最後の最後に少しだけ希望を感じた映画。

失業中の母親と2人で暮らすケイティは、貧しい生活から逃れサンフランシスコへ移住する夢をかなえるべく、ダイナーで働きながら町の男たちに体を売って生活していた。ある日、自動車工場で働く前科持ちの男・ブルーノと出会い恋に落ちたケイティだったが…。

本当に胸糞な展開ばかりで、この世に存在する「くそ」な人間を一つの街に集めてきたみたいな設定なんですけど、それでもなぜか心に残る作品でした。多分主人公がこの子じゃなかったら評価も大きく変わっていたのかなと思います。『サラブレット』に出てるっぽいのでそれも近いうちにみようと思います。

環境のせいにするな、という人よくいますよね。この作品はそういうことよく言う人に見て欲しいです。これ見た後に「ケイティーは環境のせいにしてるだけだよ」って言えるかな？　自分じゃどうしようも出来ないことって世の中にたくさん存在すると思います。ただ、最終的にそれを環境のせいに丸投げするか、自分の力で出来るところまでやってみようとするか、の二種類だと思うんですよね。だから簡単に「それは環境に甘えてるだけだろ！」って言うのは失礼に値する時もあるのかなと思います。少なくともこれを見た後はそう感じました。

ケイティーがこの後どうやって生きていくのか心配ですが、きっと素晴らしい人間に（少なくとも本作品に登場する他のクソ野郎のようにはならないはず…）なるのでしょうね。

全然関係ないけどケイティーがバイトしてるダイナーの場所がバグダッドカフェみたいでした。後、ダイナーの店長っぽい人が唯一の好きだったね。あの人くらいしかいい人いなかったな。

ケイティを演じるのは『レディ・プレイヤー1』のオリヴィア・クック。初めて恋に落ちた喜びや夢を語る様子を17歳の少女らしく演じ、逞しく生きる姿に勇気をもらえます。

「真実を語らない事」が"強さ"だとは思わない。


ストーリー
17歳のケイティは母親のトレイシーと一緒に暮らしていた。貧困から抜け出し、憧れのサンフランシスコに引っ越すための費用を稼ぐべく、ケイティは売春を行っていた。そんなある日、ケイティは前科持ちの修理工、ブルーノと恋に落ちるが…。


主演　オリヴィア・クック
監督　ウェイン・ロバーツ



この映画は人間の優しさに触れながら"純粋な悪"を身近に感じる事ができる胸糞映画だ。
緊張の引き締めとタイミングが絶妙に上手く、我々観客は監督の掌の上でなすがまま。
その演出を際立たせる地味な音楽。
しかし、確かな不快音と緊張させるための工夫がある。

劇中で「なぜケイティは真実を語らないのか？」それを必死に考えた。
その結果１つの答えに辿り着く。
それは「神様がいない」だ。

彼女の周りにいる腐った人間たちは皆んな何かしらの宗教に所属している事が持ち物などで確認できる。(十字架や魔除けなど)
しかし、ケイティが祈る相手は神様ではないのだ。生きてるか死んでるかもわからない"人間"に対して祈る彼女の姿はそれだけで"説明がつく滑稽さ"が内包している。生まれながらにして不幸な存在なのだと。

一般人が考える"神様"が既に存在しておらず、「自分は貧しくて学がない」を最初から受け入れるしかなかった。
そんな可哀想な彼女を、彼女自身は"可哀想だと思っていない"その強さだけが存在している。その強さだけで生きながらえていると言っても良い。
この衝撃的なラストを観た後では"真実"などどうでもよく、どちらにせよこの終わり方に近いものになる。そこに向けて物語はずっと語られてきていたのだから。
だからこそ、ケイティにしてみれば祈る相手など誰でも良いのだ。
何故なら神様は存在していないから。


主演のオリヴィアクックが凄く良い。
あどけなさと大人にならざるを得なかった子供が大人になる瞬間を見れた。それは特別なものだ。
他のキャストの演技力も抜群に上手い。
「哀れなるものたち」とはまた違った雰囲気を出しているアボットやミレイユイーノスがやはり良い。
何より1番怖かったのはキーアギルクリスト演じるマティ。彼のキャラクターは糞すぎて吐き気がした。
恐ろしい。

結局、ベアが可哀想だとか思うかもしれないが、そんな事は決してない。
何故ならケイティとの関係性を見るからに「それを利用してきた大人」だから。それがいつから始まっているのかは言及されていないが、私個人は「未成年の時からではないか？」と感じた。
最後の最後で"たまたま理性が勝った"だけで犯罪者予備軍に変わりはない。

馬鹿な男達と"強くならざるを得ない女性"を描いた近年の流行を盛り込んだ作品であった。

【あらすぢ】👱🏻ケイティ(17)は母と二人暮らし👩‍👧🏠。ダイナーで働きながら貧困から抜け出す日を夢見ている…。今をときめくオリビア・クック主演の『ツラたん💔』なヒューマン・ドラマ📽✨💿未ソフト化(日本版予告編すらない)がもったいないщ(ﾟДﾟщ💦✨”捉え方は人それぞれ”な内容ですが、配役も演技も完璧👌🏻

【🇺🇸ラスクルーセス国際映画祭(脚本賞・審査員賞)、マンチェスター国際映画祭(女優賞・審査員特別賞)など各賞７部門受賞🏆✨🇨🇦トロント国際映画祭(作品賞)など各賞５部門ノミネート】

とても胸の痛む作品ですが『周りが全員クズ』『世界よ滅んでしまえ』とも言い切れない『身から出たサビ』とも取れる絶妙な設定。優しいクズだっている世界、リアルでキライではないでつ。で。個人的に母親役のミレイユ・イーノスがDAUSUKI！でつ❤️

オリジナルのビジュアルはコチラ👇🏻
https://m.imdb.com/title/tt4547938/mediaviewer/rm12294145/

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