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眠る村
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目次

眠る村の作品紹介

眠る村のあらすじ

三重と奈良にまたがる葛尾。昭和 36 年、村の懇親会で女性 5 人が死亡した。ぶどう酒に混入した 毒物による中毒死。事件から 6 日後、逮捕された奥西勝が犯行を認める。当時 35 歳。「妻と愛人と の三角関係を清算するためだった」と自白した。すると不思議なことに、村人たちは奥西の犯行を 裏付けるかのようにパタリパタリと証言を変えていった。だが迎えた初公判で、奥西は一転無罪を 主張。自白は「強要されたものだ」と訴えた。一審は無罪。しかし二審では死刑判決、そして最高裁 は上告を棄却。昭和 47 年、奥西は確定死刑囚となった。事件が起きた公民館は取り壊され、村人は 奥西家の墓を掘り返して畑のなかへ追いやった。奥西は独房から再審を求め続けたが、平成 27 年 10 月、帰らぬ人となった。享年 89 歳。八王子医療刑務所で独り、無念の獄死だった。

眠る村の監督

鎌田麗香

齊藤潤一

原題
製作年
2019年
製作国
日本
上映時間
96分
ジャンル
ドキュメンタリー

『眠る村』に投稿された感想・評価

4.0
相変わらず東海テレビドキュメンタリーの、ここまで踏み込むかと思える内容に多少の不快感を覚えるシーンもあるが、それ以上に真実を追求する姿勢と内容には頭が下がった。
本作は前作 約束とは違う視点で製作された1961年3月に起きた名張毒ぶどう酒事件を追ったドキュメンタリー。

前作の約束では、事件の概要や再現ドラマ、奥西勝が犯人であるかの有無や家族の苦悩など色々な視点から追った内容と、当時の警察、検察、今も残る裁判所の腐敗した内容を教えてくれるドキュメンタリーだが、本作は事件関係者や村人が抱えた呪縛を強く感じさせてくれる作品。
前作の約束を観ると奥西勝氏が犯人とは思えなかったし、真実を追及するのは当然と思えたが、事件から50年以上が経ち関係者の話や、作品内で語られる生贄としての言葉を聞き、苦悩する人達の姿を見て複雑な気持ちになってしまった。そして今も無実を訴え亡き奥西勝氏の再審請求をする妹 岡美代子氏の言葉を聞き、気持ちを考えるだけで、悔しさから息苦しさを覚えた。

このドキュメンタリー作品を見て日本各地で起きた悲惨な事件と、その土地で生きる人達や関係者の苦しみや葛藤まで感じてしまい複雑な感情が湧いて来た。
犯人が一番悪いのは言うまでも無いが、この事件を助長させ関係者を苦しませる事になった正義で有るべき当時の警察、検察、裁判官、未だに再審を認めない裁判官達に強い苛立ちと悪を感じた。
◆概要◆
昭和36年に発生した名張毒ぶどう酒事件で一審で無罪とされながら高裁、最高裁で死刑判決となった奥西勝の再審請求を退け続けた司法の実態と事件とそれに関わる人々の思いを描いた作品。

◆感想◆
本作の事件の詳細を初めて知りましたが、事件自体は凶悪で決して許せないものでありますが、事件の舞台となった葛尾村の閉鎖的な環境と、検察・裁判所の異常なまでの自白重視が生み出した限りなく冤罪に近い逮捕劇だったように感じました。

奥西勝は警察の強要により犯行を自白したことで死刑となり、再三の再審請求も棄却され、無念の獄中死を迎えました。奥西勝の自白の信用性について、被告の弁護団が提出する科学に基づいた新しい証拠を提示するのですが、司法はその証拠について何も判断することなく自白は信用できるとして再審を拒否し続けます。これでは警察や検察の言いなりで裁判所は司法としての役目をはたしていません。裁判所は検察官と被告人のどちらにも傾いてはいけないはずです。司法に対して絶望感を感じました。

本作は葛尾村の村人たちについても取材しているのだが、これが村人たちが悪く見えるような描かれ方は少し極端なように感じました。村人たちは被告が逮捕する前と逮捕後で証言を変えており、そのことを追及するのですが、村人たちは取材陣へまともに応じません。女性5人が目の前で亡くなってしまったことを考えると村人たちの対応が間違っているようには感じませんでした。村人たちの中にあるのは「早くこの事件を終わらせたい」という思いだけだと思います。

奥西勝の妹さんが兄の名誉を挽回するために再審請求を引き継いでいる姿が描かれていますが、その妹さんが再審請求を棄却された日、「裁判長は私が死ぬのを待っているのかな」とつぶやきます。妹さん以外、再審請求を引き継ぐ人がおらず、それはとても悲しく辛いシーンでした。

昭和の事件ですが、現在もこの司法の姿勢は変わっておらず、とても危惧すべき状況であることを確認できる作品でした。

鑑賞日:2023年9月8日
鑑賞方法:CS 日本映画専門チャンネル
kyoko
-
昭和36年、三重と奈良にまたがる葛尾で起こった「名張毒ぶどう酒事件」
妻と愛人との三角関係を清算するためという動機があったとして逮捕された奥西勝は、犯行を認める供述から一転無罪を主張。一審では証拠不十分として無罪判決が下ったが、高裁では「自白は信用に足る」として死刑判決がくだされ、そのまま確定。再審を求め闘い続けたが、平成27年、病気のため帰らぬ人となった。

継続して事件を追ってきた東海テレビによる映画化は三度目。
新証拠の検証もせずに再審請求の棄却を繰り返す裁判所への疑問はもちろん、今作では当時を知る村人にもアプローチをかけている。
村人も裁判所と同様、早くこの事件が終わって欲しいと思っている。それでも事件から57年が経過して、当時ころころと証言を変えた人たちも、今だから話せることがあるのでは?という東海テレビの期待は、やんわりと打ち砕かれた。「奥西が犯人」の上でバランスを取って生きてきた人たちにとって、死者の名誉より村の和のほうが大事なこと。このまま穏やかに過ごしたいと思うのは当然なほどにみな年を取ってしまった。


妹さんの家にある奥西勝の遺影は、無罪判決直後の記者会見時のものだった(なかなかの男前)。
棺に納められた姿が映し出されるまでの、54年間の彼の顔は一枚の写真になることも許されず、我々も知ることができない。
人生を奪われるとは、そういうことだ。


死刑制度について議論するのも大事だけど、まずはいかにして冤罪をなくすか、が先だと思う。

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