、医療施設のようなベッド、実験室を思わせる無機質な造形。そしてそこに現れるのは、戦時中に虐待の末に亡くなったとされる“恐ろしい子供たち”です。

彼らは敵意を示すことなく、むしろアンナを取り囲み、出産を見守るかのような振る舞いを見せます。この光景はあまりに幻想的で、恐怖と安堵が同時に立ち上がる、奇妙な感触を残します。

ここで映画は、はっきりと二つの読みを並置します。

一つは、孤児院の地下に実際に隠されていた過去の罪、すなわち戦争孤児たちへの人体実験や虐殺が事実として存在し、その怨霊が今も留まり続けているという超常的解釈です。この場合、アンナが辿り着いた白い地下施設は、時間を超えて保存された“死者の場所”であり、彼女はそこで子供たちに迎え入れられ、命を落とすことで彼らの世界へと溶け込んだことになります。

もう一つは、すべてがアンナの精神崩壊による投影だったという読みです。暴行による望まぬ妊娠、隠し続けてきた恐怖と罪悪感、孤児院という閉鎖空間。それらが重なり合い、地下の白い施設も、子供たちの姿も、彼女の脳が作り出した最期の幻覚だった。現実には、不衛生で暗い地下室でひとり出産し、母子ともに誰にも知られず亡くなっただけだった、という解釈です。

映画が巧妙なのは、どちらか一方に決着をつけないまま物語を閉じる点にあります。後からやってきた大人たちが地下を訪れた時、そこにあるのはただの薄汚れた地下室であり、彼らには何も“見えない”。一方でジュディスだけが、アンナと赤ん坊が子供たちに囲まれて安らいでいる光景を、一瞬だけ目撃してしまう。幽霊は実在したのか、狂気の産物だったのか。観る者は最後まで確信を与えられず、その曖昧さごと抱えさせられます。

しかし重要なのは、真相の当否よりも、アンナが「現世で生き続ける」ことより、「死者の世界の母親になる」ことを選んでしまったという事実でしょう。それが霊に導かれた結果であれ、自らの妄想であれ、彼女は生と母性を同時に成立させることができなかった。地下の白い光の美しさは、その選択の救済性と破滅性を、同時に照らし出しているように見えます。

タイトルの「Saint Ange」も、この二重構造を強く補強します。それはすでに死んで天使となった子供たちであり、同時にアンナの胎内にいた“これから生まれるはずだった命”でもある。アンナは自身の妊娠を、現実の罪としてではなく、死者の世界に回収されることで“聖化”しようとしたのではないか。その選択は救いのようでいて、極めて自己破壊的でもあります。

この悲劇性をさらに際立たせているのが、アンナとジュディスの関係です。知的障害を抱え、孤児院に取り残されたジュディスは、「子供のまま大人になってしまった存在」として描かれます。アンナは彼女の記憶を取り戻すために薬をやめさせますが、それは回復ではなく、抑え込まれていた狂気と感受性を解放する行為でした。その結果、二人は「見えてはいけないものが見える」状態を共有し、現実と幻覚の境界を同時に踏み越えてしまいます。

アンナは母性へ、ジュディスは“見る力”へと引きずり込まれ、二人は鏡像のように重なっていく。そして最終的にアンナは死者の世界へと消え、ジュディスだけがその入口を覗いたまま現実に取り残される。ラストでジュディスが一瞬だけ見てしまう光景は、二人の共鳴が断ち切られた痕跡であり、彼女に残された新たな地獄の始まりにも見えます。

こうして振り返ると、本作は幽霊譚の皮を被りながら、実際には「母性と狂気が結びついたとき、人はどこまで壊れるのか」を描いた映画だと感じます。後の『マーターズ』で露骨な肉体的暴力として噴出するロジェ監督の関心は、すでにここで、精神的な苦痛と地下空間という形で芽吹いています。『マーターズ』が拷問による超越を描いた作品だとすれば、本作は母性とトラウマによる超越、あるいは死を描いた、静かな試作機のような一本です。

派手さも説明もありません。ただ、美しい映像と音の中で、現実から逃げ場を失った女性が、ゆっくりと“向こう側”へ滑り落ちていく。そのプロセスを体験させることに徹したホラーです。幽霊よりも、そこに至る理由の方がずっと怖い。観終わったあとに残るのは、恐怖よりも、どうしようもない喪失感でした。
3.4
蓋をしてはダメな過去。

1958年フレンチアルプス。閉鎖間際のキリスト系孤児院にメイドとしてやってきた主人公が、封印された孤児院の秘密に引き寄せられるオカルトホラー。

こちらでも『ゴーストランドの惨劇』がやっとこさ公開なので、パスカルロジェ監督の長編デビュー作を!『マーターズ』と『トールマン』の陰に隠れちゃってる可哀想な作品ですが、オシャレな感じで面白かったです。

お腹を殴る、タバコを吸う、聴診器を投げつけ泣き崩れる。生まれてくる子どもに対する拒絶なのか、それとも子どもが真っ先に犠牲となる社会に対する絶望なのか。多くは語られないけど、バスタブに寄りかかるという象徴的な行為を含めて、母となることへの不安や未熟さ、そして抵抗を感じる主人公の心情表現を細かく静かに積み上げていくのが見てて辛い…。

時折態とらしくピントが合うキリスト像(や本作の舞台)からも、堕胎という選択肢なんてなく、望まれずに生まれてくる子どもと、親となる覚悟を持ちきれずにいる母親に焦点を当てようとする意図が読み取れます。

『マーターズ』と呼応するかのような背中の傷(の治り具合)からは幼少期(あるいは数年前)の虐待を読み取ることが出来るので、彼女自身が「犠牲となった子ども」のひとりなのでしょうね。そう考えると『トールマン』で語られた「断ち切れない循環」が浮かび上がってくるし、望まれずに生まれてくる子どもと未熟な母というテーマはそのまま『トールマン』へと繋がっていくわけで、初期三作は密接に関連した物語であることがわかるとともに、ロジェ監督の中にある共通テーマはやはり「子ども」なのだとわかります。

そして本作も『マーターズ』『トールマン』と同じく観客に対して問題提起をして終幕となる。ただ『トールマン』ほど中立ではなく、(時代背景も合わせてではあると思いますが、)批判を強めた作品になっていると感じました。何が子どもにとっての幸せなのか。彼女は真の意味で「アンナ」となった(あるいはなることをやめた)ということなのかもしれません。そういえば『マーターズ』も主人公の名前がアンナでしたね。

他の方も指摘しているように本作はバヨナ監督の『永遠のこどもたち』と極めて近いテーマを扱っているし、あのイメージも考慮に入れると本作から影響を受けて製作されたのは間違いないのではないかと思います。むしろパクリと言っても良いレベル(笑)

私的には初期三作では『トールマン』が一番映像演出的に洗練されてると思ってるんですけど、それに比べて本作は盛りすぎというかやり過ぎというか。何がどうなんかわかんないけど、何となく違和感を覚えるところや空回りしてるように思うとこがあって、それがノイズに感じてイマイチ集中できませんでした。ひとつひとつはスゲェ好きなんだけど、繋がりが悪いのかな。拘りが凄いのはめちゃわかるんですけどね〜。『マーターズ』でも同じような感覚があって、『トールマン』でだいぶ薄まった感じ。新作はどうなってんのか楽しみです♫
1958年孤児院にやってきたアンナは家政婦として働き始める。たが彼女はこの孤児院の暗い過去を知ることになる…

過去に1回見てるんですが、当時はよく分からなかったので、改めて見てみることにしました。

で、改めて見たわけですが…
すみません、今見ても話はよく分かりませんでした😅

でも、音楽や雰囲気は非常に好みです。
パスカル・ロジェ監督らしい、不気味だけどどこか美しい印象を受けました。

しばらくしたらまたもう1回見てみて、今度は話を理解出来るように頑張りたいと思います😤

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