▪️Title :「荒野にて」
Original Title :「Lean on Pete」
▪️Release Date:2019/04/12
▪️Production Country:イギリス
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2019-229
▪️My Review
　 アメリカの大自然の荒野、主人公チャーリーの人生そのものを比喩してるんですね。
圧倒的に無関心な世界をひとりさまよう少年の心情、十代の若者の孤独、頼りたい気持ち、頼られたい気持ち、また喪失感を淡々としながらも強力に描いた作品です。最後の救いさえ切なく心に響きます。
スクリーンを見つめながら、自分自身の若い時、辛い時を投影しハラハラしながら鑑賞していました。作品的には、『ギルバート・グレイプ』＋『シービスケット』って感じかな。
本作の良さは、感傷的な青春ドラマに堕すことを回避し、人生の岐路に立つ主人公に感情移入しつつも、客観的な姿勢を維持しているところです。また本作での演技によって、チャーリー・プラマーには確かな才能があることが証明されましたよね。そして、良作です！！

▪️Overview
　「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督が、孤独な少年と一頭の馬の歩む旅路を描いた人間ドラマ。「ゲティ家の身代金」にも出演した新星チャーリー・プラマーが主人公チャーリーを演じ、第74回ベネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞（新人俳優賞）を受賞した。幼いころに母親が家出し、愛情深いがその日暮らしの父親と2人で生活する少年チャーリーは、家計を助けるため厩舎で競走馬リーン・オン・ピートの世話をする仕事をしていた。しかし、そんなある日、父親が愛人の夫に殺されてしまう。さらに、試合に勝てなくなったピートの殺処分が決定したという知らせを受けたチャーリーは、ひとりピートを連れ、唯一の親戚である叔母を探すため荒野へと一歩を踏み出す。出演は、チャーリー・プラマー、トラヴィス・フィメル、クロエ・セヴィニー、スティーヴ・ブシェミなど。

たった一人の身内である叔母を探す少年の孤独な旅物語、
幼い頃に自分に降り注がれた叔母の暖かい愛を求め、ただひたすらに進む少年のロードムービーです。


チャーリー(チャーリー・プラマー)がまだ生まれて間も無い頃に母が飛び出し、
面倒をみてくれ、母の様に慕っていた叔母のマージーもまた、父との喧嘩で疎遠になってしまいます。
それ以来父親と二人で貧しく細々と暮らしていたチャーリー。

競走馬の厩舎オーナー、デル(スティーヴ・ブシェミ)との出会い。
彼に馬の世話をする仕事を貰い日銭を稼ぐチャーリーでしたが、
父が浮気相手の夫に追われ、目の前でなすすべも無く襲われて大怪我をしてしまいます。

その入院費を稼ぐ為、デルと共に競馬の遠征に出るチャーリー。
そんなチャーリーの心の支えは、競走馬のピートだけでした。
ピートに語りかけ、友の様に大切にするチャーリーに、
「馬はペットじゃないから愛してはダメ。
勝てない馬はクビになるの。」
女性騎手のボニー(クロエ・セヴィニー)は、厳しい現実を突き付け忠告をします。

レースを制覇し勝ち進むピートも、度重なるレースに疲労が酷く、惨敗を重ねてしまいます。

そんなピートに痺れを切らしたオーナーのデルは、ピートをメキシコへ売る決意をしてしまいます。

売り飛ばされ殺処分になるピートを懸念し、悲しみに暮れるチャーリーの元に入院中だった父の訃報が飛び込んで来ます。

天涯孤独となってしまったチャーリーは、デルに見つからない様にピートをトラックに乗せ、少ししか無いお金を握りしめ、
叔母を探す旅に出るのでした…。


旅の序盤は馬のピートと一緒でしたが、
後半はチャーリー1人で厳しい現実と対峙し乗り越えて行くお話しにシフトして行きます。


この世の中に、自分を知っていてくれる人が、
自分を純粋に愛してくれる人が一人も居なくなった時の恐怖と哀しみを、チャーリーはまだ15歳にして味わってしまう訳ですが、
自分だったらそれに耐えられるのか…と思うと、想像すら出来ない程の哀しみに胸が苦しくなります。

旅の途中で出会う人は良い人ばかりでは無く、
すれ違う人々の少しばかりの優しさや冷たさ、その全てがピートにとっては只の雑音でしか無く、
自分の居場所では無い居心地の悪さに耐え旅を重ねる日々を過ごすのです。


一番印象的だったのは、ピートが馬に寄せる愛情でした。

物言わぬピートにだけは心の内を、弱い自分も全て曝け出し、
心の隙間を埋めてゆくチャーリーの孤独感が色濃く映し出される箇所で、
哀しくも心がほっこりと温まり、なんとも言えない気持ちにさせられるのです。

中学生の頃に母から借りて読んだ漫画で、
『はみだしっ子』(三原順)と言う作品があります。
かなり重めの話しで、登場人物其々が幼少期に親の勝手や事件に巻き込まれ孤児院に入れられ、そこで出会った4人が支え合いながら心の闇に対峙して行くストーリーです。
(当時、めちゃくちゃはまっていて、かなり影響を受けた作品でした。)

その中で、サーニン と言うキャラが動物が好きで、
馬に心を通わせたり、競馬の騎手をするシーンがあります。

孤児で心にポッカリと空いた穴を埋める様に、まるで自分と馬を重ねるかの如くそれに寄り添うサーニンと、
馬を愛する事で孤独を埋めようとするチャーリーの姿がダブって見えて、涙が出そうになりました。


ここでは孤独な15歳の少年を、表情や仕草など巧みに演じ切ったチャーリー・プラマーですが、
『ゲティ家の身代金』で、誘拐される息子役を素晴らしい演技力で演じ切った彼だと後から知って、納得のキャスティングだと思いました。

また、厩舎オーナーのデルが"スティーヴ・ブシェミ"だったのも気が付かなくて、後から知って驚きました(笑)


良い人ばかりが登場するロードムービーでは無く、
世間の厳しさに晒されても貫き通す少年の一途な気持ちと、
荒野の荒々しさと大自然の美しさも堪能出来る良作ムービーでした。

• #荒野にて
• #チャーリー・プラマー
• #スティーヴ・ブシェミ

主演の新人チャーリープラマーは、
ヴェネツィア映画祭で、マルチェロマストロヤンニ賞（新人俳優賞）を受賞！
日本の受賞者は、染谷将太と二階堂ふみ。
ヒミズ🎬ですね。
若いチャーリーとパパとその愛人と馬とブシェミ。
ブシェミ演じる競走馬のオーナーが
渋い演技でとてもいい。
競走馬はペットのように愛しちゃダメなのか〜。
前半よかったけど、後半が地味すぎた…

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