荒野の狼

ジュラシック・ワールド 炎の王国の荒野の狼のレビュー・感想・評価

4.0
2018年公開の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は、『ジュラシック・ワールド』の続編で、映画「ジュラシック・パーク」シリーズの第5作目。第4作は』は独立した作品として楽しめる内容であったが、本作は登場人物と恐竜が第4作と重複するので、第4作を見ておく必要がある。舞台の中心が中盤からアメリカになり、登場恐竜も少ないが、本作で新たに紹介される魅力的な恐竜は、固い頭部が特徴の堅頭竜類スティギモロクで、脇役ながら大活躍。ただ、小型の恐竜であり、登場シーンも最終版の短い時間なのが、やや物足りない。他に、本作オリジナルの恐竜で新しい遺伝子組み換えの2代目ハイブリッド恐竜であるインドラプトルが登場するが、こちらは実在しない恐竜なので、怪獣といってよい。しかし、見た目は、大きめの肉食恐竜に外ならないのが残念で、形態的に他の肉食恐竜と比べてユニークな点がない。色を派手にするとか、角をつけるとか、遺伝子組み換えという設定を利用した思い切った造形が許されていた「怪獣」であるのに、地味なデザインは記憶に残らない。日本の怪獣映画・ウルトラシリーズの造形美を見習って欲しいところで、著作権料を支払って円谷プロから人気怪獣(テレスドンとかキングザウルス三世など)を恐竜として登場させれば、ヴェロキラプトルらと対決は遺伝子組み換えされた異質な怪獣対ナチュラルな恐竜という構図が鮮明になったであろうと、日本の特撮ファンとしては考えてしまう。
本作は、前作に登場したヴェロキラプトルのブルーが登場した段階から、ブルーが後半でどのような役割を演じるかは、読めてしまう展開。日本の観客は、人類の味方をする怪獣であるガメラやゴジラを見慣れているので、本作のブルーは、まさにその役割で、最終版でのインドラプトルとの対決はリアリティが欠いているが、バトルの内容は、怪獣・ヒーロー映画そのものといってよい。ブルーの活躍ぶりは、歴代の怪獣ヒーローに劣らないもので、チャーミングな性格も特撮ヒロイン(雌なので)に相応しい。
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    Amazonのレビューは2009年くらいから「荒野の狼」のペンネームで投稿しております。本職は医学部で微生物学・免疫学・神経難病などの教育・研究をしております。現在は大阪在住ですが、アメリカで21年…

    Amazonのレビューは2009年くらいから「荒野の狼」のペンネームで投稿しております。本職は医学部で微生物学・免疫学・神経難病などの教育・研究をしております。現在は大阪在住ですが、アメリカで21年間医学教育・研究をしておりました。職場のURLは以下です。 https://www.med.kindai.ac.jp/microbio/