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魂を救え!
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『魂を救え!』に投稿された感想・評価

3.6
 1991年のある日、マチアス・バリエ(エマニュエル・サランジェ)は父の死をきっかけにして、ドイツのボンからフランスのパリへ列車で向かう。外交官の友人ジャン=ジャック(ティボー・ド・モンタランベール)を従え、楽しい旅になるはずだったが、パスポートを見て検閲官の顔がみるみる曇る。いきなりパスポートの書類に不備があると言われ、別室に連れて行かれた彼は、大柄な税関検査員の過激な取り調べに鼻血を流してしまう。やがて無罪放免となり、ホテルに着いたマチアスはスーツケースを開けて驚く。何とそこには白いガーゼに包まれた人間の頭部が紛れ込んでいた。今作はドイツからパリへの旅の途中で、思わぬ事件に巻き込まれた主人公の数日間を描いたスリリングな犯罪映画で、ある政治的思惑に翻弄される男の恐怖を描いた不条理サスペンスである。スーツケースの中に人間の頭部を入れたのは誰なのか?この人間の頭部がいったい誰なのかというミステリーを縦軸に据えながら、デプレシャンはあえてこの映画が純粋なミステリー映画ではないと嘯く。

 ホテルで人間の頭蓋骨に気付いてから、マチアスは姉のマリー(マリアンヌ・ドゥニクール)と元カノ(ヴァレリー・ドレヴィル)と再会する。この場面はまるでトリュフォーの『ピアニストを撃て』へのオマージュのようにも見える。シャルリの弾くピアノの伴奏に併せて歌ったあの名場面のように、今作ではオペラ歌手の姉と元カノの暗唱をマチアスは助ける。翌日も人間の頭蓋骨を警察に届けるのかと思いきや、彼はまったくそうしない。法医学の研修生として実習を受けながら、コインロッカーに人間の頭蓋骨を隠す。この法医学教室の同僚研修生には、後にデプレシャンの分身となるマチュー・アマルリックや、デプレシャンの弟であるファブリス・デプレシャンがいるのも見逃せない。デプレシャンはミステリーを縦軸に据えながら、そこに共同生活や恋愛など実にフランス人らしい横軸を付け加えて行く。フィルム・ノワールのようにギャング団もファム・ファタールも一向に出て来ないが、迂回に迂回を重ねながらジャンル映画の神髄へと徐々に駒を進めて行く。突飛なストーリー展開と後半主人公に訪れた危機はまさにB級犯罪映画そのものであるが一つ明確に違うのは、あらゆる活劇的展開の排除であろう。デプレシャンの映画ではアクションは簡略化され、巧妙に回避される。今作で運動と言える運動は、マチアスとデプレシャン弟が法医学教室へと歩みを進めた場面くらいだろう。
Omizu
3.4
【第45回カンヌ映画祭 コンペティション部門出品】
『あの頃エッフェル塔の下で』アルノー・デプレシャン監督作品。カンヌ映画祭コンペに出品され、カイエ・デュ・シネマ誌ベストテンでは第5位に選出された。

奇妙奇天烈なおかしな作品だった。その一筋縄ではいかなさは流石デプレシャン。予想をことごとく裏切っていく斜め上を行く発想力が素晴らしい。

汽車で止められ、何者かに生首を荷物に入れられた青年が政治的陰謀に巻き込まれていく。このあらすじを読んだだけでは全く意味が分からない。

観てみるともう「デプレシャンだなぁ」と思う描写が満載。淡々と撮っているが起こっているのはかなり奇妙な出来事。青年が生首に魅入られていく。その過程が見事に描かれている。

マチュー・アマルリックが端役で出演しているのも興味深い。あれ?これ絶対アマルリックだよなという顔がちらっと登場する。

すんごい奇妙な作品でかなり地味。盛り上がるわけでもない話だが、ことごとくこちらの予想を裏切ってくる展開力が流石。面白いかというと正直「こんな長尺で語る話か?」とは思うんだけど、なんだか忘れられない作品になった。デプレシャン、変な作家だなぁ。
継
4.0
パリへ向かうTGV(高速鉄道)で税関検査に引っ掛かったマチアス。一時は身柄を拘束されるも無事に解放、だがパリに着いた彼は拘束中に没収されていた自身のスーツケースに、ミイラ化した人間の頭部を見つけて...。

冷戦時代の政治サスペンスに巻き込まれた主人公。
外交官の息子という周到な設定や、初めの舞台がベルリンではなく旧西ドイツの首都ボンという事、更にヤルタ会談の裏話で始まる幕開けがル・カレの書くスパイ小説のようで奮っている。

140分の長尺を幾つかに章立てして進むストーリーは、法医学研修生としての知識を武器にミステリーの解明に全集中でww挑みながら、その一方で如何にもフランス映画らしいと言うか、25歳の青年としての日常〜恋愛模様という, この監督が今作の後に軸に据えていくテーマにも同等に近い時間を割いて二律背反するマチアスの苦悩を描いていきます。

歴史サスペンス+法医学スリラー+青春ラブロマンス。
ライアン・ジョンソンに『ブリック/消された暗号』という学園モノ+ノワールな映画があって“あんなカンジかな((o(´∀`)o))?”と思いきや、当たり前だけど全然違うテイスト。

死者の尊厳、その上に成り立つ現代を生きる者の日常ー。
原題『la sentinelle』は歩哨の意。外交駆け引きの末, あまりに曖昧に線引きされた目に見えぬ国境線をめぐるドラマ。
現代の人間関係に歴史が干渉し引き裂くさまをマチアスとその友人達を介して描き、過去が, 戦争が, 終わらずに地続きで現代に影を落とす構図を浮かび上がらせる。

友人と故意にバスを乗り過ごして街中を走って戻るシーンの導入とか,
人間関係に徐々に亀裂が生じていく過程…。
ディテールまできっちり描かれる人物の心理・相関, ストーリーの動線・支流の捌き方にソツがなくて, これが処女長編とはちょっと思えないくらいに観応えがありました。

室内にしろロケにしろ、全体に光度を抑えた映像。
色相もモノクロとは言わないけれど寒色系でまとめられた薄暗い印象。統一感を感じた一因は恐らくこの映像によるものだけど、邦題とは裏腹に思いを胸に秘めて静かに使命感に燃えるタイプのマチアスは恋愛にも生真面目で仲間内でも良いヤツだけどちょっと暗い田舎者なキャラ。映画は当然マチアスを主眼に映すので、自ずとそのキャラに染まって余計に薄暗い印象が際立ちます。
軽妙な会話のオシャレでロマンチックなフランス映画とはそういう意味で一線を画すると思うので、好き嫌いは分かれる映画ですョ(+_+)と、一応予防線を張っておきます(笑)。

『魂を救え!』に似ている作品

二つの世界の男

製作国・地域:

上映時間:

102分

ジャンル:

3.5

あらすじ

50年代、東西冷戦下のベルリン。軍医として駐屯する兄を訪ねたスザンヌは、義理の姉・ベッティーナに誘われ、東ベルリン見学に出かける。そこでスザンヌはイーヴォという謎の男と出会い、恋に落ちるが…

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