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デ・パルマ
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『デ・パルマ』に投稿された感想・評価

3.7
 ソファーにどかっと腰を下ろす紺色のジャンパー姿の男、びっしりと生え揃った白髪と髭、男はアルフレッド・ヒッチコックの58年作『めまい』を叩き台にゆっくりと話し出す。高所恐怖症の主人公ジェームス・スチュアートに訪れた絶体絶命の危機に大学時代の男は魅了され、映画監督を志す。今作は1940年生まれで、77歳になったブライアン・デ・パルマの50年強にも及ぶキャリアを、デ・パルマ自身が一作毎に解説したドキュメンタリーに他ならない。政治的に先鋭だった68年の『Murder a la Mod』から始まり、最新作である2012年の『パッション』まで1時間50分に及び語り尽くしている。ニュージャージーに生まれ、イタリア系の外科医だった父親の影響で幼い頃からメスや手術を見慣れたデ・パルマ家の三男坊は、オペに次ぐオペの連続で忙しかった父親とは疎遠な幼少時代を過ごす。カトリック教徒だった両親の影響で宗教に心酔した少年時代、高校卒業後は、コロンビア大学で物理を学んでいたが、在学中に『市民ケーン』『めまい』に衝撃を受け、専攻を映画に変える。ユニバーサル・ピクチャーズから奨学金を得てサラ・ローレンス大学修士課程に進んだデ・パルマは、徴兵拒否の実体験を基にしたロバート・デ・ニーロ出演の群像劇『ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン/BLUE MANHATAN2・黄昏のニューヨーク』で一躍注目を浴びる。

 自他共に認めるヒッチコック信者としての自負は、ケント・ジョーンズのドキュメンタリーである『ヒッチコック/トリュフォー』には参加せず、あくまでこちらで声高に語られる。ヒッチコックだけでなく、ゴダールへの憧憬、同世代のライバルであるマーティン・スコシージ、ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、フランシス・フォード・コッポラとの友情、特にデ・パルマの誕生日に女友達と留守電をよこしたスピルバーグの言葉は、2人の蜜月ぶりを物語る。アメリカン・ニュー・シネマ華やかなりし時代、同世代のライバルたちは互いに脚本を回し合い、デ・パルマがスコシージに回した脚本が後の『タクシー・ドライバー』に繋がったというエピソードは感慨深い。自作の解説をきっちり取り行いながらも、要所要所で飛び出すこれらの脱線トークが、豊潤だったアメリカ映画を思い起こさせる。ノア・バームバックとグウィネス・パルトローの弟ジェイク・パルトローのカメラは、憧れの監督を前にしても臆することなく、努めて冷静に彼の言葉に耳を傾ける。「私の作品は人々を不快にさせる」「『ボディ・ダブル』のドリルの太さが女性団体から抗議に遭ったよ」と語る変態監督デ・パルマの言葉は饒舌で淀みない。

 『ファントム・オブ・パラダイス』のNYでの歴史的不入りや『虚栄のかがり火』の再起不能寸前に至った経緯など重苦しい描写も忌憚なく語っているが、『アンタッチャブル』のショーン・コネリーのエピソード、『カジュアリティーズ』でのマイケル・J・フォックスとショーン・ペンのエピソードなど、自作に出演した役者たちへの痛烈なゴシップがすこぶる面白い。その反面、監督の創作のピークは30代〜50代と断言して憚らないデ・パルマの言葉は、もう20年以上傑作を生み出していない自身への苛立ちにも諦めにも見える。ハリウッドのシステムが監督をダメにすると語るデ・パルマは『ミッション:インポッシブル』以降、ヒット作を生み出せていない自身の状況を踏まえながらも、スピルバーグやロバート・ゼメキスへの尊敬の念を滲ませる。ヒッチコックの時代と比較し、50代以上の作家は芳しい評価を得られないと諦め気味に語るデ・パルマのの独白は妙に生々しい。前述のスピルバーグもゼメキスも、盟友であるスコシージも、テレンス・マリックもイーストウッドも、いま多くの作家たちが50代以降も着実に成功を収め、自らのフィルモグラフィの可能性を推し進めている。かくいうノア・バームバックも2年後の50歳を前にして、デ・パルマの言葉は俄かには信じ難く映ったに違いない。ラストに登場したデ・パルマの寂し気な背中は何を意味するのだろうか?まだまだ老け込むには惜しいデ・パルマの才能が再び開花することを願って止まない。
「殺しのドレス」の倒錯的でありながらもめくるめくカメラワークの美学に魅了され、一気に映画の虜となるきっかけを作ってくれたのは、ブライアン・デ・パルマ監督。

この作品は、110分間、最初から最後まで彼のこれまでの半生や、監督した作品に対する思い、エピソードトークのインタビューを中心に、後は映像資料だけで構成されているので、デ・パルマファンなら必見、そうでもない人には特にお勧めはできないというマニアックな内容。

父親は著名な整形外科医、厳格なクェーカー系の寄宿舎で学び、名門コロンビア大学でも専攻したのは意外にも物理学。そこで影響を受けたのがヒッチコックというのは、彼の初期の作品を見た人なら誰もが頷ける周知の事実だが、実は、フランスのヌーヴェルバーグ、特にゴダールから刺激を受けて映像の世界に入ったというのは知らなかった。

初の監督作品は、これまたロバート・デ・ニーロの初出演作品であった事や、スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、コッポラ、スコセッシといった後のアメリカの映画界を支えた重鎮たちと仲が良かったというのも、デ・パルマだけは、やはりカルト系の色が強いため、何だかとっても意外。

「キャリー」のブルーレイ特典にもあったけれど、「スター・ウォーズ」と「キャリー」の出演者のオーディションは、デ・パルマ、ルーカス、スピルバーグで合同で開催された話は結構有名。レイア姫役の候補でもあり、結果的には「キャリー」の優等生スー役にキャスティングされたエイミー・アーヴィングは、後にスピルバーグの妻となった(後にデ・パルマの伴侶となったナンシー・アレンは、「スピルバーグは『キャリー』の現場で片っ端から若い女優をデートに誘っていた。それに付いていったのはエイミーだけ」と語っているw)。ひょっとしたら、ルーク・スカイウォーカー役にウィリアム・カットがキャスティングされていたら・・とか想像すると、それはそれで面白い。

デ・パルマ作品の特徴でもある、二分割スクリーンについての彼の考えや、長回しシーンのヒッチコックの名言についても言及しており興味深い。

このインタビュー作品では、おそらく日本ではDVD化されていないであろう前述のデ・ニーロ出演の初監督作品の映像の一部はもちろん、出世作となった「地獄のシスター」「ファントム・オブ・パラダイス」「愛のメモリー」「キャリー」「殺しのドレス」「フューリー」「ミッドナイトクロス」「カジュアリティーズ」「スカーフェイス」「ボディ・ダブル」「アンタッチャブル」「レイジング・ケイン」「カリートの道」「ミッション:インポッシブル」「スネーク・アイズ」「ファム・ファタール」「ブラック・ダリア」「パッション」と、おそらく彼がメジャーな配給会社で製作し日本でも公開された全ての作品について紹介がされ、それぞれの作品に対する彼の思いが語られている。

中には、「カジュアリティーズ」に出演したショーン・ペンがやや性格が悪かったとか、「スカーフェイス」「カリートの道」で組んだアル・パチーノが気難しかったとか、「フューリー」は大スターのカーク・ダグラスをキャスティング出来たのは嬉しかったけど好きな作品ではないと・・とにかく冷静でありながらも歯に衣着せぬデ・パルマの喋り口調が面白い。

おそらく好きな監督名を挙げろと言われれば、自分は一番に口に出すであろう監督さんなので、本当に見て良かった。但し、大ファンとしては、もう少し、一つ一つの作品についてのエピソードトークが多ければ良かったなという点で減点が一つ。

「映画監督が真の実力を発揮できるのは30代~50代。それ以降は、事実上難しい」と述べる彼の言葉の意味は、常にスタジオ側と闘いながら、自分の美学を貫いてきた彼ならではのもので、中々深いと感じた。
3.3
名匠ブライアン・デ・パルマ監督が自身の過去作を振り返りながら言いたいことをぶちまけるドキュメンタリー。

先日上映されていた「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」のように関係者が語る監督像という構成ではなく、インタビューに答える形でデ・パルマ監督自身が語る構成で、最近NHKBSでも放送されていた「キューブリックが語るキューブリック」に近い形。

インタビュアーは現在「6月0日アイヒマンが処刑された日」が公開されているジェイク・パルトロー、そしてカメラを回していたのが「マリッジストーリー」や「フランシス・ハ」を監督、「バービー」の脚本を務めたノア・バームバック。

同じ映画監督が話を聞くのと、世代がかなり離れている(デ・パルマ監督は当時75歳)こともあり、デ・パルマ監督が嫌がることを聞けていないという点でドキュメンタリーとしては中立性が無いですが、逆にデ・パルマ監督が言いたい放題ぶちまけるという面白さがありました。

本人が信奉するアルフレッド・ヒッチコックの話に延々と脱線したり、ハリウッド流の映画作りへの不満、また、特定の脚本家への名指しでの不満など、そもそも監督のファンでなければ面白くない内容ではありました。

苦労してキャリアを積み、「アンタッチャブル」でブレイク、「ミッション・インポッシブル」でキャリアのピークを迎え、「ミッション・トゥ・マーズ」の興行的大失敗とおそらく敵が多かったこともあって主戦場から離れ、現在はヨーロッパをベースに活動をされているデ・パルマ監督。

近作はあまり評価が高くないですが、今はハリウッド映画の制約から逃れ、生き生きと映画づくりを続けておられるようです。



私がブライアン・デ・パルマ監督作品を知ったのは「アンタッチャブル」でした(「キャリー」は怖くて最後まで観れませんでした😓)その頃は監督が誰かなんて意識せず、ロバート・デ・ニーロの演技や有名な大階段のシーンなど、当時大ヒットした映画の内容に魅了されたことを覚えています。

監督の名前をしっかりと意識したのは、「ミッション・インポッシブル」の一作目。

個人的に、今もオールタイムベスト10に同作品を入れているほど、この作品が好きなのですが、監督の過去作品リストを見て、どうやら自分はブライアン・デ・パルマ監督作品が好きらしい、と認識したことを覚えています。

ドキュメンタリーの内容としても、特に後半の「アンタッチャブル」以降の映画制作の裏側の話はとても興味深い話ばかりで、とても面白かったです。

「アンタッチャブル」 … ケヴィン・コスナーを起用した背景、ロバート・デ・ニーロの大物っぷり、そして大階段のベビーカーのシーンのこと。

「カジュアリティーズ」 … マイケル・J・フォックスとショーン・ペンの仲、ジャングルでの撮影シーン。

「ミッション・インポッシブル」 … 脚本家が3人クレジットされている理由、複数あったらエンディングシーンの案、当時のトム・クルーズの扱われ方。

「ミッション・トゥ・マーズ」 … 興行的大失敗の理由😓

などなど、何らか好きな作品がある場合はそこの部分だけ観ても面白いかもしれません。

また、私は未見ですが、イラク戦争での米兵によるイラク人少女へのレイプ事件を描いた「リダクテッド 真実の価値」では、撮影終了後の現地での少女の身を危ぶんだ監督が『少女をアメリカへ連れて帰って学校に入れてあげた』とか、すごい話をしれっとしてましたが・・・🤔

才能あふれる巨匠ですが、周囲の方は大変そうですよね・・・😓




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