2021年5月にイスラエルが実施したガザ地区への11日間の空爆（シールド作戦＊1 ）で亡くなった67人の子どもたちの「観る墓碑銘」と家族や幼い友人による追悼。

＊1
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ガザ・イスラエル紛争

今なお続けられている、2023年10月以来のイスラエルによるハマスへの報復を名目としたガザへの攻撃（ガザ紛争＊2 ）での2024年5月6日にガザ保健省が発表した死亡者数は3万5034人で、そのうちの4割の約1万5千人が子どもたちだという。

＊2
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/2023年パレスチナ・イスラエル戦争

パンフレットに寄稿した中東ジャーナリストの川上泰徳氏によると、2021年には本作が描いたように、攻撃が終わったあと、家族らが死んだ子どもたちを弔い、偲ぶことができたが、現在は1年経った今でもガザの人びとは家族の死を悼む時を持てないままだと指弾する。

その意味で、本作は本来「作られるべき」犠牲者としてのガザの子どもたちへのレクイエムであるが、いったん回復した日常のなかで綴られる一般の家族たちの肖像と証言集なので、正直淡々とし過ぎていて眠くなってしまう。

それに本作を観ても、ガザ紛争の構造は見えては来ない恨みもある。

しかし、本作は淡々としていて眠くなっても良いのだ。
「亡くなった全ての一人一人の子どもの命」を平等に扱うことが本旨だからだ。

もはや報復戦争ですらなく、かつてユダヤ人に対してナチス・ドイツが行ったのと同様の「民族浄化」を何故イスラエルがパレスチナに対して強行し続けるのか、そして何故アメリカやヨーロッパの政府の多くは、それを黙認し続けるのか。
イスラエルをめぐる現在に疎い私のような人間のために、その謎の解明と解決への展望についてのドキュメンタリーが公開されることを切望したい。

失礼な物言いで申し訳無いが、同じパターン(5月◯日◯時にどこそこに爆撃、死んだ子供の名前、どういう状況で死んだかをナレーションで説明した後残された者たちへのインタビュー)をずっと繰り返しているので後半若干眠くなった。

自分の共感力の無さを棚に上げて言うともう少し集中力を持続させる工夫が欲しかった気がする。

上映終了後のトークイベントで1917年のオスマン帝国崩壊後から現在に至るパレスチナとイスラエルの人口流動と占領の歴史をざっくり学習。解説していたのが駐日パレスチナ代表部参事官だということを差し引いて考える必要があり、ネタニヤフ政権がどこまで本気で大イスラエル構想を実行しようとしているのか分からん(宗教右派の票を取り込む思惑もあるだろう)が、四万以上の人々を殺害してもなお攻撃の手を緩める気配が無いことは厳然たる事実だし、その狂信者を支持する人達が多数存在しているのも事実。

得点をつけられないが即時停戦を求める気持ちを込めて満点で。

2021年5月10日から21日停戦までの11日間、イスラエルによるガザ侵攻で犠牲となった子どもたちを追悼するドキュメンタリー

爆撃の轟音が戦争映画のそれとは明らかに異なり、耳をつんざく生々しい音、そして閃光は居た堪れない気持ちにさせる。

遺体も映る。一瞬で命を落としたのだろう、顔に損傷がない子どもに関しては表情に苦痛を表すものはない。せめてもの救い。

この映画に登場する犠牲となった子どもの親族が今どうしているのかはわからないが、
同時代を生きる地球人としてこんなことは止めなくてはならないことはわかる。
権力もない一個人に出来ることは殆どないがそれでも眺めているだけではダメだろう。
その一方で先日見たNスペでのイスラエル右派の様子を前にすると無力感も残る。
民族が違っても皆同じ地球人なのに。

たまたま先日来日されたパレスチナ人医師のトークの模様を視聴し、改めてその想いを強くする。