緑色の部屋を配信している動画配信サービス

『緑色の部屋』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

緑色の部屋
動画配信は2024年3月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

緑色の部屋が配信されているサービス一覧

緑色の部屋が配信されていないサービス一覧

Prime Video
U-NEXT
DMM TV
Rakuten TV
FOD
TELASA
Lemino
ABEMA
dアニメストア
Hulu
Netflix
クランクイン!ビデオ
JAIHO
ザ・シネマメンバーズ
スターチャンネルEX
みるアジア
WOWOWオンデマンド

『緑色の部屋』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.0
 第1次世界大戦から10年後の1928年、フランス東部の小さな町。ジュリアン・ダヴェンヌ(フランソワ・トリュフォー)は愛する人と大戦前に結婚していたが、皮肉にも自分は命からがら生き残り、妻を事故で亡くした。どうして自分が生き永らえているのかわからぬ虚無の果ての人生。友人ジェラール(ジャン・ピエール・ムーラン)の夫人の葬儀に出かけ、悲しみのあまり泣き崩れる友人を心から慰めた。フランスが戦争の爪痕からの復興を果たした今もなお、ジュリアンは愛する妻とその思い出の中に囚われている。あっという間に歳月は流れ、以後40代になった今も独身を続け、年老いた母のような家政婦とみなしごで聾唖の少年ジョルジュ(パトリック・マレオン)とともにひっそりと暮していた。結婚後、わずかの間に事故で死んでしまった若妻の美しい肖像を何度眺めただろうか。遺品で飾られた緑色の部屋で生活する男は死んだ人のことばかり考え、亡き人との生前の記憶に思い巡らせ、あの日の思い出と共に暮らす。その姿はどこか無気力で、何より今を生きていない。

 トリュフォー監督長編18作目となる今作には、後に早逝する自らの死の予感が、辺り一面に立ち込めている。ちなみに主演俳優としても最後の雄姿でもある。突然亡くした妻を彼が生涯愛した「シネマ(映画)」に見立てるとわかりやすい。今ここに在る映画には全く興味を示さず、亡くなった人との思い出や言葉、作品にしか興味が持てない。現在や未来に何の興味も示せず、専ら過去の映画に固執する姿はあまりにも象徴的だ。幻灯写真に投影される愛妻との思い出の数々はシネマの起源とも重なる。母のような朧げな家政婦と暮らしながら、一番近くで『大人は判ってくれない』の頃のアントワーヌ・ドワネルのような少年を見守るのだが、口が達者だったアントワーヌ・ドワネルのように彼は口がきけない。教会を再建することはトリュフォーにとっては映画を撮ることとニアリーイコールで、そこで人生の師ヒッチコックや代父のようなジャン・ルノワールに精一杯の敬意を表して来た。映画を撮ることでかつての偉人たちと会話を試み、孤独な追悼を繰り返す彼の今作での職業は新聞記者で、『カイエ・デュ・シネマ』の記者として活躍したあの頃がオーバーラップする。彼を口汚く罵る編集長はおそらく、アンドレ・バザンかエリック・ロメールだろう。

 ジュリアンが『大人は判ってくれない』のアントワーヌ・ドワネルのような少年の力を借りて、教会の一室に作り上げた蠟燭だらけの部屋の奇妙で陶然とした美しさには思わず目を奪われる。それと共に、あの空間そのものが当時のトリュフォーの心の在り様を映し出しているようにも見える。彼が作った死者たちの祭壇をめぐる壁には彼が敬愛する芸術家たちの写真が飾られている。そこにはジャン・コクトーの写真に交じり、『アデルの恋の物語』から4作続けて音楽を担当したモーリス・ジョーベールの写真も飾られているが、今作の音楽も担当したジョーベールはこの時はまだ死んでいない。だがジャン・ヴィゴの『新学期・操行ゼロ』や『アタランタ号』の作曲をしたジョーベールの姿は確かにトリュフォーの心象風景のようなこの部屋に収まっている。それどころか『華氏451』で決定的な確執となった主演俳優オスカー・ウェルナーの雄姿も飾られている。ジュリアンが亡き妻への想いで共鳴し、仲間だと信じたジェラールの裏切りの挿話はトリュフォーとゴダールの歪な関係を連想させる。かつては親友の間柄だった2人は今は顔を合わせず、ジャン=ピエール・レオやナタリー・バイを自身の作品の重要な役柄として取り合う日々だ。

 当時46歳となったトリュフォーには同時代の作家への嫌悪が滲むが、すっかり年老いた自分にはもはや『大人は判ってくれない』のような純粋で瑞々しい映画は撮れない。聾唖のみなしごの癇癪は当時すっかり円熟期を迎えつつある作家としての惑いであろう。苦悩する映画作家は心の中であの頃のトリュフォー少年を禁欲的に自制しながら、同時期に商業映画復帰作『勝手に逃げろ/人生』で商業映画に復帰したかつての盟友に思いっきり中指を立てる。傑作『アメリカの夜』で流転した人生は今作で私信のような緩やかな気付きをあの人に与えるが判っていたはずだがそこには何の反応も返って来ない。トリュフォーの映画監督としての屈折したリビドーを孕んだ今作は然しながら禁欲的でまったく違うアプローチで、前時代的で抑制された人々を演じることで、心底とち狂った物語を紡ぐ。  
RIO

RIOの感想・評価

4.0
亡くした人の代わりはいない

新しい人生を始めることが何故駄目なのか
亡くなった代わりになる人をどうして受け入れられるのか
ジュリアンは戦争で友達をみんな亡くし悲嘆に暮れて死者といつも思い出の中にいる

生き残った者として早くに逝ってしまった者たちを忘れてはいけないと思い詰めているように見えるけれど時間をしっかり刻みながら慎ましく生きているようです

屋敷の緑色の部屋の1室に死者の部屋がある その部屋が燃えてしまいジュリアンの言う彼の死者たちが生き返る祭壇を教会に作った 命が絶えないよう蝋燭を点す
壁にはジュリアンの愛妻や友人 過去に知り合った人々だけではなくマルセル・プルーストの写真も掛けてあった*違うかも
自然光で輝く蝋燭の灯りがとても美しい

花びらが1枚また1枚と散ってゆく
その1ひらの気持ちを想っているようなジュリアンとセシリアの会話が優しく語り掛けてくるようでした

トリュフォーは「いかに死者を愛せるか」を問うている
象徴的な「死者たちの祭壇」の無数の蝋燭の光について 監督は 「夢想を呼び起こすこの世にあるかぎりの物象のなかでも 炎は最大の映像要因のひとつである」哲学者バシュラールの言葉 とありました

一生に渡って決して消えずに心にいる人は居ますね🧚‍♂️
菩薩

菩薩の感想・評価

4.0
これを観て真っ先に思い出したのが只今絶賛開催中のクリスチャン・ボルタンスキー展で見たモニュメントシリーズだったりするわけで。ボルタンスキーが不特定多数の見知らぬ人々の「不在」を表現する事により、その追悼を通し癒えぬトラウマを少しでも慰め、自らの出自に向き合おうとしている様に、この場合トリュフォーは自らに近しい人々をその祭壇に祀り、その記憶と共に生き、また死者との同化を目論むのは何故かと言えば、同じ様にそれが自らの傷を癒す事に繋がり、また死者は裏切らない/裏切れない存在であり、これ以上の傷を負う事はこの先無いであろうとの安堵感の中に安らぎを見出そうとしたからではないか、とまぁ勝手に思うわけである。勿論それを「絶対的な愛」と呼びたければ好きにすれば良いし、その「絶対的な愛」を完成させるべく近づいた「同じ傷」を持つ者に一度は裏切られながらも、最終的にその「絶対的な愛」の完遂者へと仕立て上げる事に成功してしまうなどなんて身勝手な事だと思うが、ただ死者の「不在」を未来へと繋げていけるのは当然ながら今を生き存在しているものでしかない。記憶と言う物を未来へと渡していく為の一つの手段としての芸術、蝋燭の火は揺れやがて消える様に人の命は揺らぎいつしか消えていく、ただその「消えた」命はまた次の命の蝋燭に火を灯す種火になる。そうして繋いで繋いで繋いで、死者はいつしかどこかで復活を遂げるのであろう、不在の先に見つける光がここにはある。

『緑色の部屋』に似ている作品

突然炎のごとく

上映日:

1964年02月01日

製作国:

上映時間:

107分

ジャンル:

3.8

あらすじ

フランソワ・トリュフォー監督、ジャンヌ・モロー主演の恋愛映画。文学という共通の趣味を持つジュールとジムはフランスのモンパルナスで出会い意気投合。そして2人同時にカトリーヌという女性に恋をし…

>>続きを読む

隣の女

製作国:

上映時間:

106分

ジャンル:

3.7

あらすじ

グルノーブルの郊外で、妻子と幸せに暮らすベルナールの隣家に越してきた夫婦。 若い美貌の妻は、かつて激しく愛し合った女性マチルドだった。二人の愛が再燃するのに時間はかからなかった。密会はやが…

>>続きを読む

ローマで夜だった

製作国:

上映時間:

135分
3.8

あらすじ

修道尼に変装し闇商売をしているエスペリア。ある日、ペンバートン、チャールス、イヴァンら連合国側の脱走捕虜に出会い、窮状を見かねて屋根裏部屋にかくまう。やがてナチがローマを占領。エスペリアと…

>>続きを読む

ノスタルジア

上映日:

1984年03月31日

製作国:

上映時間:

126分

ジャンル:

3.9

あらすじ

通訳を伴い、霧深いイタリア中部を旅する詩人・アンドレイ。彼は自殺したロシア人音楽家・サスノフスキーの取材のため、モスクワからこの地にやって来ていた。旅も終わりに近付いた頃、アンドレイはある…

>>続きを読む

ライオンは今夜死ぬ

上映日:

2018年01月20日

製作国:

上映時間:

103分

ジャンル:

3.6

あらすじ

南仏ラ・シオタ。年老いた俳優のジャンは、昔愛した人を訪ねて古い屋敷にたどり着く。誰も住んでいない屋敷の中では、地元の子どもたちが映画撮影ごっこをしていた。子どもたちと共に映画撮影をはじめる…

>>続きを読む