映画の中でマリーは Grand Action という名画座で広報担当として働いているが、これもエリーズ・ジラール監督の現実と同じである。この映画館もパリ5区に実在している。元々は、ここで働いていた記憶をドキュメンタリーとして残したいという思いが本作を撮る動機になっているそうである。なので、本作の中でもさまざまな映画が登場するし、二人の自宅には、例えばジム・ジャームッシュの特集企画のポスターなどが貼られていたりする。映画の使い方も面白くて、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『イノセント』をこの映画館で上映するシーンがあるが、上映前に夫ジュリアン(彼は映画評論の仕事をしているらしい)がこの映画を妻に贈ると挨拶するが、この映画の内容を知って妻が怒るのである。