【第83回アカデミー賞　外国語映画賞ショートリスト選出】
ベルリン映画祭パノラマ部門で上映され観客賞を受賞、ゴヤ賞では3部門で受賞、アカデミー外国語映画賞スペイン代表に選出されショートリストまで残った。

多層的で大胆な構造が興味深く、映画としてもなかなか楽しめた作品だった。トラブルメーカーの先住民を演じた男性がリアルで良かった。

ボリビアで映画を撮ろうとするクルー、先住民からエキストラを選ぼうとするが現場は大混乱に。そのうち水の紛争が起き、映画クルーたちは更なる混乱に巻き込まれる。

撮影される映画がコロンブスの横暴を描くという内容なのが興味深い。先住民から金や物資を巻き上げ奴隷化するコロンブスら征服者たち。そして現実問題として外国企業に水が管理されるという問題が立ち上がってくる。

映画内映画と現実が重なってくるような構造が面白い。撮影クルーに内在する差別意識を浮き彫りにし、こちらに突きつけてくる。注意されても抗議活動をやめないダニエル、「水は死活問題だ」というセリフが心に残る。

コチャバンバ水紛争という事件を基にしているらしく、非常にリアルに迫ってくる。搾取される現地人たちはボリビアだけの問題ではなく、普遍性を以て語りかけてくる映画になっている。

ガエル・ガルシア・ベルナルをはじめとする撮影クルーもはじめは面倒に思っていたが、差し迫ってくると恐怖を感じて逃げようとしたり、逆に現地人を救おうと動いたり。自分だったらどうするだろうと考えずにはいられない。

社会問題を扱いつつエンタメとして見事に消化している。多層的な構造が非常に面白い作品だった。秀作。

• #第83回アカデミー賞

ビクトル・エリセの「エル・スール」の女の子が監督＋ケン・ローチ作品の脚本家コンビによる「オリーブの樹は呼んでいる」の前の作品。

やはり、社会派要素は高い。それにサスペンスとヒューマンを絡めて見応えあります。この監督を「エルスール」の、、というのは失礼ですね、失礼しました。

コロンブスの後のスペインの植民地支配の映画を、人件費が安い理由でボリビアへ撮影に来た映画クルー。現地では水道民営化により価格が高騰し、さらに雨水の利用まで制限されて民衆の暴動が勃発。主演に抜擢した現地人が暴動に加担して逮捕され、、。

3つのことが並行して描かれ、それがいつしか交差する巧みな脚本。スペインは原住民を奴隷のように使い、映画の製作陣は原住民を安く使い、水道事業を請負う多国籍企業は原住民から搾取する、、3つとも「人間の欲」と「生きる権利」の闘いという意味で共通してます。

333の法則というのがあるそうです。

空気は3分
水は3日
食べ物は3週間

とらないと生命が危険となる。

水道民営化が静かに進められている中、誰のための、何のためのことなのかしっかり見極める必要を感じます。

武装

映画監督のセバスチャンらスペインの撮影スタッフ一行がボリビアを訪れた
その頃、現地では欧米企業による水道事業の独占のため、住民たちの多くが水道料金の高騰にあえいでいた
エキストラの中から重要な役どころに抜擢された先住民族のダニエルは、撮影の合間に抗議活動に参加するようになるが……

2000年に南米ボリビアで起きた水道事業をめぐる紛争「水戦争」を題材にした社会派ドラマ

撮影と衝突
両方が描かれる

メッセージ性
アクションもあります

現地感
重厚な話でした