Jellyfishさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

Jellyfish

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彼方の閃光(2022年製作の映画)

4.0

盲目だった少年が70年かけて人生を取り戻す話。と、そんな一言では表せない、表現が難しい作品。監督・脚本・原案・音楽は 半野喜弘。


冒頭しばらく音声だけで、事故かと思ったが、よく見ればスクリーンには
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

5.0

「心臓より先に脳が壊れるすべての人に」捧げられた作品。

冒頭、寄り添って眠る老夫婦の俯瞰、それがいつの間にか中央で左右に分割され2つのスクリーンになり、夫婦それぞれの姿を追いかけ始める。その舞台は、
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市子(2023年製作の映画)

3.0

存在するのに存在しないことになっている人の話。原作戯曲の脚本家 戸田彬弘 が、自ら監督しての映画化。

市子の子供の頃のイヤなエピソードに被せるように、冒頭から寝落ちしてイビキをかく隣のオッサンが気に
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ファンファーレ(2023年製作の映画)

2.5

アイドルグループのリーダーが、既に卒業した初期メン2人の力を借りて、自身の卒業公演を成功させようという話。
アートワークが綺麗なのと、監督が「君は永遠にそいつらより若い」 の 吉野竜平 ということで見
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.0

オープニングとラストがめちゃカッコいい映画。

自分が何者で何をしたいのかわからない、破滅的な女の子を演じる ソーラ・バーチ。彼女のファッションがいちいち可愛い。相棒の スカーレット・ヨハンソン は実
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曖昧な楽園(2023年製作の映画)

2.5

体調と館内の暖房のせいで、冒頭20分間うつらうつらしてしまったので正しい評価は不能。

その範囲で言えば、実に捉え所のない映画。
前半1時間のヤングケアラーのリアル パートと、残りの2時間の徐々に現実
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隣人X 疑惑の彼女(2023年製作の映画)

2.5

誰もが「X」になり得るという話。「X」とは、異星人でも、移民でも、犯罪者でも、LGBTQ+ でも、自分にとって異質と感じる相手なら誰を代入しても成り立つ変数ということなのだろう。

ちょっと不思議な、
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朝がくるとむなしくなる(2022年製作の映画)

2.5

見ているこっちがむなしくなるよ。

唐田えりか、芋生悠 出演ということで期待していたのだけど、深夜ドラマで散々コスられたようなネタを、同じような描き方で今また映画にする意味がわからなかった。

女優は泣かない(2023年製作の映画)

2.5

泣かないのではない、泣けないのだという話。

ありがちな話を、終始べたべたな、言ってしまえば古臭い演出で見せるのだが、コレは意図的なんだろうと思う。
タクシー運転手役の 上川周作 がずっと可笑しい。見
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ある精肉店のはなし(2013年製作の映画)

3.0

ポレポレ東中野恒例の「いい肉の日 (11/29) リバイバル上映」で観賞 (初見)。

貝塚市、だんじり祭りのお膝元、元部落地区にある精肉店一家のドキュメンタリー。 映画は 2013/11/29 公開
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ほかげ(2023年製作の映画)

2.5

「ゴジラ -1.0」 が華麗にスルーした戦後の庶民の暮らしを、ひたすら重く苦しく描く。

うーん、しかしまたしてもコレじゃない感。俳優の演技がエキセントリックすぎて逆に冷める。結局マイゴジの二の舞い?
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水いらずの星(2023年製作の映画)

5.0

ある女が、別れた夫と共に過ごす一夜の物語。原作は戯曲らしい。

全編ほぼ女 河野知美 と男 梅田誠弘 二人の会話劇。それが余りある余韻をもって実にスローに進行する。そのペースにシンクロするのに少し時間
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草原に抱かれて/へその緒(2022年製作の映画)

5.0

都会に住むDJが、兄が世話している痴呆症気味の母親を引き取って、一緒にモンゴルの原風景を探す旅に出る話。
原題は「臍帯 / The Cord of Life」、つまり臍の緒のこと。劇中で象徴的に使われ
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#ミトヤマネ(2023年製作の映画)

5.0

SNSの負の側面やディープフェイクがテーマのアート映画 (これでエンタメ映画とは言えないと思う)。

少し前に公開された「PLASTIC」同様、観客に説明する気がない監督であり、さらに今作はわざと分か
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遠いところ(2022年製作の映画)

5.0

働かない夫をもつ17歳の一児の母の視点から、ゴザを舞台に沖縄の無理ゲー社会を描いた作品。

ウチナーグチのセリフはよく聴き取れないし、ひたすら救いはないし。それでも、淡々としてはいるが実に丁寧に作られ
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TAR/ター(2022年製作の映画)

5.0

6月14日、一日空いた大阪で再観賞。
2回目だと大分情報が整理できて初見時よりはずっと分かり易い。ただ、劇場がイマイチだったのか、初回に感じた繊細な音響効果を味わうことができなかったのは残念 (前日の
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

5.0

ちょっとケチの付け所が見つからないくらいの傑作と思う。主演の ブレンダン・ブレイザー はもちろん、リズ役の ホン・チャウ、娘役の セイディー・シンク が実に良い。

出演者はほぼ5人だけ、舞台もチャー
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零落(2023年製作の映画)

5.0

金と時間と性欲が有り余るコミュ障男はこうなるよなとか、いろいろ刺さりまくりの、人気漫画家零落 (落ちぶれ) 放浪記。と同時にある種のファンタジーでもあると思う。

斎藤工 のクズ漫画家ぶりはもちろん、
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

5.0

桜に囲まれた田舎の高校の、卒業式の前日・当日の二日間の出来事を、4人の少女たちをを中心に群像劇で描く。

主演は「由宇子の天秤」の 河合優実。彼女のエピソードにまつわる映画上の仕掛けが一箇所あるのだが
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

5.0

家族の厄介者の四男坊と障がいのある女性との一年間にも満たない結婚生活を淡々と描いた中国映画。これが2011年の話というんだから中国って色んな意味でスゴイ。

終盤近くなって、まだ終わるなまだ終わるなと
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茶飲友達(2022年製作の映画)

5.0

テーマは「正しいことが幸せとは限らない」。
老人向け性風俗という扱い辛い題材をよくここまで描き切ったと拍手したい。この歳になるとホント身につまされる話。

2時間15分とちょい長めながら、ゆりかごから
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

90年代に撮られた、30歳の父と11歳の娘との夏休み旅行を収めたホーム・ムービーをめぐる物語。

先日の「なぎさ」以上に全体を通して余白が多く、冒頭からしばらくはこの映画の文法が理解できなくて難儀した
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なぎさ(2021年製作の映画)

5.0

7月9日 アップリンク吉祥寺で再観賞。21時の回でしかやってないけど、やってくれるだけでもありがたい。

やっぱりこれは「火垂る墓」だった。バラバラに提示される断片を時系列に並べ替えるとこうなるはず
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

2.5

妖怪より、幽霊より、人間が一番怖いという話。旅先で他に見るものがなく、評判も良いので足を運んでみた。

トントンと事が運ぶ序盤の構成が気持ち良くて、横溝正史的なノリで見てしまったが、いやいやコレは妖怪
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サムシング・イン・ザ・ダート(2022年製作の映画)

2.5

超常現象と陰謀論 (「ダヴィンチ・コードか?」というセリフがある) に取り憑かれた男二人の顛末を描くモキュメンタリー風映画。

冒頭から終始漂うLAの不穏な雰囲気が良い。主人公たちは「信頼できない語り
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(2023年製作の映画)

2.5

予告編を見た時から悪い予感はしていたが、コレは壮大な美術とセットで見せるコントなのだな、と解釈することでなんとか最後まで観賞。

あー、ココもココも絶対アドリブだよなとか、首が飛ぶシーンとか、切腹のシ
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まなみ100%(2023年製作の映画)

4.0

いまおかしんじ作品のメイキング監督などを経験した後、自主制作で立ち上げた作品が協力者にも恵まれ劇場公開へ。

まなみちゃん (中村守里) と、彼女以外とは簡単に寝れるボク (青木柚)、二人の付かず離れ
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FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.0

公開当時結構評判が良かったのに見逃していたやつを WOWOW で観賞。

確かに怖い。金●が縮み上がるほどゾクゾクする。撮影は小高い山の山頂に塔の先端部分だけを組んで行われたとか。

終盤のトリックも
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I ~人に生まれて~/人として生まれる(2021年製作の映画)

2.5

原題は 生而為人 / Born to be Human。邦題の 'I (アイ)' の出所は見終わってもわからず仕舞い。

いわばジェンダー ホラーともいうべき台湾映画。分かり易くて、安っぽくなくて、良
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

5.0

ヘルドッグス (2022) の監督 原田眞人 が黒川博行の原作小説を映画化。

今年見た国産エンタメでトップクラスの面白さ (元来あまり見ないジャンルではあるが)。無駄がなくスピーディーで饒舌、それで
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.0

今泉力哉 監督が 2時間20分 かけて余韻たっぷりに描く、それぞれに嘘を抱えた三人の男女の物語。原作は豊田徹也の同名長編コミック (未読)。

話に難しい部分は無いのだが評価が難しい映画だと思う。その
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過去負う者(2023年製作の映画)

2.5

元受刑者の再就職支援活動を通して世間の不寛容さを炙り出すモキュメンタリー映画。

稚拙な作りの山田太一ドラマを見ているよう (褒め言葉です) で、2時間強あるのに不思議と飽きることがなく、いったい誰の
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(2023年製作の映画)

2.5

「生きちゃった」、「茜色に焼かれる」 の 石井裕也 監督が、やまゆり園の事件を扱った辺見庸の同名小説を映画化。

重い、見ていて気が滅入るくらい重い。この監督の作風ではあるのだが、題材が題材なだけにこ
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ゆとりですがなにか インターナショナル(2023年製作の映画)

3.0

2016年日テレのクドカン ドラマ (日曜 22:30 枠) の劇場版。これだけ時間が経っての映画化は珍しいんじゃなかろうか。

始まってからずっと笑いっぱなし。韓国人チェ・シネ役の 木南晴夏 が効い
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コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)

2.5

風呂もないしお湯も出ないとあるコーポの住人たちの群像劇。コミック原作らしい。様々な形の親子の話なのかなぁ。

東出昌大は (相変わらず) 抜群に良いのだが、映画としての味も、大阪味も、物足りなくて少々
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バッファロー’66(1998年製作の映画)

5.0

やっぱ、良いものは良いな。
お洒落で、斬新で、残酷で、可笑しくて、悲しくて、愛おしい。映画に求めるもの全てが詰まっている。