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ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記

ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記の作品紹介

ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記のあらすじ

沖縄の言葉、ウチナーグチには「悲しい」という言葉はない。それに近い言葉は「肝(ちむ)ぐりさ」。意味は胸を痛める。人の痛みを自分のものとして胸を痛め、辛い思いをしている人と一緒に悲しむ。それが沖縄のちむぐりさ。そんな沖縄に、ひとりの少女がやってきた。石川県から那覇市の学校へやってきた坂本菜の花さん15歳。彼女は、この島ではずっと「戦争」が続いていることを肌で感じ取っていく。 希望の島で、15歳の少女がみた、リアル沖縄とは…。

ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記の監督

原題
製作年
2019年
製作国
日本
上映時間
106分

『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』に投稿された感想・評価

同調圧力には弱いくせに人の痛みには無頓着な社会、やめにしようよ。
コロナ恐怖を言い訳にしてこのドキュメンタリーをスルーするのは、今だけなら許されるとしても、、六カ月後にも一、二年後にもこれほとんど誰も観ないならば、たとえコロナが終息しても、こんな国に真の明日は来ない。沖縄を蹂躙する安倍政権、を選挙のたびに勝たせつづけてる日本は、人の道を歩んでない。その事実から私たちは逃げちゃダメ。誰を何を支持するかの問題じゃなく、しっかりと蹂躙を視なさい。(公正選挙だろうが不正選挙だろうが同じこと。沖縄の基地問題を平均的 “善良” 日本人は常にローカル議題としか思ってないんだから。。。)


石川県珠洲市の小学校か中学でいじめに遭って沖縄に単身移住した坂本菜の花(なのはな)ちゃんが、フリースクールに通いながら大切ないろいろを学んでゆく。劇映画かと期待して観たらドキュ(しかもテレビ用を基にした)だったんで私は気持ちの整理に数分かかったけども、まあまあな被写体たち。沖縄は私個人の大切な大切な裏庭だし。米軍基地や戦争のこともたっぷり出てくるよ、当然。
序盤のうちに思ったのは、好き嫌い分かれそうってこと。「映画館で観たかったほど価値?」「この平凡げな女の子に三、四十分を超えて百分以上つきあえそう?」「民謡のスタンダードがすぐ出てきたりオジイオバアが善い人たちだったりして、テンプレ?」とか。米軍基地関係では、とっくに知ってたこともあれば初耳初目なことも。
撮り方・収め方がどうこうよりも、沖縄の蹂躙のされ具合に当たり前な怒りを掻き立てられて中盤私は拳ギュウギュウだった。憎悪は、もちろんまずは日本政府&米国に対してだ。全然こんなドキュ観に来てよかったなんて思わなくなってた。左翼の人は全肯定するだろう。既得権益保守側とその走狗たちは全否定するだろう。それ以外の一般の “善良” な日本人たちは興味持たないから観ないだろう。。。。。
フリースクールの卒業式シーン。戦争で中学に通えなかったオバアとかに既にいろいろ語らせてたけど、この卒業の答辞を、わりと若見えするオジイが声つまらせながら。この人は、かつて離島から糸満売り(漁業用の奴隷として身売り)された身で学校に通えなかった人。その重みのあと、主役の菜の花ちゃんもまた答辞。明るくハキハキと。ここで菜の花ちゃんは小さめなまま役割終わったようだった。ドキュとしての引力のかすかな弱さを諦めみたいに受け取って、先ほどからの怒りは怒りのまま。
だが! そのあとが魂に来た!!
翁長元県知事の死とかオール沖縄的激動の取り込みが溢れだす。県民投票。いったん県外へ退いてた菜の花ちゃんが、再登場。そこでとった行動。明るく前向きでハキハキして謙虚でもある、という以外にインパクトがなかったはずの菜の花ちゃんが、このあたりになると顔つき含めていつのまにか全然変わって輝いてる。堂々と存在そのものが光を放ってるみたくみえた。重みが出てる!
県民の総意が「辺野古基地建設No!」と示されたあと、政府の一方的暴挙はますます激しくなる。その展開わかってるけども、やめて。やめて。視たくない。。
そこで菜の花ちゃんは、基地容認派の漁民と対話する。ここでドキュは満を持してアウフヘーベン!!! 思いやりのある容認派に菜の花ちゃんは故郷・珠洲市と沖縄基地との重大なかかわりを告白しながら泣くんだけど、相手は本当に思いやりがある。対立以外のやりとり、だけがそこにあるのだった。私も泣く。(いや、そのずっと前から泣きっぱなしだったんだ。。)アウフヘーベンは優しく容赦なく正確に(しかもなぜか温かく)この言葉でガチッと極まる。「沖縄も日本も、戦争で負けたから仕方ないんだよ。アメリカの植民地なんだよ。植民地なんだよ」────この真実から、逃げてないドキュだから、もはや左とか右とかどっちつかずとかは吹っ飛んで、ただただ、歴史の「今」の真実の記録に辿り着いてる。
普遍性でもある。ゆえに、そこから先は、基地問題さえも超えた映画へと! それは、菜の花ちゃんという一人の人間の、成熟の尊さの記録としての。同時に、私たち鑑賞者にも「魂の成長」を促す。
驚いたな。単なる元いじめられっ子の南国ドキュ(+沖縄諸問題ドキュ)、という予想の殻を木っ端みじんにして人間の何歩もの確かな健やかな知性的な前進を見せてくれた。「人の明日」を教えてくれた。最近の大評判作フィクション『37セカンズ』あたりを好きになった人は、必ずこの映画も気に入る。くだらなくないから。希望があるから。


ところで、今年の話題作の一つに『1917』ってのがあったけど、あれの劇伴は不安を煽って煽って煽る通奏ノイズだった。あのひどい重苦しい音、私はそのレビューには書かなかったけど、沖縄の米軍基地周辺の町(特に滑走路のある嘉手納町屋良地区とか)で一日中大音量で鳴ってるのとほぼそっくりな音だ。反戦的戦争映画『1917』を観て娯しんでいろいろ映画論を語った人はいっぱいいるけど、沖縄で生活してる人々のことを同時に思いやった人はいないだろう。書き出せばキリがないけど、沖縄は、今でも戦争中、と感じさせる時がけっこうある。
コロナとかに怯えて大騒ぎするのは一人一人自由だけど、この沖縄(と福島)を踏み台にしてる時点で日本は、ナシ。


[ポレポレはケイズとかと同じく座席の市松をやってるよ。あと、映画館に来る人は必ずマスクをしてね]
tetsu

tetsuの感想・評価

4.1
機会があり、鑑賞。

沖縄・那覇市にあるフリースクール・珊瑚舎スコーレ。
10才の子供から70歳を越える高齢者まで様々な世代の方が学ぶ学校に、ある日、15才の少女がやって来た。
彼女の名前は坂本菜の花さん。
本州から、とある理由でやってきた彼女は、沖縄の過去と今を知り、純粋な言葉で思いを綴っていく……。

ドキュメンタリー映画をあまり観たことがない人や、沖縄の問題について、あまり考える機会がなかった人にこそ、観てほしい傑作だった。

ここ最近、若者の劇映画でも多く描かれるようになった"沖縄の米軍基地問題"
(詳しくは、#映画の中の沖縄 から。)

しかし、それは、内地(本州)に住んでいる私たちにとっては、どうしても他人事として受け取ってしまう問題だったようには思う。
(事実、実生活に大きな影響があるのは沖縄県民だけであり、それは今回の東京都知事選の盛り上がりにも似たようなものを感じる……。)

本作が素晴らしかったのは、そんな部分を"沖縄にやってきた少女"という存在によって、県民以外の観客(=私たち)にも共感しやすい描き方になっていたところ。

さらに、作品そのものが描いているテーマも「互いの気持ちに寄り添うこと」であるため、観ていくうちに観客側も沖縄県民の立場にたって物事を考えるようになっている構造が秀逸だなと思った。
(ただ、ここには観たことで満足してしまい、実際、「私たちに出来ることは何なのだろう」とモヤモヤしてしまう歯痒さもある。)

SNSの普及により、各自が自分にとって都合の良い情報ばかりを獲得する傾向が高まった現代。
Black Lives Matter問題や、格差社会が様々な闘争を引き起こしている中で、本作を観ること。

歴史的な背景や生まれ育った環境、他者を理解することがいかに難しいかということは何となく分かっているけれど、それでも、まずは少しずつ、互いの理解を深めていくことが大切なのだろうなぁと、思わされる傑作ドキュメンタリーだった。

P.S
以前、大学の講義でTV版(『菜の花の沖縄日記』)を観ていたが、今回は1時間尺だったものが約2倍に増えていたのも驚きだった。

カットされていた箇所が大幅に追加され、後半4分の1に関しては新たな部分が描かれているので、ほぼ続編に近い印象。
(例えるなら、『シト新生』に使われていた映像をそのまま使用したエヴァ旧劇二部『Air/まごころを、君に』みたいな感じ。←例えが絶妙過ぎて、全く伝わらない。笑)

というわけで、今回は折角なので、TV版から追加されたシーンを以下にまとめておきます。
(若干、ネタバレの可能性あり。)

<TV版との違い>
・珊瑚舎スコーレの学生が作るミュージカル
・県民大会で演説をする翁長知事
・菜の花さんの過去や故郷についての描写
・沖縄独自の言葉について
・卒業後の菜の花さん
・新たな県知事選に揺れる沖縄
などなど。

その他、「夜空に浮かぶ月」を使った見事な映像表現や、沖縄の海を写した映像など、映画版に合わせて追加された美しいシーンの数々も、とても印象的だった。
てるる

てるるの感想・評価

4.7
沖縄は、まだ戦場だ。

地元の話だから贔屓目はあるけど、これは日本人全員に観てほしいドキュメンタリー。

石川県から沖縄にやって来た1人の少女、菜の花さんから見た沖縄の現実。
そして少女が肌で感じた沖縄差別。

太平洋戦争では日本の国体護持の為に捨て石にされた沖縄。
日本で唯一地上戦が行われ、当時の沖縄人の1/4が犠牲になったと言われる。

そして今、日本にある米軍基地の約7割が沖縄に集中。
その面積、実に本当の15パーセントを占める。

個人的には米軍基地はそこまで反対ではない。
日本は北朝鮮と中国(なんなら韓国も)という油断のならない国がお隣さん。
抑止力という意味では必要だと思ってる。

でもね、そこに大前提としてそこに住む人々をまず守るべき。

日本政府の強引なやり方や、米軍の一部クズどもの犯罪は本当に腹が立つ。

県民の総意でNoという意志を意にも介さず、辺野古の埋め立てを強引に進める政府。
事件が起きても遺憾しか言わない政治家。

そりゃあね、コロナ対策でマスク2枚配布しますとか言ってる時点で国民を虫けら程度にしか思ってないのが分かる。
そんな政治家たちがましてや沖縄のことなんて真剣に考える訳が無い。

そしてオスプレイやヘリの墜落、落下事故を頻繁に起こす米軍。
酔っ払って民家に押し入ったり、レイプや殺人を起こす米軍人。
映画でも触れてたけど、小5の女の子が米軍人3人に拉致されてレイプされたという事件は本当に衝撃で忘れられない。

そんな事件が起きても日本で裁けないことも。
こんなんじゃ被害者はもちろん、家族や遺族も浮かばれない。

こういう事件を小さい頃から見聞きしているから、あの「怒り」とかいう映画は口が裂けても面白いとか言えない。

沖縄を離れて、もう内地にいる期間の方が長くなってしまった。
今や沖縄のことは、どこか遠い国の出来事のような感覚になってしまってた。

でもこの映画を観て、色んなことを思い出した。
思い出して、涙が止まらなかった。

菜の花さんが言う。
沖縄の明るい面しか見てなかったんだと。

たぶん多くの人がそうなんだろう。
なかには沖縄を政府に補助金をたかる寄生虫扱いしたり、沖縄が主張する基地負担の数字はおかしいと言い出す輩までいる。

でも数字じゃない。
そこで生きている人達の安全が、生活が脅かされている。
それを日本人なら知っておいて欲しい。
この映画を観て、ちむぐりさの意味を感じて欲しい。

「娘は戦場で生まれた」という映画に衝撃を受けたけど、ある意味ではそれに匹敵するくらい重みのある映画。

この映画を作るきっかけとなった菜の花さん。
どう見てもヤクザな漁師との会話で見せた涙が忘れられない。
沖縄に寄り添ってくれて本当にありがとう。

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