
1982年生のピニェイロ監督は、長編1作目の『盗まれた男』(2007)が第18回チョンジュ国際映画祭でグランプリを受賞して注目を浴び、以来長編は4作品と寡作ながら、個性的な映画作家としての地位を築いている。目下の最新作『Isabella』(2020)は第70回ベルリン国際映画祭「エンカウンター」部門にてスペシャル・メンションされている。本作は2012年のベルリン「フォーラム」部門でプレミア上映され、俳優の姿を生々しくとらえながら演劇を映画に自在に取り込み、夢と現実をも融合させていく演出が賞賛を浴びた。2019年の「カイエ・デュ・シネマ」誌では濱口竜介監督が2010年代のベストテンに選出した。 ブエノスアイレス。女性の劇団がシェイクスピアの「十二夜」の翻案と思しき戯曲を演じている。劇の主演のひとりのサブリナは恋人の男性と別れようとしており、共演者のセシリアはサブリナの恋愛観を試すべく、劇の形を借りながらサブリナを誘惑する。一方で、自主製作の音楽や映像を収録したDVDの販売を行うヴィオラは、届け先のアパートでセシリアに出会う。セシリアはヴィオラを芝居に誘い、ヴィオラは恋人のハビエルに一緒に行くか尋ねるが、実はハビエルはその芝居を数日前に見ており、セシリアに熱い視線を送っていたのだった…。
オーディションに遅刻してきた無名の女優ワンダと、自信家で傲慢な演出家のトマ。がさつで厚かましくて、知性の欠片もないワンダは、手段を選ばず強引にオーディションをしてほしいと懇願し、トマは渋々…
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