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破壊しに、と彼女は言う
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『破壊しに、と彼女は言う』に投稿された感想・評価

reb
3.0
「フランスの現在をめぐって マルグリット•デュラス没後30年ー全作上映」日仏学院で鑑賞。
療養施設で出会う4人の男女。大学教授のマックスと、かつての教え子である若い妻アリッサ。作家志望のユダヤ人シュタイン。死産を経験したばかりのブルジョワ人妻エリザベート。

深い森。眠れない夜。テニスコートでボールを打ち合う音。

マックスはエリザベートに惹かれ、アリッサはシュタインも愛し、エリザベートを自分の分身だと言い誘惑する。

本は読んだふり。
トランプは遊んでるふり。
本物の狂気なのか、狂ったふりなのか。
アリッサが破壊したかったものとは。

夫がエリザベートを連れ帰った後、森から不気味なドカンドカンという音が近づいてくる。ついに破壊か始まったのか‥。

これはデュラスの小説読んでみたいけど、おそらく読んでも分からないのだろう。
針
3.8
 マルグリット・デュラス特集から謎の映画を。彼女の初めての単独監督作らしい。
 精神療養所めいたホテルに滞在する男女4人の、長まわし会話劇として構成された不条理譚かなぁ。最初は男ふたりの会話で始まり、やがて作家兼教授の男の18歳(!)の年下彼女がやってくるけど、彼女もまた精神を病んでいるようでこのホテルの住人となる。やがて3人は同じホテルに投宿している女性に目をつけ、彼女を彼らの仲間(?)に引き込もうとしていく……。というストーリー理解で合ってるのでしょうか???

 言葉自体は分かるのに、それで何を言わんとしてるのかが全然分からん時間がえんえん続くので正直意味不明~と思って観てたのですが……。最後の3分の1あたりで「外部の目」が持ち込まれることでにわかに見方が分かり、話がピタッと焦点を結んで終わっていく感じ。なので個人的には耐えの時間が長くてちょこちょこ意識が飛びかけた😇わりには、けっこうおもしろいかもと感じる謎の映画でした⭕️ でも確かに最近でも、『グレース』(ロシア)とか『落下音』(ドイツ)とか、眠くなったけどよかった映画はけっこうあるなぁ。

 用意してるのはロケ場所と衣装と俳優ぐらいで、そんなにお金はかかってない、基本的にはセリフ=脚本の映画だと思う。でも画面内での俳優の配置や画角の取り方(何を映して何をフレーム外に除けるか)、カメラワークなどが非常に安定していて、確固たる方法の影を感じます……。
 設定から来る雰囲気は『去年マリエンバートで』とか『8 1/2』っぽいんだけど、俳優の発する「言葉」のみで理屈の狂った世界を演出していく手つきがとっても不条理度が高く……。映画や映像というのは「モノ」がそのまま映るメディアなのに、絵面はずっと尋常で、文学よろしく会話=言葉だけで物語の迷宮感を形作ろうとしてるところが、非常に尖ってるしハードルが高く感じる原因だろうとも思う😅 そういう点から、画面上には物理的な障壁がいっさい映っていない(存在しない)のに、なぜかみんな大広間の敷居を跨げなくなって閉じ込められる『皆殺しの天使』を思い出したりもしました。あとは女性ふたりが鏡の前に並んで立つシーンでは『メイ・ディセンバー』。





⚠️
★★★以下、ちょこちょこネタバレもありで感想メモ。
 ・主人公が男ふたり、女ひとりの3人ペア(トリオリズム💗)なのは、男女一対のペアの関係性こそ正しく安定したものだという価値観を破壊するためだと思う。夫婦のような対の関係性というのは実はそれほど安心も安定ももたらさないという「真実」を突いているような……。
 ・話の理解が非常に怪しいんだけど、終盤で4人目の女性の夫が彼女を迎えに来ることで、にわかに話に取っ掛かりが生まれる感じがしました。ようするにこのホテルで訳分からんことずっと言ってる彼らは夫=外部の目から見るとやっぱり狂人でしかない。世の中の一般的な条理からは外れた考えの持ち主であると。
 自分がぼんやり思ったのは、彼らのような「傷ついた精神」にはこの世に居場所などなくて、自分と他人との境界線を溶かして疑似的に一体化することで相手を「愛する」ことができる、みたいな話のような。主役の3人が結んでいる会話と精神の迷宮みたいな関係性はたぶんそういうものな気がする。んで4人目の女性も、さらにはその夫も自分たちの仲間に加えようとするんだけど、ふたりは拒絶し、不安定な夫婦関係へと戻っていく、ということのような。
 なにゆえに拒絶するかっつうと、3人の関係が「病的」なのもあるけど、それに加えて彼らにも結局未来とか先というのはないからじゃないのかなぁ。どうあれこの世には絶望しかない、そのループが延々と続いて終わりも始まりもなくなるだけ、みたいな感じがしました、非常にあいまいだけど。でもヒロインがずっと前から18歳のままだというのはそういうことな気がする。
 ホテルの向こうにある「森」という場所が何かの象徴になってて、ラストでその「森」からものすごい轟音が響き続けるシーンで映画が終わります。全体的に何を言わんとしてるのかが全然明確に分からなかったのですが、この世も人間もみんな袋小路なんじゃない? みたいな心情を、象徴としての狂気を通して描いた不条理映画みたいなもののような。男ふたりに共通する「ユダヤ人」性というのもうまくほぐせない要素でした。むずかしすぎる~~~…………
アラン・ロブ=グリエの特集上映が行われている中思い出したけど、同じフランスの作家でもデュラスの方が映像に対する哲学は優っていたように思う。

話の筋とかは全く覚えてないけど、モノクロ映像から感じられる詩情のようなものがロブ=グリエやアラン・レネの作品以上に感じられて、映画を監督し始めて間もない頃からデュラスは映像詩人として才気煥発していたのだなと感嘆した記憶が強く残っている。

後の作品と比べて台詞が多いという普遍性があるけど(そこに普遍性を感じる時点でデュラスのスタイルの異常性がわかるが)、それでも作品の空気感に何時間でも味わいたく思える心地良さがあったから、スタイルを確立していないとはいえ十分すぎるくらい美的に素晴らしかった。

しかしこの作品を見たのも結構前だったと思うから、どこでもいいからもう一度デュラスの特集を組んでこの作品を上映してほしい。(そしてそのときはついでに未見のヴェネツィア時代の彼女の名前とかも一緒にプログラムに入れてほしい)

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