『嘆きのピエタ』
原題 피에타/Pieta.
映倫区分 R15+.
製作年 2012年。上映時間 104分。
韓国の鬼才キム・ギドクが、第69回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したサスペンスドラマ。
タイトルはキム・ギドクがミケランジェロ・ディ・ロドヴィーコ・ブオナローティ・シモーニの彫刻の傑作、ピエタ（救い主が十字架から降ろされたときに悲しむ聖母マリアの像）『キリストの嘆き』の名前から映画名を取ったそうです。
記事によると、今作品の予算はわずか13000ドルで、何年目かの統計かはわかりませんが、母国韓国では390万ドルの興行収入を記録したそうです。

債務者に重傷を負わせ、その保険金で借金を返済させる非情な取立て屋のイ・ガンドは、親の顔も知らずに30年間、天涯孤独に生きてきた。
そんなある日、ガンドを捨てた母だと名乗る謎の女、チャン・ミソンが突然現れる。
当初は邪険に扱い、残酷な仕打ちもしたガンドだったが、ひたすら謝罪を繰り返し、無償の愛情を注ぐミソンを次第に母親として受け入れていく。
やがてガンドが取立て屋から足を洗おうとした矢先、ミソンは姿を消してしまう。。。

キム・ギドク監督は新型コロナウイルスによって世を去ったておられるしスキャンダルのことは置いといて、今作品は良い意味でぞっとするような作品でした。
の18作目は、彼本来の姿に戻ったといえるのかな。
キム監督は古い動機を再び取り上げているかもしれないが、それらは新しいアイデアと織り交ぜられており、驚くほど明らかに社会批判的であることさえ表現してました。
何よりも優先される動機は、母と子の関係であり、苦しみと赦しかもしれないが、それはさておき、監督は資本主義を批判し、そこからどのような悲劇が派生するかを示している。
しかし、結局のところ、『ピエタ』は『悪い男』の非公式な続編、と書けば過ぎるかもしれませんがそう感じてしまいます。
今作品が個人的に良かったのは、最後には信じられないほどの疲労感と枯渇感を味わうことができたからです。
キム監督の映画はモンスターだらけかもしれないが、盗人にも三分の理あるように同情できる部分もある。
だから、イタリア語のタイトルPietàには(辞書より抜粋)
1 哀れみ、 同情 2 信仰心、信心、信心深い言行
3 （親や母国を思う）敬愛の情、忠誠、恭順、祖国愛
ちゅう意味が込められているのかと推測する。
勿論、ミケランジェロの傑作もふくまれてるやろけど。

今作品には常に暴力と苦痛が大きな役割を担ってて、前半はそれに満ちてました。
誰もがそれに耐えようとするわけではない。
映画の舞台は汚いスラム街で、カンドから金を貸すのは自暴自棄になった人間ばかり。
自分も工場で働いていたことがあるというキム監督の機械への憧れは、今作品ですべて明らかになり、残念ながらその機械を使ってぞっとするようなこともたくさんできるようになる。
監督は観てる側の期待を巧みに利用する。
キム監督の映画では、痛みを通して登場人物たちは愛を証明する。
愛によって痛みが生まれる。
表裏一体である。
突然現れたはずの母親は、許しを求めており、痛みを負うことでしかそれを得ることができないと信じている。
だからこそ、キム監督特有のあるシーンでは、息子の脚の肉片を食べることさえ厭わない。
監督のアイデアは挑発的でショッキング、そして逸脱しているかもしれないが、それらはすべてある文脈の中で成り立っている。
監督が伝えたいメッセージは、ひねくれたように見えるが、病的な行動には理由があるため、同情に値するキャラたちを通して表現されています。カンドにとって、母親なしで育つことは、愛のない人生でもある。
それゆえ、子宮に戻る、つまり存在の泉に戻るという監督の願いが再び扱われるのは驚くことではない。
今作品では、母と子の関係にもエディプスの手触りがはっきりと表れている。
カンドが失われた子供時代を取り戻そうとするシーンは、キム監督のいつもの物語からすると驚くほど浮いているように見えるが、そうしたシーンはすぐに陰惨な現実に追い越されてしまう。
二人の俳優が好演しているが、チョ・ミンスが親役には少し若すぎるのは否めないし、また、2人の関係があまりにも唐突に展開される点が気になった。
前半の暴力的な展開に対し、終盤はより静かで詩的ですらある道を歩む。
キム・ギドクのその点が個人的に好きなのでその瞬間を待っていた。
裏切られたとは思わない。
なぜなら、このドラマが本当の意味で深みを増すのは、まさに終盤だからと云える。　
まだまだ驚きの展開が待っており、それは重いボディブローを入れるようなモンかな。
監督は資本主義を批判し、金がすべての悪の根源であると述べているが、これもまた、彼の映画の商業的成功の行方から生じたある種の苛立ちなのかもしれない。
しかし、結局この重苦しいドラマの焦点に立つのは、愛、憎しみ、復讐、許しなんかなぁと。
全身の力を奪われるような、悲劇という特別な魔法に満ちた映画でした。

▪️Title : 「嘆きのピエタ」
Original Title :「Pieta」
▪️Release Date:2013/06/15
▪️Production Country:韓国
🏆Main Awards :第69回ベネチア国際映画祭
金獅子賞
🕰Running Time:104分
▪️Appreciation Record :2020-274 再鑑賞
▪️My Review
とにかく痛い、前半は肉体の痛み、後半は心の痛み。。。痛みを感じる作品です。
人間の醜さと美しさに介在するギドク監督の真骨頂の代表作ではないでしょうか。
どんでん返しという趣向ではないからか、途中から展開が見えてしまったのは少し残念な所ですが、ラストシーンは素晴らしいです。残酷かつ静謐で、物語の最後に見えるあの微かな光だけが唯一の救いとなる、そんな作品でした。頭の中に「ピエタ」というタイトルが浮かびました。この映画は紛れもなく、痛みによる贖罪と救済の物語ですね。
ギドク監督が描く人々が命を賭して生きる人たちの映像が独特のコントラストで描かれています。金属と肉体、油と血液、建築物と山河のコントラストなど。。。
本作は、独創的な作風で世界中から注目を浴びる韓国の鬼才キム・ギドク監督による、第69回ベネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた問題作です。昔ながらの町工場が並ぶソウルの清渓川周辺を舞台に、天涯孤独に生きてきた借金取りの男の前に突如母親と名乗る女性が現われ、生まれて初めて母の愛を知った男の運命を描き出すしています。主演はテレビドラマ「愛してる、泣かないで」のイ・ジョンジンと、ベテラン女優チョ・ミンス。二人の気迫に満ちた演技に圧倒されますね。
物語は。。。
身寄りもなく、ずっと一人で生きてきたイ・ガンド（イ・ジョンジン）は、極悪非道な借金取り立て屋として債務者たちから恐れられていました。そんな彼の前に母親だと名乗る女性（チョ・ミンス）が突如現われ、当初は疑念を抱くガンドでしたが、女性から注がれる愛情に次第に心を開いていきます。生まれて初めて母の愛を知った彼が取り立て屋から足を洗おうとした矢先、女性の行方がわからなくなってしまい。。。
＜ピエタ＞とは、十字架から降ろされたイエス・キリストを胸に抱く、聖母マリア像のこと。慈悲深き母の愛の象徴です。
制作する上で興味深いのは、出資スポンサーが無い、監督の自費製作作品ですが、ただ早撮りしただけではなく「スタッフやキャストは原則ノーギャラ・興行成績に応じた出来高払い」という方式で低予算製作を成立させているんですね。

▪️Overview
韓国の鬼才キム・ギドクが、第69回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したサスペンスドラマ。債務者に重傷を負わせ、その保険金で借金を返済させる非情な取立て屋のイ・ガンドは、親の顔も知らずに30年間、天涯孤独に生きてきた。そんなある日、ガンドを捨てた母だと名乗る謎の女、チャン・ミソンが突然現れる。当初は邪険に扱い、残酷な仕打ちもしたガンドだったが、ひたすら謝罪を繰り返し、無償の愛情を注ぐミソンを次第に母親として受け入れていく。やがてガンドが取立て屋から足を洗おうとした矢先、ミソンは姿を消してしまう。（引用:映画.com）

わたしの好きがいっぱいつめこんであった！！！！今年一番衝撃受けたかもしれないいいい！