殺人のアリバイを破りかねない少女を口止めするために近づくギャング。自身も少年である彼は、しかし愚かなまでに純真である少女に心乱され始める。グレアム・グリーン原作(脚色にも参加)のブリティッシュ・ノワールを代表する一本。ブライトンはロンドン郊外の海岸の保養地であり、その陽光に満ち溢れた地での犯罪がかえって暗さを増す。ニューロティックで残忍、半面の脆さという矛盾を体現するアッテンボロー。たまたま殺される直前の被害者と一緒だったことから事件にかかわり、ある意味探偵役を務める中年女歌手がどこにでも現れて不気味。仲間内の弱い輪である男を殺す階段場面のショッキングなカッティングと構図の切れ味。アッテンボローがいじるあやとり糸や人形、少女との切ない絆となるレコードなどの小道具にも注目。
土砂降りの雨の日に、川本信夫は少年院を出た。更生を誓って出所したものの川本を迎えた郷里の炭鉱地は、すっかり廃城となり、無残な姿をさらしていた。荒れはてた川本の家では、父親は出かせぎに行った…
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