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彼方から From Afar
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『彼方から From Afar』に投稿された感想・評価

Omizu
4.3
【第72回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞】
『箱』ロレンソ・ビガス監督作品。ミシェル・フランコがプロデュースしたベネズエラ映画。ヴェネツィア映画祭コンペに出品され金獅子賞を受賞したが日本では未公開となった。

これはなかなか素晴らしい。ビガス監督の静謐な演出、シンプルながらも心を打つ物語がとても好きだった。

貧しい青年を買う孤独な男アルマンド、そんな彼の前に一人の青年が現われる。所謂同性愛映画で、真っ向からそれを描いた挑戦的な作品と言える。

アルマンドが追いかけていたはずが、いつの間にか立場が逆転してしまう。エルデルを演じた俳優の目が印象的。

ラストは少し意外だった。あまりに冷徹に突き放した終わり方が素晴らしい。希望も何も残さない。ミシェル・フランコがプロデュースしたというのはなんとなく理解できる。

愛するもの、愛されるものの立場が入れ替わるという普遍的な愛のかたちを見事に表現している。口に出して「愛してる」なんて言わない。淡々としつつも豊かな画面で語っていくストーリーテリングがいい。

必要最低限の材料で調理していくビガス監督の演出は冷徹にして非常に豊か。金獅子賞受賞も納得の傑作だ。
「彼方から From Afar(英語字幕)」

第72回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作品。貧困が渦巻くベネズエラの首都カラカスの地で、少年を買う初老の男性。直接的に触れることはないが、少年を眺め、自分を慰めることで欲を満たす。ある日、彼が家に連れて帰った少年との出会いが、運命を大きく動かす。
音楽がなく、静かに物語は進む。それほど大きな出来事が起きるわけではない。しかし、2人の心が、静かに近づき、そして離れていく様が、非常に美しかった。
同性愛を描いた映画は、比較的静かな映画が多い気がするが、本作は特に静寂を重要視していた気がする。台詞が必要以上にないところも良かった。
同性愛も重要なテーマなのだろうが、何かを得るためには、暴力や犯罪に手を染めるしかない状況=貧困も重要なテーマだと思った。
ラストは非情だが、愛ある選択なのかもしれない。男性と少年の父親と息子のような関係性が好きだった。
小
3.9
LBFF2016で鑑賞。2015年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞、2017年のアカデミー賞外国語映画部門ベネズエラ代表作選出。

ベネズエラのカラカスで暮らす歯科技工士で50歳、裕福なアルマンド。道ばたで好みの男を見つけると、金を渡して部屋に誘い、後ろ向きに立たせ、上半身は裸、下半身はお尻が見えるくらいまでズボンを下げさせ鑑賞し、悦に浸る。相手には決して触ることはなく見つめるだけ。

ある日、アルマンドは不良グループのリーダー、エルデルを誘うが、ボコボコにされる。その後、復讐するどころか、タダでお金を渡すなど、エルデスに何かと便宜を図ったり、面倒をみたりする。エルデスは次第にアルマンドに心を開いていく。

階層格差の大きい2人だが、お互い父親に対し憎しみを抱いているという共通点がある。エルデルの父親はすでに亡くなっているが、アルマンドは父親と疎遠になっている。

アルマンドの心がまったく読めず、解釈が難しい映画。いろいろ調べた結果、テーマは、中年男性の同性愛ではなく、政治経済の混乱で、国民の階層間の緊張が高まっていることらしい。

そして、階層間の対立が強まっていても、お互いに“感情的に必要なこと”(ここでは多分、お互いに父親を憎むということ)を共有できれば、対立のない関係を構築できるということらしい。

ところで、何故、階層間の対立が強まっているのだろうか。簡単に調べただけだけど、多分、食料不足がのっぴきならない状況になっているからだろう。

そもそも食料を買うのも命がけらしい。スーパーは長蛇の列で買うのにとても時間がかかるけど、最近は数時間といわず、一晩中、治安の悪い街の中に泊まり込みで列に並ぶこともあるとか。

ここまで食料が不足しているのは、価格統制で主要食料の価格を安く設定していることが根本的な原因。価格統制は貧困層でも購入できるようにするための社会主義国家特有の政策だけど、隣国よりも圧倒的に安いから、買いだめして隣国で売って大儲けする人が後を絶たなくなり、本当に必要な人にまで十分にいきわたらない。

食料の販売価格は国内での生産コストよりも安く設定されているので、農家は成り立たず、ますます他国への依存を強める。

こうしたセルフ・ダンピングとも呼ばれる状況に陥っているにもかかわらず、何故、価格統制をやめないのかといえば、役人が腐敗し、国のためでなく自分の懐を潤すために仕事をしているから。

他国で食料を買い付ける際に役人は、市場価格より高値で買い、差額を業者と分け合う。さらに、食品の輸入のためなら実勢よりも大幅に安いドルレートが適用される(実勢と比べ少ない自国通貨額で多額のドルと換金できる)ので、申告した量の半分しか食料を輸入せず、残りの交換レート枠を自分の外貨獲得に利用するといった汚職も横行する。

ベネズエラは原油埋蔵量が世界一だけど、政府は食料関連で不足した外貨を石油輸出で穴埋めしていて、大半の国民は富の分配にあずかれない。結果、一部の役人などが私腹を肥やせば肥やすほど、大多数の国民の生活はどんどん苦しくなる。

犯罪が多発し、スーパーや食料運搬車の襲撃も日常茶飯事になっていることから考えても、貧困層が富裕層を許すはずがない。

と、ここまで知ると、エルデルのアルマンドに対する態度は彼の個性によるものと思っていたけど、「階層間の緊張の高まり」が背景にあるということが腑に落ちる。監督は、絶対にわかり合えないはずの2人がわかり合うことは、決して可能ではないことを描いてみせたのかったのかもしれない。

同性愛は、ベネズエラ国民、ベネズエラを良く知っている人なら、きっと思うところがあるはずのこの映画を、多くの人に観てもらうための手段だったのではないか、という気がする。

しかしながら、ベネズエラのことを全く知らなかった自分は、「アルマンドは同性愛者ではなく、周到に計画を練ったうえでエルデルを利用したのではないか。きっとそうに違いない」などと、観終わった後は思っていた。

ラストが意味深長だったせいでもあるけど、今にして思えばあのラストは「さあ現実に戻って考えよう」ということだったのかもしれない。でもよくわからないから、一般公開されて、誰か解説してくれないかしら。

参考にしたサイト
https://venezuelainjapanese.com/
http://www.cinematoday.jp/page/N0083626

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