短文感想 75点
今作を見たのは2週間前程なのですが、昨日のハマスによるイスラエルの攻撃があったので投稿しました。パレスティナの現状をドキュメンタリーとして見れるので、ここ近日中はやや注目される作品になるかもしれません。ただ、貧しくて苦しい生活を余儀なくされている市民に焦点をあてていて、そもそものパレスティナ問題に関しては今作だけでは見えてきません。ここでは多くは言いませんが、確かにいきなり市民を虐殺したハマスの攻撃は許されることではありません。だからといってパレスティナ＝悪としてはいけない。そもそもなぜパレスティナがこんな状況になっているのか。ヨーロッパのどこぞの国は一体どういう気持ちでこれを見ているのでしょうね。。なんだか最近暗いニュースが多くて悲しいですね。

• #tmy整理ドキュメンタリー
• #100分以下

生まれた場所で変わる過酷で理不尽で不公平な人生について、端的に言い表わす能力を持ち得ていないこと、
トーク内容備忘録でもあるため長文。

1948年にパレスチナを逃れた人々がシリアのダマスカス近郊のヤルムーク難民キャンプにたどり着き、街を形成して暮らしていた。
そんな日常がある日突然アサド政権による都市包囲と封鎖により奪われ、水も食糧も絶たれさらに砲撃され困窮を極めていく。。。

映画は2013年から2015年のヤルムークを収めたドキュメンタリー。

食べるものがなく餓死する人々。
空き地の雑草を摘んで食糧にする小学四年生の少女。
彼女の妹（一歳半）も雑草を摘んでいるという。
すぐそばに砲弾が落ちても動じない少女は、年をとったし疲れたと言い、砲弾で死ぬことに何の恐れも感じていないと答えていたのが忘れられない。
どんなに苛烈な環境でも逞しく生きる子どもたち。
子ども時代を取り返したいという子もいて胸が痛む。

日本在住のシリア人ジャーナリストのナジーブ・エルカシュ氏トーク付き。

2011年のアラブの春をきっかけに起きた民主化運動を恐怖政治で抑えつけたアサド政権。
活動家がいた地域には活動家をターゲットにするのではなく、街全体を攻撃し人々を分断させ恐怖で抑えつけたという。
世論に対してパレスチナ人保護を謳いながらも真逆の政策を摂るアサド政権。
ヤルムークはその後ISISの支配下となり、テロ組織一掃する目的で更なるシリア政府の攻撃で街は完全に崩壊。
ダマスカス近郊という優良土地物件ということで、今は政府関係者により再開発がなされたそうだ。
もちろん、パレスチナの人々は戻ることが許されていない。
現在のシリアが外貨を稼ぐために麻薬ビジネスに国全体で手を染めていることなど、のお話あり。

シリアの問題は別として、国を持たない民に何が出来るのか深く考えさせられた。

監督は映画を作る目的ではなく、とにかくカメラに収めたと。
ソーラーパネルやプラスチックを燃やして電気を作って充電したそうだ。
撮影したハードは自身では携行せず各地を転々とし、その後ドイツに渡り身の安全を確保して、映像を世界のどこでも起こり得る事象として映画の形で送り出したという。


ドキュメンタリードリームショー山形　in東京

【山形国際ドキュメンタリー映画祭2021　アジア千波万波部門小川紳介賞】
シリアのパレスチナ人難民キャンプ内で撮影されたドキュメンタリー。各国のドキュメンタリー映画祭で受賞している作品。

これは監督の自我が出すぎかな。もちろんテーマとしては切実ではあるけど。常に監督のナレーションで進んでいくのが単調。

色々と問題の多い国シリア、その中にも難民キャンプがあるとは知らなかった。食べるものすら満足にないという状況は心苦しいばかり。

• #山形国際ドキュメンタリー映画祭2021